近年、少ない予算でマイホームを手に入れられる「ローコスト住宅」が人気です。設備や間取りに限りはあるものの、一般的な注文住宅より安い費用で住宅を購入できます。
この記事では、ローコスト住宅の費用相場や、メリット・デメリットを紹介した上で、ローコスト住宅に向いている人や購入する際のポイントについても触れます。どのような住宅を購入するか悩んでいる方は、当記事を参考にローコスト住宅が選択肢のうちに入るか検討してみてください。
1.ローコスト住宅とは?
ローコスト住宅とは、一般的な注文住宅に比べて、比較的安く建てられる住宅のことです。最近では、「1000万円台で建てられる」「毎月の支払いが10万円以下」などさまざまなローコスト住宅が売り出されています。限られた予算の中で住宅を購入できることは魅力ですが、品質に不安を感じる方も多いでしょう。
ここでは、ローコスト住宅が「ローコスト」である理由をご紹介します。
1-1.「ローコスト」である理由
低コスト化を実現するには、家づくりにかかる大きな費用をコストカットすることが重要です。下記は、ローコスト住宅で費用が抑えられている4つの項目について解説します。
・材料費
住宅建築に使用する材料を一括で仕入れることで、コストカットを実現しています。使用する建材や設備をある程度統一し、まとめて発注することで1つ当たりの単価が下がります。住宅には多くの部材を使用するため、材料費のコストダウンは住宅購入費用に大きく影響すると言えるでしょう。
・人件費
住宅を建てる際は、大工や現場監督などさまざまな人材が必要となり、人件費がかかります。人件費を削減するには、工数を減らし作業効率を上げることが重要です。規格住宅のパターンの中から選択することで、複雑かつ特別な工程が減り作業効率アップにつながるでしょう。工場で資材の切り出しまでを行い、組み立て時の工数削減を図っている場合もあります。
・諸経費
諸経費とは、会社運営にかかる費用や、会社を知ってもらうための広告費などのことです。住宅の価格には、広告費などの経費も上乗せされています。ローコスト住宅を扱う企業は、テレビCMを打たず、ネットでの集客や住宅展示場における営業活動などを工夫し、諸経費を抑えています。
・設備費
家そのものの材料費や建築費だけでなく、間取りやお風呂・キッチンなどの設備のグレードも住宅の価格に大きな影響を与える要因です。ローコスト住宅ではできるだけ複雑な間取りにしないことや設備のグレードを下げることでコストカットを実現しています。
2.ローコスト住宅の相場
ローコスト住宅を選ぶと、どの程度安く住宅を建てられるのか気になる人もいるでしょう。下記は、ローコスト住宅と一般的な注文住宅の相場価格を比較したものです。
坪単価の相場
ローコスト住宅 | 約30万~50万円 |
---|---|
一般的な注文住宅 | 約60万~80万円 |
相場の中央値で建築費用を計算すると、ローコスト住宅と一般的な注文住宅では費用に大きな開きがあり、施工床面積が広くなる程価格の差を感じやすいと言えます。
30坪 | 40坪 | 50坪 | |
ローコスト住宅 (坪単価40万) |
1,200万円 | 1,600万円 | 2,000万円 |
一般的な注文住宅 (坪単価70万) |
2,100万円 | 2,800万円 | 3,500万円 |
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3.ローコスト住宅のメリットとデメリット
ここでは、ローコスト住宅のメリットとデメリットを紹介します。魅力的な面だけでなく、注意すべきポイントもあるため、確認しておきましょう。
・メリット
ローコスト住宅における最大のメリットは、建築費用が安く済み、経済負担が少ないことです。毎月のローン返済額も少なくなるため、他のことにお金をかけやすいだけでなく、建て替えのハードルも下がるでしょう。また、建築の期間が短いこともメリットです。間取りなどはある程度パターンが決まっているため現場での作業量が少なく、引越しまでの期間が短く済みます。
・デメリット
ローコスト住宅のデメリットは、デザインや設備などの自由度が低いことです。間取りや設備などは、プランに組み込まれているものの中から選ぶことになるため、建てたい家のイメージがある方にとっては、理想を叶えられない可能性があります。
また、住宅設備に関しては、性能のグレードが低く設定されていることが少なくありません。標準プラン以外の設備を採用する場合、オプション料金がかかり、結果的に費用が高くなることもあります。
4.ローコスト住宅を購入する際のポイント
ローコスト住宅を選ぶと、比較的安く家を立てられるものの、大きな買い物には変わりないため、失敗したくないという人は多いでしょう。
ここでは、ローコスト住宅を購入する際のポイントをいくつか紹介します。家づくりで後悔しないために、ぜひ参考にしてください。
4-1.複数の業者で見積もりを取る
ローコスト住宅を販売するハウスメーカーは多いものの、それぞれ会社によって得意とする分野や、オプションは異なります。複数の業者を選定し、相見積もりをとることで、より納得できる価格で住宅を建てられるでしょう。
また価格だけではなく、施工実績やアフターサービスなど今後安心して暮らせる家づくりを実現できるかどうかも考慮してください。可能であれば、実際にモデルルームを見学し、施工の質やスタッフの対応などを確認することがおすすめです。
4-2.補助金などを把握しておく
住宅を購入する際は、「住宅ローン控除」をはじめとした税制優遇や、補助金などが存在します。
例えば、ZEH住宅(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のような省エネ住宅の基準を満たすと、種類に応じて60万〜105万円の補助金がもらえます。
近年、電化住宅は、購入後のランニングコストが安くなると話題です。住宅を建てる上で申請可能な補助金や税制優遇を把握しておくと、より少ない金額で住宅購入できるでしょう。
4-3.諸経費など建物以外のコストにも注目する
住宅を建てる際は、建築費用だけでなく、照明工事やガス・電気工事などの工事費用が別途諸費用としてかかる場合があります。設備費用などは、住宅メーカーによってプランに含まれるか、追加費用となるかが異なります。建物の価格だけでなく、住宅を購入する上でかかる費用のトータルコストに注目して検討することが重要です。
5.ローコスト住宅はどんな人におすすめ?
住宅購入は、自分や家族のこれからの人生を左右するイベントです。価格に納得しても、ライフスタイルに合わなければ後悔する恐れがあります。
ここでは、ローコスト住宅がどのような人におすすめか、特徴をいくつかご紹介します。
ローコスト住宅が向いている人の特徴
- ・住宅に大きなお金をかけたくない人
- ・平屋住宅などシンプルな住宅を望んでいる人
- ・間取りにこだわりがない人
- ・お風呂やキッチンの設備グレードにこだわらない人
ローコスト住宅では、価格が抑えられる分、住宅設計の自由度が少ない傾向にあります。間取りや設備にこだわりがなく安く自分の家を手に入れたい方や、ライフステージの変更に合わせて建て替えを考えている方には、ローコスト住宅が向いているでしょう。
まとめ
ローコスト住宅とは、材料費や人件費などを抑えることで比較的安く建てられる住宅です。安く建てられるというメリットはあるものの、設計の自由度が低かったり、プラン外の設備を付けるためにオプション費用がかかったりと、いくつかのデメリットも存在します。予算やライフスタイルを考慮した上で、住宅購入を検討しましょう。