住まいの知識

注文住宅を建てる場合の費用相場・内訳|坪単価の意味も解説

注文住宅を建てる場合の費用相場・内訳|坪単価の意味も解説

「マイホームを持ちたい」「理想通りの注文住宅を建てたい」と思ったときに、まず気になるのは費用です。注文住宅を建てる際の費用の相場が分かれば、具体的な資金プランを建てることができます。

当記事では、注文住宅を建てるときに必要となる費用の相場や内訳、坪単価に関する注意点をご紹介します。また、注文住宅の費用をできるだけ抑えるためのポイントについても解説しますので、ぜひマイホーム購入を実現するための参考にしてください。

1.注文住宅を建てる場合に必要な費用の相場・内訳

注文住宅とは、購入した土地やもともと所有している土地に、自由に決めて新築する一戸建て住宅を指します。間取りや設備、内装、材料などを発注者の好みや暮らしのスタイルに合わせて選べるのが、注文住宅の特徴です。

注文住宅購入に必要な価格の相場は下記の通りです。

住宅種別 所要資金 住宅面積
注文住宅3,534万円124.4m2
土地付き注文住宅4,397万円111.1m2

出典:住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査」

また、注文住宅の建築に必要な費用の内訳は、土地代・建物代・諸費用の3つに大きく分けられます。

●土地代

予算の大きな割合を占めるのが土地代です。住宅を建てるのが都市部などの便利な場所の場合は、土地購入の費用は高くなる傾向があります。

すでに土地を持っているケースで土地代は必要ありません。ただし、地盤改良や整備が必要な場合には、土地の改良工事費用がかかることがあります。

●建物代

建物代に含まれるのは、基礎工事や内装・外装工事など、住宅の建築に必要なすべての工事費用です。一般的に、依頼先が大手ハウスメーカーの場合は建物代が高く、街の工務店の場合は安くなる傾向があります。

依頼先によって費用が異なる理由は、ハウスメーカーがかけている広告費や住宅展示場の維持費などのコストです。建物代に集客費用も上乗せされるため、街の工務店より費用が高くなります。

工務店では、同じ水準の住宅をハウスメーカーより安く建てることが可能です。ただし、依頼する工務店が信用できるかどうかについては、しっかりと見極める必要があります。

●諸費用

不動産(土地や住宅など)を取得するときは、登記手続きが必要となります。登記手続きでは、土地と住宅のそれぞれに登録免許税や登記事項証明書取得費用がかかります。また、手続きの代行を司法書士に依頼する場合は、登記費用のほかに報酬や交通費の用意も必要です。

注文住宅の建築に必要な費用の相場や内訳については、下記のページで詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

家を建てる際にかかる費用相場は?内訳や費用を抑えるポイントも

2.注文住宅を建てる際に登場する「坪単価」とは?

注文住宅を建てるとき、工務店との話し合いなどで使われるのが「坪単価」という言葉です。坪単価は、住宅を建てる費用に関わります。

坪単価が表すのは、住宅を建てるのに「1坪(約3.3平方メートル)あたりどれくらいの費用がかかるのか」です。そのため、坪単価に住宅の面積をかけると、本体工事に必要なおおよその費用を計算できます。

坪単価はハウスメーカーや工務店を比較する目安として利用できますが、シンプルな比較は簡単ではありません。以下では、坪単価を用いて比較する場合に押さえておきたいポイントと注意点を解説します。

2-1.会社によって坪単価の算出方法が異なる

坪単価を算出する方法は会社によって異なるため、注意が必要です。

住宅の坪単価の算出には、基本的に「延床面積」の坪数が用いられます。しかし、坪数が大きいほど単価を低く見せることができるため、「施工面積」を使って算出するケースもあります。

施工面積とは、延床面積にベランダやポーチ、インナーガレージの面積を含めたものです。

計算のもとにすべき面積が異なると、算出される坪単価は変化します。建築を依頼する会社の比較には、坪単価を単純に用いるのは避け、「延床面積と施工面積のどちらを使って算出された坪単価なのか」を確認しましょう。

2-2.坪単価に含まれない費用の項目がある

坪単価は、住宅の建物本体を工事するための「本体工事費」を指す言葉です。そのため、「別途工事費」と「諸費用」は含まれません。

別途工事費とは、外構工事費や地盤改良工事費、既存建物の解体工事費のことです。また、諸費用には登記関連費用や転居費用などが該当します。

坪単価はあくまでも1つの目安として受け取り、正確な予算については詳しい見積もりを見て確認するのをおすすめします。

3.注文住宅を建てる費用を抑えるポイント4つ

注文住宅を建てる場合、必要な費用の金額の大きさに悩みを抱える人は少なくありません。家づくりにかかる費用を少しでも抑えるためには、いくつかのポイントがあります。

注文住宅を建てる費用ができるだけかからないようにするために、押さえておきたいポイントは以下の4点です。ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

3-1.シンプルな設計にする

床や壁などに凸凹した部分のある建物設計の場合、その分だけ建物の総面積は大きくなり、必要とされる下地材や仕上げ材の量も増えます。また、屋根に傾斜がある場合は、建築時に足場を設置しなければならないため、さらに費用がかかります。

個性のあるデザインの注文住宅はとても魅力的です。しかし、予算を抑えて住宅を建てる場合は、できるだけ凹凸の少ないシンプルな設計にしましょう。

例えば、2階建ての住宅では、1階・2階の床面積が等しい「総2階住宅」にすると凹凸を最小限にできるため、費用を抑えることが可能です。

3-2.不必要な壁やドアを減らす

注文住宅を建てるときは、壁やドアに注目することが重要です。

床面積を最小限にした広くない空間を、壁やドアで区切るのはおすすめできません。小さくて使い勝手のよくない部屋が増え、その分の工事費もかかるためです。

例えば、子ども部屋の場合、「個室にしたい」という要望が多く聞かれますが、実際はドアを設けずにカーテンなどで仕切るほうが合理的です。

子どもはある程度大きくなると、日中は学校などへ行くため、物を置き睡眠の取れる空間を確保できれば問題ありません。また、子どもが独立した後は空間を柔軟に活用できます。

ドアを1つ減らせば、5~10万円ほど抑えられる可能性があります。不要な壁やドアは、できるだけ減らしましょう。

3-3.水回りをまとめて設置する

最近増えているのが、「1階に浴室、2階にキッチン」といった水回りを分けたつくりの住宅です。

キッチンやリビングを2階にすると、日当たりのよさなどのメリットがあります。しかし、水回りが分散している場合は給排水の設備が複雑になるため、配管工事費などの工賃が高くなることは避けられません。

どうしても避けられない事情があるケースを除いて、水回り設備はワンフロアにまとめて設置することをおすすめします。

3-4.予算を明確に伝えて工務店を選ぶ

工務店を選ぶにあたり、「できるだけ費用を抑えて注文住宅を建てたい」という方針や予算を、明確に伝えるのも大切なポイントです。限られた予算に対応してくれる工務店を選び、家づくりについて十分に話し合いましょう。

ただし、建てるときの費用を抑えることを重視するあまり、住みづらくて維持費のかかる家になっては元も子もありません。家を建てる際には、信頼できる工務店を選び、担当者にしっかりと相談することが最も大切です。

まとめ

注文住宅を建てる場合には、土地代や建物代、諸費用がかかります。住宅建築の費用の大きさに悩む人は少なくありません。設計や水回り、ドアなどに関するポイントを押さえれば、家を建てる費用を最小限にすることが可能です。

限られた予算で住み心地のよい住まいを建てる場合には、個別の希望のヒアリングに長けた工務店・ハウスメーカーを選ぶことをおすすめします。理想の家づくりを安心して行うために、依頼先と充実した話し合いをしましょう。