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平屋の坪単価相場|2階建てよりも割高な理由も解説

平屋の坪単価相場|2階建てよりも割高な理由も解説

平屋は、階段の上り下りがなく開放感があるため世代を問わず人気です。一方で、「平屋を建てるには建築費用が高くつくのではないか」「周辺からの視線が気にならないか」という不安から、2階建て住宅と迷っている方もいるのではないでしょうか。

当記事では、注文住宅で平屋を建てる場合の坪単価の相場や、平屋住宅の坪単価を抑えるコツ、平屋ならではのメリット・デメリットについて紹介します。これから新築を検討している方は平屋についての知識を深め、費用を抑えながらより快適な家作りを実現しましょう。

1. 平屋で注文住宅を建てる場合の坪単価相場

注文住宅で平屋の家を建てる場合、一般的な坪単価の相場は約40万〜70万円です。建物の構造や素材によっては、70万円を超えることもあります。坪数が大きくなるのに比例して坪単価は上がる傾向にあります。言い換えれば、小さな土地・建物であれば、坪単価を抑えることが可能です。

家の広さが分かっている場合、坪単価に坪数をかけることでおおよその建築費用を計算できます。ただし、坪単価の算出方法や定義は工務店やハウスメーカーによって異なるので、あくまで一般的な目安として参考にしてください。

2. 平屋の坪単価は2階建てより割高?

工事を行う工務店や面積などによって坪単価は大きく異なるため、平屋と2階建てのどちらのほうが安いのか単純比較することはできませんが、一般的には平屋のほうが1割から2割ほど割高になると言われています。ここでは、平屋の坪単価が2階建てよりも割高になる理由を2つ紹介します。

2-1. 【理由1】延床面積が小さいため

平屋の坪単価が割高になる理由の1つに、平屋は延床面積が小さくなるという点があります。延床面積とは、全フロアの床面積の合計のことです。

坪単価は建築費用を延床面積で割って算出されるので、延床面積が小さい平屋は坪単価が高くなってしまいます。反対に、2階建てにするとフロアが増える分、延床面積が大きくなるため、坪単価も安くなります。

2-2. 【理由2】基礎面積が大きくなりやすいため

平屋の坪単価が割高になる理由のもう1つには、平屋は屋根などの基礎面積が大きくなりやすいという点が挙げられます。2階建てと同じ基礎面積で平屋を建てようとすると、2階建ての1階部分だけになるので家全体が狭くなります。そのため、平屋を建てるにはある程度の土地の広さと基礎工事が必要です。

住宅工事の中でも基礎工事にかかる費用の割合は高い傾向にあります。2階建てよりも基礎面積が大きくなる平屋では、基礎工事にかかる費用が高くなるため、坪単価も割高になります。

3. 平屋のメリット・デメリット

新築住宅として平屋を建てるときには、いくつかのメリット・デメリットが存在します。新築住宅を平屋にするべきか否かで悩んでいる場合は、メリット・デメリットを知ることで、平屋が自分や家族にとって最適な選択かどうかを判断できます。ここからは、平屋のメリットとデメリットについて説明します。

3-1. 【メリット1】メンテナンスにかかる費用を節約できる

平屋は修繕の際に大掛かりな足場が不要になるため、2階建てよりもメンテナンス費用が安くなる傾向にあります。2階建ての外壁や屋根の塗装・修理時には、高所で安全に作業できるよう足場を組みます。足場の相場は1平米あたり600~1,000円と言われており、足場の費用だけで数万~数十万円がかかることも少なくありません。

その点、平屋は足場を組まなくても外壁や屋根のメンテナンスができるため、数万~数十万円の節約につながる可能性があります。メンテナンスは頻繁にするものではありませんが、一度にたくさんの人手と費用がかかるため、長期的に考えるとメンテナンス費用を抑えられる点は大きなメリットです。

3-2. 【メリット2】バリアフリーに配慮できる

平屋の家は階段がないため、バリアフリー住宅を実現することができます。年配になると、階段の上り下りが大変になり、転倒の危険も増します。そのため、2階建てに住む高齢者の方の中には、生活のほとんどを1階で過ごし、2階は物置にしているという方も多くいます。

歳を重ねた方にとっては、フラットな家のほうが安全に暮らすことができます。また、最初からバリアフリー設計にしておけば、高齢になったときに段差をなくす改修工事を行う手間や費用を省けるというメリットも生まれます。

3-3. 【デメリット1】広い敷地が必要となる

2階建ての家と同じ床面積を平屋で実現するには、2階建てよりも大きな敷地を用意する必要があります。そのため、駅前など人気のある地域で広い土地を購入しようとすると、土地代だけで多くの費用がかかります。

また、土地には建ぺい率が決まっています。建ぺい率とは、土地に対して建物に使える土地の割合のことです。建ぺい率が50パーセントの土地であれば、全体の半分の面積にしか家を建てることができません。そうした建ぺい率のことも考慮すると、平屋を建てるためには、2階建てを建てるときよりも約2倍の広さの土地が必要になると言われています。

3-4. 【デメリット2】プライバシーの確保が難しくなる

平屋はすべての部屋が1階にあるので、プライバシーに配慮しなければ、居心地の悪さを感じる可能性があります。たとえば、家の前が人通りの多い道なら、歩行者や車からの視線が届きやすくなります。隣家からの視線も気になるかもしれません。外からの視線が気になる場合は、窓の大きさや高さに配慮したり、目隠しを設置したりするなどの工夫が必要です。

また、敷地内のどこに家を建てるのかということも重要です。道路に面した場所に家を建てると視線が気になりますが、道路と建物の間に庭を設置すると木などで視線を遮ることができます。

4. 平屋の坪単価を抑えるコツ3つ

平屋の注文住宅を建てる場合、2階建てよりも坪単価は高くなります。しかし、さまざまな工夫によって、一般的な建築費用よりも坪単価を安く抑えることが可能です。建築費用を抑えるために希望を諦めて妥協するのではなく、理想を追求しながらも予算内に収める方法を取り入れましょう。ここからは、満足できる平屋にしつつコストを抑えるコツを説明します。

4-1. 外観をシンプルにする

平屋の外観を長方形や正方形のシンプルな箱型にすると、建築費用を抑えることができます。家の形に凹凸があると、工事に手間がかかるだけでなく、壁面積や屋根面積が大きくなり材料費も高くなりがちです。そのため、家の設計を考えるときは、外観にかかる費用を意識しながら決めることをおすすめします。

さらに、無駄な窓を減らすことでも建築費用を下げることができます。小窓を1つ追加するための設置費用の相場は約10万〜15万円です。窓を減らすと外観がシンプルになり、おしゃれな雰囲気も演出できます。

4-2. 不必要な廊下を減らす

廊下を減らすことで、床面積を広げなくても部屋の広さを確保できます。生活動線もシンプルになるため、住みやすい居住空間になるでしょう。

また、住みやすい家作りのポイントは、家事動線を意識した間取りにすること。キッチンと物干しスペースや洗面所などを近付けるなど、キッチンを中心に家事動線をまとめることで、家事のために動き回る負担を軽減できます。バリアフリーを考える場合も、玄関から各部屋への動線を確保しておくとよいでしょう。

4-3. 平屋の建築実績がある工務店を選ぶ

平屋を建設する場合、工務店選びも重要です。基本的に住宅は2階建て以上が多いため、工務店によっては平屋の工事実績が少なく、ノウハウがない上に費用が高額になる可能性があります。一方で、平屋の建築実績が豊富な工務店であれば、過去の建築事例を参考にして、条件に適した平屋をローコストで建築できることもあります。

平屋を新築する場合は、気になる工務店に平屋を建築した実績が十分にあるのか確認してみてください。その上で、複数の工務店やハウスメーカーのプラン・価格を比較検討することで、自分の理想とする平屋を建てられる施工会社が見つかるでしょう。

まとめ

平屋の平均的な坪単価は、約40万〜70万円と言われています。延床面積が小さく、基礎面積が大きくなりやすいことから、平屋は2階建てよりも坪単価が高くなりがちです。ただし、坪単価は工務店やハウスメーカーによって算出方法が異なるため、あくまでも参考程度にとどめましょう。

平屋を建てるには広大な敷地を用意したりプライバシーに配慮したりする必要がありますが、将来にわたって住みやすい動線の家を作ることが可能です。坪単価を抑えるには「箱型で窓の少ないシンプルな見た目にする」「建築実績が豊富な工務店を選ぶ」という方法もあるので、平屋を検討している場合はぜひ実践してみてください。