工務店選びの知識

工務店に支払う「契約金」の詳細|支払えない場合の対処法と注意点

工務店に支払う「契約金」の詳細|支払えない場合の対処法と注意点

家づくりの際、住宅会社との契約締結にあたって必要となるのが「契約金」です。契約金はある程度まとまった金額となるため、手元資金から捻出するのが難しいケースもあるでしょう。

当記事では、契約金の概要や支払えない場合の対処法、契約金に関する注意点について解説します。マイホームの建築を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

1.工務店に支払う「契約金」とは?

契約金とは、工務店と建築請負契約を締結する際に支払う費用です。金額の相場は住宅価格の5〜10%ほどであり、最終的には工事費の一部として充当されます。

契約金は、契約成立の証拠金や手付金としての意味合いを持つ費用です。依頼主側の都合で契約を解除する場合には、契約金はそのまま工務店が受け取ることになります。反対に、工務店側の都合で契約を解除するケースでは、工務店は依頼主に契約金の2倍の金額を支払わなければなりません。

建築請負契約時に支払う費用として「手付金」がありますが、契約金と手付金は同義で使われることが多く、両者に明確な区別はないと考えてよいでしょう。

1-1.頭金や中間金との違い

契約金と混同されやすい費用に、頭金や中間金がありますが、それぞれ内容や性質が異なります。

頭金とは、住宅を購入・新築する際の代金のうち、住宅ローンを借りずに自己資金から支払う分の費用を指します。注文住宅を建てる際は、代金の一部を頭金として家の引き渡しまでに支払い、家の引き渡し後に残りの金額を住宅ローンとして毎月返済していくといった流れが一般的です。

また注文住宅では、住宅の新築代金を数回に分けて支払うケースが多いです。中間金は上棟時に支払う費用であり、住宅価格の30%ほどとなります。上棟とは、木造住宅の工事において、主に柱・梁・屋根といった家の骨組みになる部分が完成した後に、屋根を支える「棟木」という木材を取り付けることを指します。

2.契約金が支払えない場合の対処法

注文住宅の工事にかかる費用が高くなるほど、契約金も高額になります。契約金は基本的には自己資金から支払うことになりますが、まとまった金額を現金で用意するのが難しいという人も少なくありません。

ここでは、契約金が支払えない場合の対処法を3つ紹介します。

2-1.つなぎ融資を利用する

注文住宅を建築する場合、金融機関の住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし住宅ローンは、完成した建物が引き渡される段階から実行される融資であり、建物完成前に支払う建築工事費には利用できません。

つなぎ融資は、契約金や中間金など、建物の完成前に必要となる資金に関して利用できるローン制度です。返済は住宅ローンの実行時に一括で行うため、住宅の引き渡しまでの間に負担するのは金利部分のみとなります。

つなぎ融資は無担保の融資であることから、比較的簡単な手続きで借入が可能ですが、住宅ローンよりも金利は高くなります。また、住宅ローン控除の対象にはならない点にも注意しましょう。

2-2.減額交渉を実施する

契約金の具体的な金額は、基本的には工務店・依頼主の合意のもとで決定されます。契約金は上限についての定めはあるものの、下限は決められていません。自己資金での支払いが難しい場合は、打ち合わせの際に減額交渉を行うのも方法の1つです。

ただし契約金には、工務店と依頼主双方の意思表示に信頼性を持たせるといった重要な役割があります。あまりに大幅な減額交渉をしてしまうと、工務店の営業担当者に、家を建てる意思がないのではないかと不信感を抱かれる可能性もあるでしょう。減額交渉を実施する際には、相場から大きく外れることがないよう慎重に行う必要があります。

2-3.親戚から一時的に借用する

契約金を自己資金で用意するのが難しい場合は、両親や祖父母、親戚から借用するケースも珍しくありません。ただし、たとえ親子間での借り入れであっても、トラブル回避のために借用書を交わすほうがよいでしょう。

また、借り入れの際の注意点として、利子の支払いを必ず行いましょう。利子を支払わなければ贈与であるとみなされ、贈与税を支払わなければならないケースもあります。

3.契約金に関する注意点2つ

契約金の支払いは、現金払いが原則です。ここでは、契約金に関する注意点を2つ解説します。

・カードローンなどで借り入れすることは避ける

契約金を現金で用意するのが難しい場合でも、カードローンなどの利用は避けるのが賢明です。住宅ローン事前審査では、現在の借り入れ状況についての確認が行われます。カードローンの借り入れは審査において不利に働くケースが多いため、融資額を減額されたり、融資不可と判断されたりする可能性もあります。

・「履行に着手するまで」の意味を明確にしておく

契約金の支払い後は、工務店が履行に着手するまでの間であれば、依頼主は手付金を放棄することで契約の解除が可能です。履行着手後の契約解除は損害賠償を請求されるケースもあるため、「履行に着手するまで」がどのような状態を指すのか把握することが重要です。

一般的には、建築資材の発注が行われた時点で契約解除は不可となります。トラブルを未然に防ぐためにも、契約時に詳細を確認しておきましょう。

まとめ

マイホーム建築時の契約金とは、建築請負契約の際に工務店に支払う費用です。手付金や申込証拠金としての役割を持つことが多く、相場は住宅価格の5〜10%ほどです。

契約金の用意が難しい場合には、つなぎ融資の利用や減額交渉、親戚からの借り入れなどを検討しましょう。資金捻出のためであっても、カードローンの利用は避けるのが賢明です。また、契約金の支払いの際は、契約解除が可能な期間についても確認しておくことが重要です。