住宅建築の際、依頼先をどのように決めたらよいか分からないという人は多いでしょう。工務店や建築士にはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあるため、特徴を十分に理解して検討することが重要です。
当記事では、建築士の概要や建築家との違い、工務店と建築士のメリット・デメリットについて解説します。工務店や建築士を選ぶ際のポイントについても紹介するため、ぜひ参考にしてください。
1.建築士とは?建築家との違い
建築士と建築家の違いは、国家資格の取得有無です。
建築士として働くには、一級建築士、二級建築士、木造建築士のいずれかの国家資格が必要です。資格ごとに業務範囲が細かく定められており、携われる建築物の種類も異なります。
対して、建築家として働くために必要な資格はなく、誰でも建築家を名乗ることが可能です。資格が必要でない分、あまり実績のない初心者から有名建築大学の教授まで、さまざまな力量の建築家が存在します。
また、建築士や建築家として働く人は、それぞれの専門分野を持つケースも少なくありません。注文住宅の建築設計を得意とする人もいれば、ビルや商業施設の設計に関する専門家として働く人もいます。
2.【比較】住宅建築は工務店と建築士(設計事務所)のどちらに依頼するべき?
注文住宅を建設する際の依頼先には、工務店・建築士・ハウスメーカーの3つが候補として挙げられます。どこに依頼するかを決める際は、それぞれのメリット・デメリットを十分に理解し、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
今回は、工務店と建築士に絞ってメリット・デメリットなどを紹介します。
2-1.工務店に依頼するメリット・デメリットなど
工務店は中小企業が営む住宅事業であり、多くの場合は地域密着型の経営スタイルを採用しています。
工務店に依頼するメリットは、以下の2つです。
コストパフォーマンスがよい |
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工務店では広告宣伝費を削減しているため、その分住宅価格がリーズナブルになります。特に、大手ハウスメーカーで取り扱われるような標準的なデザインを希望する場合は、同じ仕様でも割安での購入が可能です。 |
トラブル発生時などに迅速な対応ができる |
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地域密着型経営の工務店では、多くの場合、施工エリアを店舗周辺に限定しています。引き渡し後にトラブルや不具合が生じた場合にも、電話1本でスピーディーな対処が可能です。 |
また、デメリットとして以下の2つが挙げられます。
工務店によって品質に差がある |
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一口に工務店と言っても、会社の規模や経営スタイルはさまざまです。小さな会社でも性能や品質にこだわって丁寧な仕事をしている工務店もあれば、雑な仕事で施工ミスが頻発している工務店もあります。施工事例や口コミをチェックして、信頼できる依頼先を選択する必要があります。 |
経営が不安定になりやすい |
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基本的に工務店は規模が小さく、経営状態が揺らぎやすいという点もデメリットの1つです。もちろん、安定した経営状態をキープしている良質な工務店も数多くあるため、契約前の見極めが重要となります。 |
2-2.建築士(設計事務所)に依頼するメリット・デメリットなど
設計事務所とは、建築士が独立して企画や設計を担う会社です。施工作業自体は工務店などに外注し、建築士は住宅資材の仕入れや施工プロセスの監理を行います。
建築士(設計事務所)に依頼するメリットは、以下の2つです。
デザインの自由度が高い |
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設計事務所には標準仕様が存在しません。一人ひとりのライフスタイルや希望条件に合わせ、案件ごとにゼロから企画・設計を行います。外観や間取りから照明まで、細部にまでこだわり抜いたデザイン性の高い家づくりが可能です。 |
提案力に優れている |
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「子どもが楽しめる仕掛けがほしい」「予算範囲内でこだわりを反映したい」などの希望に対し、専門知識を生かした最適な提案ができます。狭小地や変形地にも暮らしやすい住宅を設計可能であり、土地の選択肢が広がるのもメリットの1つです。 |
また、デメリットは以下の2つです。
打ち合わせの回数が多い |
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建築士への依頼ではオーダーメイドの企画・設計となるため、打ち合わせの回数が多く、引き渡しまでに時間がかかります。細かな部分までこだわりを詰め込める分、決めなければならない項目の数も増えるでしょう。 |
住宅の仕様によっては割高になる |
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顧客ごとの自由設計が基本となることから、標準的な仕様・設備を安価に導入するためのシステムが構築されていません。ハウスメーカーのカタログ設計のような住宅を建設する場合はコストメリットがなく、費用が割高となるでしょう。 |
3.工務店や建築士を選ぶときのポイント・注意点
工務店や建築士を選ぶときのポイント・注意点は、以下の通りです。
ポイント:レスポンスの速さを確認する
工務店や建築士との付き合いは、建物の引き渡しを受けたら終わりというわけではありません。点検やメンテナンスなどのアフターフォローは引き渡し後も何十年と続くため、相談事やトラブルに迅速に対処してもらえる依頼先を選ぶのが賢明です。
お客さまに寄り添った丁寧な対応を重視する企業では、連絡が取りやすい仕組みづくりにも気を配っています。今後長く付き合っていくことを考慮して、電話やメールへのレスポンスが速い、信頼できる工務店・建築士を選択しましょう。
注意点:建築士のこだわりの強さが反映される可能性がある
建築士は提案力やデザイン力に優れた人が多い分、独自のこだわりを持っているケースも珍しくありません。依頼前にHPや過去の建築事例を確認し、理念や作風を理解しておきましょう。
また、打ち合わせ時点で明確に希望を伝え、合わないと感じたらできるだけ早く断ることも重要です。
まとめ
住宅購入時の依頼先には、工務店や建築士(設計事務所)などがあります。
工務店は、カタログに掲載されるような標準仕様の住宅をリーズナブルに購入したい場合におすすめです。対して、細かな点までこだわり抜いた住まいづくりを実現したい場合には、建築士に依頼するのがよいでしょう。
工務店・建築士を選ぶ際は、レスポンスの速さやこだわりの有無にも注目して検討することがおすすめです。