住宅ローンの知識

住宅ローンの頭金はいくら必要?目安金額と頭金を用意するメリットも

住宅ローンの頭金はいくら必要?目安金額と頭金を用意するメリットも

住宅ローンを借りて家を購入する際は、「頭金」の用意があるかどうかを聞かれます。実際にマイホーム所有者は、頭金を入れて住宅ローンを借りることが多く、頭金を準備してから家探しを始めるという方も少なくありません。

しかし、住宅購入における頭金とはどういったお金なのか、よく分かっていない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、住宅ローンの頭金の概要から、頭金として必要な額、頭金を用意するメリットを徹底的に解説します。月々の返済負担をなるべく抑えて住宅を購入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1. 住宅ローンの頭金とは?

住宅ローンの頭金とは、「住宅ローンを借りて家を購入する際、自己資金として支払う手持ちの現金」のことです。

頭金の支払いは、住宅の売買契約から引き渡し(融資実行日)までの間に行うことが基本です。頭金を入れた分、住宅ローンの借入額は下がります。つまり頭金とは、物件価格から住宅ローンの借入額を差し引いた部分の金額を指します。

例えば、3,000万円の住宅を購入する場合、500万円の頭金を入れれば、住宅ローン借入額は2,500万円で済みます。頭金を必ず支払う必要はないものの、住宅ローン借入額が下がればその分月々の利息・返済負担も軽減されるため、住宅購入においてはある程度の頭金を準備しておくというケースが一般的です。

1-1. 手付金との違い

住宅購入時に用意するお金として、頭金のほかに「手付金」もあります。頭金と手付金は、いずれも住宅購入の際に必要となる現金のことですが、具体的な意味や目的は大きく異なります。

頭金は、住宅ローンの借入額を減らすという目的で、住宅価格(売買金額)の一部を自己資金で支払うお金を指します。一方で手付金は、住宅購入の意思を示すという目的で、住宅価格の一部を売主に支払うお金のことです。

住宅購入では、売買契約を結んでから住宅ローンの審査、決済をするまでに数週間~1か月程度の期間が必要となります。この間によりよい条件で住宅を購入したいという別の買主が現れても、売主に手付金を支払っていれば契約を破棄されることはありません。なお、支払った手付金はそのまま住宅の購入費用に充てられることが基本です。

また、住宅購入には頭金や手付金以外にも、諸費用として多くの現金が必要となるため、余裕をもってまとまったお金を用意しておくとよいことも覚えておきましょう。

2. 住宅ローンの頭金はいくら用意すればいい?

住宅ローンの返済能力に特に問題がなければ、頭金を入れなくても住宅ローンを借りられます。しかし、住宅ローンの総返済額や利息を最大限抑えるためには、可能な限り頭金を用意しておくことがおすすめです。

では、住宅ローンの頭金はいくら用意しておけばよいのでしょうか。

国土交通省が公表した「令和3年度市場動向調査報告書」によると、初めて住宅を購入した方の住宅種別の平均自己資金額(頭金)は下記の通りとなっていました。

住宅種別 住宅ローン借入額 頭金
新築住宅 注文住宅 約4,036万円約843万円
分譲戸建住宅 約3,406万円約799万円
分譲マンション 約3,337万円約1,337万円
中古住宅 中古戸建住宅 約1,926万円約795万円
中古マンション 約1,986万円約1,132万円

出典:国土交通省 住宅局「令和3年度市場動向調査報告書」

上記のデータから、頭金は一般的に住宅価格の20%程度が相場であることが分かります。また、マンション購入においては1,000万円以上の頭金を準備しているケースが多いことも見てとれます。

前述の通り、住宅購入においては住宅価格以外の諸費用も多くかかるため、全体的な自己資金としては住宅価格の25%程度を目安に用意しておくとよいでしょう。

3. 住宅ローンの頭金を用意するメリット

頭金なしでも、住宅ローンを借りることは可能です。しかし、頭金をしっかりと用意することでいくつかのメリットを享受できるようになります。主なメリットは、下記の3つです。

  • ローンの返済額が軽くなる
  • 金利が安くなることがある
  • ローン審査に通りやすくなる

ここからは、それぞれのメリットについてより詳しく説明します。

3-1. ローンの返済額が軽くなる

住宅ローンを借りる際に頭金を支払えば、住宅ローン返済額は軽くなります。したがって、月々の返済額も当然抑えられます。

例えば、5,000万円の住宅を購入する際、頭金なしなら5,000万円全額を住宅ローンで借りなければなりません。一方で、1,000万円の頭金を支払った場合の住宅ローン借入額は、4,000万円で済みます。

それぞれのパターンを35年ローンで返済するとなれば、月々の返済額は下記のような違いが生じます。

月々返済額
頭金なし 141,142円
1,000万円の頭金あり 112,914円

※「返済期間:35年/金利:1%」で算出

このように、1,000万円の頭金ありで5,000万円の住宅を購入した場合、頭金なしで購入した場合と比較して月々の返済額が約3万円、年間にして約36万円も抑えられます。毎月の返済額を高く設定できる場合は、返済期間の短縮にもつながるでしょう。

3-2. 金利が低くなることがある

頭金を用意することのもう1つのメリットが、「住宅ローン金利が低くなる可能性がある」という点です。借入金利が低くなると利息の支払額も下がり、結果として住宅ローンの総返済額を抑えられます。

銀行や金融機関によっては、自己資金の有無によって適用金利に差が生じるケースもあります。例えばフラット35の場合、融資率が住宅価格の「9割以下」と「9割超え」の2つのパターンにおいて、金利の範囲は下記のように異なります。

融資率 金利の範囲
住宅価格の「9割以下」 年間1.650~3.000%
住宅価格の「9割超え」 年間1.910~3.260%

※2022年12月時点

出典:ずっと固定金利の安心【フラット35】「金利情報」

9割以下と9割越えの最大金利差は、0.260%です。2つのパターンの金利を適用させたそれぞれの住宅ローン総返済額は、下記の通りとなっています。

【頭金なし(融資率が住宅価格の10割)】

借入額 3,000万円
金利 1.910%
住宅ローン総返済額 39,511,524円

【頭金あり(融資率が住宅価格の9割)】

借入額 2,700万円
金利 1.650%
住宅ローン総返済額 35,560,413円

このように、3,000万円の住宅を購入する際は、頭金を1割用意するだけで住宅ローン総返済額を400万円ほど抑えられます。たった1割の頭金でも、返済負担がこれだけ変わることを覚えておきましょう。

3-3. ローン審査に通りやすくなる

返済額や利息額が軽減されるだけでなく、住宅ローンを借りやすくなるという点も、頭金を用意することの大きなメリットと言えるでしょう。

住宅ローンを借りる際は、必ず審査を受ける必要があります。住宅ローン審査は、ローン契約者の返済能力のチェックを目的に行うもので、年収や購入する住宅・土地の情報を調査し、いくらくらいの融資が可能なのかが確認されます。

銀行によっては、住宅価格の9割を超えた場合、審査基準が大幅に厳しくなるケースも少なくありません。「頭金を用意できない=十分な資金がなく、住宅ローン返済が滞るおそれがある」とみなされるためです。

反対に、頭金をしっかりと用意した場合は、銀行から計画性や信用力が高く評価され、ローン審査が有利となります。

また、住宅ローン借入可能額は、借入希望額と契約者の年収などによって決定されます。頭金をしっかり用意していれば当然借入希望額は下がるため、そういった点においても審査の通りやすさはアップすると言えるでしょう。

まとめ

住宅ローンの頭金は、住宅ローンを借りて家を購入する際、自己資金として支払うお金のことです。住宅売買契約から引き渡し(融資実行日)までのタイミングで支払うことが一般的です。

住宅ローンの頭金を支払うことには、金利やローン返済総額を抑えられる・ローン審査が有利になるなどのメリットがあります。住宅購入は人生の中で最も大きな買い物となるケースも多いことから、お金に関するメリットは特にうれしいものとなるでしょう。

住宅価格の20%程度が頭金の相場となっていますが、マイホーム購入においては頭金以外にも、手付金やその他諸費用など、現金で必要となるお金がさまざまあります。そのため、全体的な自己資金として住宅価格の25%を目安に購入資金を用意しておくことをおすすめします。