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注文住宅は値引き可能?値引き交渉の流れやコツ・NG交渉など

注文住宅は値引き可能?値引き交渉の流れやコツ・NG交渉など

自分たちの理想を詰め込んでデザインする注文住宅は、人生でもトップクラスに高額な買い物です。予算が限られる中で、なるべく安く、それでいて少しでもよい家を建てたいと考える人は多いでしょう。施工会社によっては、注文住宅でも価格交渉が可能です。

この記事では、注文住宅購入の際に値引きが成功しやすい交渉の流れやコツ、NG行為を解説します。値引き交渉なしでも注文住宅の価格を抑える方法も紹介するため、少ない予算でも理想の住まいづくりを叶えたい人は、ぜひ住宅会社選びの参考にしてください。

1. 注文住宅は値引きしてもらえる?住宅の種類も紹介

一戸建て住宅は、注文住宅と建売住宅の2種類に分けられます。それぞれの特徴は、以下の通りです。

注文住宅

注文住宅は、購入した土地に新築住宅を建てる方法です。購入者が希望する建物の形を建築士に設計してもらい、工務店などの施工会社と建築工事請負契約を締結して建ててもらいます。

基本的に、建築基準法に即していれば外観・間取り・機能・設備・仕様・建材に至るまで、購入者自身が自由に選択可能です。建築条件がなく、購入者が好きな施工会社を選んで依頼できる土地と、あらかじめ施工会社が指定されている土地があります。

建売住宅

建売住宅は、新築分譲住宅と土地をセットで購入する方法です。物件の工事が終了し、完成した状態で購入する場合と、未完成の状態で購入する場合に分かれます。どちらの場合でも、設計が確定し建築確認済証が交付されているため、設計内容を変更することはまずできません。

建売住宅は値引きに応じてくれる場合がある一方、注文住宅は値引きが難しい傾向にあります。

関連記事:工務店で建売住宅は購入可能?注文住宅との違いなども解説!

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1-1. 注文住宅の値引きはなぜ難しい?

注文住宅の値引きが難しい主な理由は、下記の通りです。

  • 注文住宅は受注してから建築するため、売れ残りが生じない
  • 竣工後はすぐに引き渡されるため、建物の維持費・管理費がかからない
  • オーダーメイドで設計・発注をするため、ムダな費用が生じない

無理な値引き交渉には、下記のリスクが伴います。

  • 使用する建材のグレード・品質が下がる
  • 作業工程で手抜きが生じる
  • 請負会社や担当者との関係が悪化する
  • クレーマーと判断される
  • 契約自体を断られる

ただし、注文住宅であっても、条件などによっては値引き交渉が可能です。

1-2. 注文住宅の値引き率の相場とは?

下記は、工務店とハウスメーカーで応じてもらいやすい値引き率の目安です。

工務店 最大3%程度
ハウスメーカー 3~8%程度

基本的に、広告費や宣伝費などの上乗せが少ない工務店は、値引き可能な金額に限りがあります。見積もりの端数を切り捨てる程度でも応じてもらえたら、まず成功と言えるでしょう。

ハウスメーカーの場合、値引き可能な割合は会社で規定されており、限度を超えた値引きには応じられません。無理な値引きを要求すると、建材などの品質低下で対応される場合があるため注意が必要です。

  

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2. 【STEP別】注文住宅の値引き交渉の流れ

建築費用を下げたいからと、ただやみくもに値引き交渉を行っても、かえって成功率を下げることになります。値引き交渉を試みる際は、最終的な落としどころを頭に入れた上で、流れに沿って行うことがポイントです。

ここでは、注文住宅の値引きが成功しやすい交渉の流れを解説します。

2-1. 【STEP1】自分が見込み客と思わせる

値引き交渉を成功に導く第一歩目は、営業担当者に「自分が見込み客である」と認識してもらうことです。

営業担当者からすると、値引き交渉を始めた段階では、目の前のお客さんが「確実に自社の顧客になる相手」かどうか判断し切れません。自社の利益にならない人、あるいは自分の成績にならない人のために、時間や労力を費やして見積もりを見直したり調整したりする営業担当者は少ないでしょう。

反対に、「この人は住宅を購入する意志がある」と確信できれば、何としてでも自社を選んでもらうべく、本腰を入れて交渉の席についてくれます。

2-2. 【STEP2】目標とする値引額を伝える

値引き交渉を行う際は、「値引きしてほしい金額」を明確に伝えることが大切です。そして、「これだけ値引きしてくれれば契約します」と宣言しましょう。会社によっては、値引きの際に上司へ理由を申請しなければなりません。「◯◯円値引きで契約可能」という確約があれば、申請が通りやすくなります。

また、「できれば値引きはしたくない」というのが営業担当者や会社側の本音です。そのため、「ちょっとでいいから値引きして」という言い方では、本当に「ちょっと」しか値引きしてもらえません。そこから何度も「もうちょっと」と繰り返すよりも、最初に目標金額を伝えておいたほうが速やかに話が進みます。

2-3. 【STEP3】歩み寄りの姿勢を見せる

値引き交渉を成功させるためには、こちらからも歩み寄りの姿勢を見せることが効果的です。自分の要求を一方的に突きつけるだけでは、相手からの印象が悪くなり交渉が失敗する傾向にあります。

具体的には、減らしても問題のない設備や機能を削ったり、グレードを落としたりするといった方法です。交渉材料にする際は「本当は削りたくないけれど、この金額は出せないから仕方なく減らす」という気持ちを隠さず伝えましょう。すべてで通用するわけではないものの、「お客さんも頑張っているようだから、こちらも値引きできるところを探そう」と考えてもらうことができます。

2-4. 【STEP4】予算を引き合いに出す

値引き交渉において、「絶対に動かせない予算」を提示することは重要です。予算を大きく超える金額は出しようがなく、契約してもらえないことを営業担当者も理解しているため、何とかして予算内に収まるように調整を試みます。

ただし、相手に本当の予算をそのまま伝える必要はありません。例えば、元の予算より1~2割少なく伝えたり、見積もりから予想される値引き後の金額よりも少し低い金額を予算として設定したりします。すると、予算前後の見積もりが提示されるため、歩み寄りの姿勢を駆使しつつ最後の一押しを狙いましょう。

3. 注文住宅の値引き交渉をするときのコツ6つ!

注文住宅の値引きを交渉する際は、下記の6点を押さえると成功しやすくなります。

  • 2~3社から見積もりを取る
  • 決算期を狙う
  • 値引きされた後の価格を確認する
  • 営業担当者を味方につける
  • オプションの値引きを狙う
  • 値引き交渉は1度だけにする

ここでは、注文住宅の値引き交渉を行う際に押さえるべきコツの詳細を解説します。

3-1. 2~3社から見積もりを取る

まず、値引き交渉に入る前に複数社から見積もりを取り、金額と内容を細かく比較しましょう。この際、依頼する会社が多すぎると混乱しやすくなるため、本命の会社と競合する価格帯のライバル社を選び、2~3社程度に抑えることが大切です。

下記は、見積もりを取る際に留意すべき点となります。

  • 競合他社との相見積もりであることを伝える
  • 建築プランや見積もりの内訳は詳細に作ってもらう
  • 材料費や設備費だけでなく、諸費用がすべて含まれた見積もりを取る
  • 設備設置費用やアフターサポート費用も含まれているか確認する
  • 住宅の工法・性能・仕様は同等のグレードで比べる

関連記事:工務店が示す見積もりの見方|依頼の流れや比較する際のポイントも

3-2. 決算期を狙う

値引き交渉をするにあたって、決算期は狙い目です。どの会社でも決算期の契約は欲しいため、この時期であれば比較的値引き交渉に応じてもらいやすくなります。ただし、決算期は駆け込みで工事が受注されることも多く、現場で混乱が生じやすい点に注意が必要です。

なお、値引きが狙えるのは決算期だけではありません。2月や6月、8月といった注文住宅が売れにくい時期も、値引き交渉がうまくいきやすいタイミングです。決算期だからと焦ることなく、建築プランや見積内容を念入りに確認し、納得した上での契約が大切となります。

3-3. 値引きされた後の価格を確認する

営業担当者が値引きに応じてくれたからといって、額面だけをそのまま鵜呑みにしてはなりません。値引き交渉では、「見積もり額からいくら値引きされたか」ではなく、「値引きされていくらになったか」を確認しましょう。

一部のハウスメーカーでは、初めから値引き交渉が行われることを見越して、高めの価格を見積もりで提示するところがあります。反対に、元々限界まで値下げして見積もりを出す会社の場合、ほとんど値引きできないケースも珍しくありません。

値引き交渉の際は、適正価格と値引き後の価格で金額差を比較してチェックすることが大切です。

3-4. 営業担当者を味方につける

営業担当者が味方になってくれれば、値引き交渉は格段にやりやすくなります。営業担当者にも感情があるため、高圧的な相手や嫌いな相手に対して親身な営業は行いません。反対に互いの信頼関係を築くことができれば、ギリギリまで値引きできるように細かく調整してくれることがあります。

また、希望する設備が予算的に難しく、あきらめざるを得ないような場合でも、予算内に収まる範囲で近い設備を探してくれる人は少なくありません。営業担当者とは値引き交渉以外にも長いつき合いになるため、できるだけ良好な関係を築きましょう。

3-5. オプションの値引きを狙う

住宅本体ではなくオプション部分であれば、比較的値引きに応じてもらいやすい傾向です。例えば、バス・トイレなどの水回りや建具、太陽光パネルといったハウスメーカーが外注する設備であれば交渉の余地があります。

この場合、オプションの金額を直接値引き交渉するよりも、「契約したらこのオプションをサービスしてほしい」と言ったほうが成功しやすいでしょう。一方、ハウスメーカー側が特許を取得しているような構造躯体や、独自に提供する技術・設備などはまず値引きに応じてもらえません。

3-6. 値引き交渉は1度だけにする

値引き交渉は、会社と最終的な契約を交わす直前を見計らい、1度だけ行うのが成功の秘訣です。建築プランが固まる前や詳細な見積もりが出される前の値引き交渉は、ほとんど意味がありません。会社によっては建物や設備のグレードを下げられたり、値引きした分の金額を他の部分に上乗せされたりします。

また、営業担当者からしても、交渉時期が早すぎると何をどこまで値引きするべきか判断がつかないこともあります。値引き交渉を行うのは、建物の詳細がはっきりと決定し、使用する建材や採用する性能・設備などの費用がすべて出そろう契約直前にしましょう。

関連記事:工務店の探し方|情報収集の方法から選定までの流れ

4. 注文住宅の値引き交渉をする際のNG行為とは?

注文住宅の値引き交渉を行う際は、以下の3点に注意が必要です。

1:過度な交渉をする

値引き交渉に応じてくれる最大額は、工務店で3%程度、ハウスメーカーなら3~8%程度までが目安となります。限度額以上の値引きを要望しても、応じてはくれないでしょう。しつこく食い下がって額面上の値引きが成功しても、帳尻を合わせるために建材や設備の質を落とされる恐れがあります。

また、値引きのしわ寄せが下請け業者に行った場合、工事で手抜きをされる可能性は否定できません。どの会社でも「これ以上は絶対に引けない」というラインがあり、過度な値引き要求をすると交渉を打ち切られてしまうことがあります。

2:値引き交渉に応じない会社に交渉を持ちかける

住宅会社の中には「値引きは一切しない」と決めているところも珍しくありません。例えば、高品質な家づくりにこだわりを持っている、職人気質の地場工務店です。

このタイプの会社は、「よいものを適正価格で売る」ことにもこだわっているため、価格に必要最低限の利益しか計上しておらず、値引きできる余裕はありません。会社社長が職人からのたたき上げだったり、営業色があまり感じられなかったりする工務店は、値引き交渉が難しい傾向です。また、はっきりと「定価販売」を掲げている会社も値引き交渉に応じません。

値引きを行わない会社に交渉しても購入者の負担が増えるだけであり、取引自体に応じてもらえなくなる恐れもあるため注意が必要です。

3:値引の詳細を聞く

値引き交渉に応じてもらえたら、値引きの総額だけでなく「どの項目がいくら値引きされたか」を確認しましょう。値引き交渉を前提とした価格設定から上乗せ金額分が減らされただけでは、値引きに成功したとは言えません。何がどのくらい安くなったか項目ごとの詳細を明示してくれるか否かで、その会社がどのくらい誠実かも判断することができます。

5. 値引き交渉なしでも注文住宅の価格を抑える方法5選

注文住宅の価格を抑える方法は、値引きだけではありません。下記のような方法を取ることで、値引き交渉だけに頼らなくてもコストカットが可能です。

  • シンプルな形状にする
  • セミオーダー住宅を検討する
  • 必要に応じて予算計画を見直す
  • オプションの必要性を見直す
  • キャンペーンや紹介制度を利用する

ここでは、値引き交渉なしで注文住宅の価格を抑える方法を紹介します。

5-1. シンプルな形状にする

建物のデザインや間取りをシンプルな形状にすると、住宅の価格を抑えることが可能です。

延床面積が同じ住宅を比較した場合、1階と2階で床面積が異なる部分2階建てよりも、同一面積の総2階建てのほうが価格は安くなります。また、複雑な形状の屋根をつけるより、勾配が緩やかな屋根やまっ平らな屋根のほうが安価な傾向です。

基礎工事費や人件費を最低限に抑えたいのであれば、外壁に凹凸も装飾もない長方体の形状がもっとも安上がりと言えます。他にも、水回りをひとまとめにする、部屋数を減らして壁を少なくするといった方法も有効です。

5-2. セミオーダー住宅を検討する

フルオーダー住宅ではなく、セミオーダー住宅にすると価格を抑えやすくなります。セミオーダー住宅は、基本となる建物の仕様がパターン化されており、そこに好みの性能や設備を組み合わせながら家を作る方法です。

セミオーダー住宅には、下記のようなメリット・デメリットがあります。

【メリット】

● 価格が抑えられる

● 仕様や間取りを決めやすい

● 工期が短縮できる

【デメリット】

● 狭い土地・変形した土地には対応できない

● 会社によっては選択肢や自由度が少ない

5-3. 必要に応じて予算計画を見直す

見積もりの金額と資金が釣り合わない場合は、予算計画自体を見直したほうがよいかもしれません。そもそも、予算計画を立てる段階で土地と建物にいくら使うか、設備にいくら振り分けるかを、ある程度計算できていなければなりません。

予算計画が曖昧で、つい自分が欲しい機能や魅力的な仕様ばかりを優先的に選んでプランを立てていると、希望価格内に収まらない傾向が見られます。今一度予算計画を見直して、不足分が追加できないのであれば、設備のグレードダウンなどを検討しましょう。

5-4. オプションの必要性を見直す

追加したオプションの必要性を見直すことも大切です。オプションの中には、「あったほうがよいもの」と「なくても別に困らない」ものがあります。また、あったほうがよいものの中にも、急いでつける必要のない設備が混ざっていないでしょうか。

例えば、間接照明は作りつけにしなくとも、市販の照明器具で代用することが可能です。食器洗い乾燥機は人気が高いものの、実際にはあまり使わないという意見もあります。オプションによってはランニングコストがかさむことも多いため、長期的な出費も計算に入れて考え直すとよいでしょう。

関連記事:注文住宅のオプション費用相場|オプションを付ける際の注意点も

5-5. キャンペーンや紹介制度を利用する

施工会社によっては、期間限定のキャンペーンを実施することがあります。キャンペーンの内容としては、標準設備からのグレードアップや追加オプションの無料・値引サービス、施工価格の割引サービスなどが一般的です。キャンペーンの場合は値引き交渉とは異なり、品質に大きな影響が出る心配はありません。

また、施工会社を利用した人から紹介されると値引きが受けられる、紹介制度を採用しているところもあります。注文住宅を建てた知人がいる場合、紹介制度が利用できないか聞いてみるとよいでしょう。

まとめ

注文住宅を建てる際、施工会社によっては値引き交渉に応じてもらえます。値引き率は3~8%程度が相場であり、大幅値引きは期待できないものの、交渉してみる価値はあるでしょう。値引きされても予算が足りない場合は、建築プランなどを見直すことも必要です。

お金を節約しつつも高品質なマイホームを建てたい人は、複数の施工会社に見積もりを出してもらったり、住宅のプロに相談したりするとスムーズに進みます。