住宅ローンの知識

住宅ローンを組む際には配偶者の連帯保証人が必要?注意点も紹介

住宅ローンを組む際には配偶者の連帯保証人が必要?注意点も紹介

住宅ローンを組む際には取得物件の資料や収入証明書などの書類が必要となります。同時に、「配偶者の連帯保証人が必要ではないか」と考える人もいるのではないでしょうか。住宅ローン商品の中には、配偶者の連帯保証人が必要となるものも存在します。夫婦2人で1つの住宅ローンを借りたい人は、どのような方法があるのか理解しておきましょう。

当記事では、住宅ローンを組む際に配偶者の連帯保証人が必要となるケースと、夫婦で住宅ローンを組む方法のメリット・デメリットや注意点も解説します。

1. 住宅ローンを組む際には配偶者が連帯保証人になる必要がある?

そもそも通常の住宅ローンを組む際は、下記の理由により連帯保証人を必要としません

● 住宅が担保となるため

住宅ローンでは、住宅ローンを利用して購入した住宅・土地などの不動産そのものが担保となります。万が一返済が滞っても、債権者の金融機関は担保を売却することでお金を回収することが可能です。

● 保証会社を利用するため

金融機関の中には、保証会社と契約することを住宅ローンの借入条件とするところもあります。万が一返済が滞った場合には保証会社が代位弁済するため、金融機関は別の保証を必要としません。

住宅ローンを利用する過程で強力な保証が組み込まれる点が、連帯保証人を必要としない理由です。ただし、次のようなケースでは連帯保証人が求められます。

● ペアローンを組む場合

ペアローンとは、1つの住宅に対して、2人でそれぞれ住宅ローンを組むことです。1人で住宅ローンを組む場合よりも借入可能額が大きくなるため、連帯保証人が必要となります。

● 収入合算で住宅ローンを組む場合

収入合算とは、申込者の年収に配偶者や親子の年収を合算することです。申込者単独で住宅ローンを組む場合よりも借入可能額が大きくなるため、連帯保証人が必要となります。

● 審査で連帯保証人が必要と判断された場合

住宅ローンの本審査で、金融機関から連帯保証人の設定を依頼されるケースがあります。申込者の信用力が足りないなど、例外的なケースです。

つまり、夫婦で1つの住宅を建てて住宅ローンも夫婦で組む場合は、配偶者を連帯保証人にする必要があります。

2. 夫婦で住宅ローンを組む3つの方法とメリット・デメリット

夫婦2人で住宅ローンを組む方法は、下記の3つが存在します。

  • ペアローン型住宅ローン
  • 連帯債務型住宅ローン
  • 連帯保証型住宅ローン

3つの方法は、配偶者を連帯債務者や連帯保証人にする点でよく似ています。しかし、法的な扱いには異なる面があるため、それぞれの特徴を正しく理解しましょう。以下では、3つの住宅ローンの組み方について、概要とメリット・デメリットを解説します。

2-1. ペアローン型住宅ローン

ペアローン型住宅ローンは、1つの住宅に対して2つの住宅ローンを組む方法です。夫婦がともに住宅ローンの債務者となり、また互いの住宅ローンの連帯保証人となります。

● ペアローン型住宅ローンのメリット

夫婦が2つの住宅ローンを組むことにより、1人で住宅ローンを組む場合よりも借入可能額を増やせる点がメリットです。また、契約者の異なる2本の住宅ローンを借りるため、夫婦がそれぞれ住宅ローン控除を申請すれば、節税につなげることが可能です。万が一の事態に備えられる団信(団体信用生命保険)にも、夫婦それぞれで加入できます。

● ペアローン型住宅ローンのデメリット

ペアローン型住宅ローンは2本の契約となるため、登記費用・事務手数料・印紙税といった住宅ローン契約にかかる手続き費用が2倍になります。

2-2. 連帯債務型住宅ローン

連帯債務型住宅ローンは、申込者を主債務者、配偶者を連帯債務者として収入合算を行い、1つの住宅ローンを組む方法です。連帯債務とは、1つの借り入れに対して、複数の債務者が同等の返済義務を負うことを指します。夫婦で連帯債務型住宅ローンを利用する場合においても、連帯債務者は主債務者と同等の返済義務を負います。

● 連帯債務型住宅ローンのメリット

夫婦の収入合算により、借入可能額を増やせる点がメリットです。また、連帯債務型住宅ローンでは、一般的に夫婦がそれぞれの出資額を持ち分割合として住宅を共有名義で所有します。夫婦それぞれの持ち分割合に応じて別々に住宅ローン控除の申請が可能であり、1人のときよりも控除額を増やせます。

● 連帯債務型住宅ローンのデメリット

連帯債務型住宅ローンを利用すると、連帯債務者が団信に加入できない場合があります。金融機関によっては連帯債務者の団信加入を認める特約も存在するため、利用前にサービスをよく確認しましょう。

2-3. 連帯保証型住宅ローン

連帯保証型住宅ローンは、申込者が住宅ローンの債務者となり、配偶者は連帯保証人となる方法です。連帯保証とは、債務者の債務履行を連帯保証人が保証することを指します。債務者が返済できなくなった場合は、連帯保証人が返済義務を負わなければなりません。

連帯保証と連帯債務の違いは、配偶者が置かれる立場です。連帯債務では配偶者にも住宅の所有権がある代わりに、債務も負います。連帯保証では配偶者には住宅の所有権がなく、直接的な債務もありません。

● 連帯保証型住宅ローンのメリット

連帯保証人には直接的な返済義務がなく、配偶者に金銭的な負担をかけずに済む点がメリットです。ただし、連帯保証人には抗弁権がありません。債務者が返済を履行せず、金融機関が連帯保証人に返済を請求した場合は、連帯保証人は請求に応じる必要があります。

● 連帯保証型住宅ローンのデメリット

住宅ローン控除の対象者は債務者のみとされています。連帯保証人は直接的な債務を負わないため、住宅ローン控除額は1人分となる点がデメリットです。連帯保証人は団信に加入できない点にも注意してください。連帯保証人に万が一のことがあっても、残債免除などの措置は適用されません。

3. 夫婦で住宅ローンを組む場合の注意点3つ

夫婦でペアローンなどの住宅ローンを組む場合には、いくつかの注意点が存在します。注意点を理解した上で、夫婦でよく話し合い、お互いに納得した状態で住宅ローンを組むことが大切です。最後に、夫婦で住宅ローンを組む場合の代表的な3つの注意点を解説します。

3-1. 贈与税が発生するケースを理解しておく

夫婦で住宅ローンを組むとき、夫婦の負担割合と住宅の持ち分割合が異なっていると、贈与税が発生する可能性があります。例を挙げて見てみましょう。

贈与税が発生する例

  1. 頭金1,000万円を夫が負担し、夫1,500万円、妻が1,500万円の計3,000万円でペアローンを組む
  2. 住宅の持ち分割合を夫:妻=50:50で登記を行う

例では持ち分割合が50:50であるにもかかわらず、夫の負担額は2,500万円、妻の負担額は1,500万円となっています。そのため、「夫から妻へ1,000万円の財産分与があった」と見なされるかもしれません。夫婦の負担割合と持ち分割合を揃えるか、負担額の差額を110万円以下に抑えることで、贈与税の対策ができます。

3-2. 配偶者の収入減少によるリスクを理解しておく

産休や育休、また病気や事故などによって夫婦のどちらかが休職すると、収入減少によって住宅ローン返済額が生活上の負担となる恐れがあります。住宅ローンの返済期間は長期にわたるため、収入減少によるリスクを考えておきましょう。

万が一、自身や配偶者の収入が減っても大丈夫なように、住宅ローンの返済計画は無理の出ない範囲で立てることが大切です。出産や育児といった事前に想定しやすいライフイベントに対しては、収入減少に備えられるだけの資金を貯蓄することでも対処ができます。

3-3. 離婚時の対応が難しいことを理解しておく

離婚時には、ペアローンなどで組んだ住宅ローンをどうするかでトラブルになる可能性があります。離婚時の住宅ローンは「支払いを継続する」「一括返済する」「ローン借り換えでペアローンを解消する」といった方法があります。しかし、金銭問題や住宅の所有権が絡むため、簡単には解決しないことがほとんどです。

また、住宅ローン契約者が引越しをすると、金融機関から残債額の一括返済を求められる可能性があります。住宅ローンは契約者の住宅取得が前提であり、契約者の引越しは契約違反となるためです。ペアローンなどの返済中に離婚する場合は、住宅ローンの返済や住宅の所有権について、相手と十分に話し合う必要があります。

まとめ

夫婦で住宅ローンを組む際は、配偶者を連帯保証人にする必要があります。夫婦で住宅ローンを組む方法は、ペアローン型・連帯債務型・連帯保証型の3つです。それぞれメリット・デメリットが存在するため、夫婦2人にとってメリットが多い方法を選びましょう。

この記事を参考にいただき、ぜひご夫婦で素敵な家づくりを進めていただければ幸いです。