工務店選びの知識

工務店への予算がオーバーする原因とは?4つの原因と5つの対策

工務店への予算がオーバーする原因とは?4つの原因と5つの対策

注文住宅を建てる際、予算で頭を悩ませる人は少なくありません。人生の中でも特に大きな買い物となるマイホームは、希望や理想を次々に詰め込むことで、予算が膨れ上がってしまう傾向が多いです。建築費用を予算内に収めつつ納得のいく家づくりを進めるためには、予算がオーバーする原因を把握し、適切な対策を練ることが大切です。

当記事では、注文住宅の計画で予算がオーバーする4つの原因と、5つの対策を解説します。コストダウンを考える際に削減しないほうがよい項目も紹介するため、新築住宅を建てる人はぜひ参考にしてください。

1. 工務店への予算がオーバーする主な原因4つ

予算がオーバーする原因を突き止めるためには、まず注文住宅の価格がどのように決まるのかを把握しなければなりません。完全注文住宅の場合は基準となる定価がなく、住宅ごとに必要経費を計上して価格を決定します。内訳の詳細は1件1件異なりますが、注文住宅の価格を検証する際は、大きく下記の4要素に分けることが可能です。

【注文住宅の価格を左右する要素】

  • 住宅の大きさ
  • 住宅の形状
  • 住宅の構造
  • 住宅の内装

上記の要素が住宅の価格を大きく左右する要因となるため、予算がオーバーした場合は4つの要素を見直すことで予算を調整しやすくなります。

次に、注文住宅の予算がオーバーする際のよくある原因4つを紹介します。

1-1. 注文住宅を建てる際の総額費用を把握していないため

注文住宅建築の際にかかるのは、建物本体工事費用だけではありません。他にも土地購入・借入費用や付帯工事費用、諸費用といった項目でそれぞれ予算を考える必要があります。特に見落としがちとなるのが諸費用です。

【一般的な諸費用の内訳】

  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 水道負担金
  • 火災保険料・地震保険料
  • 固定資産税・都市計画税
  • 司法書士報酬
  • 家具・家電代
  • 引越し費用

諸費用だけでも100万円を超えるケースは珍しくなく、特に家具・家電代、引越し代などは当人次第で上限なく膨れ上がる項目になるため、予算をオーバーしやすい原因となります。

1-2. 住宅ローンの借入限度額を把握していないため

注文住宅を建てる人の多くは、自己資金に加えて住宅ローンを利用して予算を立てます。しかし、金融機関がどのくらいの金額を融資するかは人によって異なるため、希望した金額を借り入れられるとは限りません。

借入限度額を把握しないまま建築計画を進めてしまうと、工務店から提示された見積もりに対して予算の総額が下回ってしまう可能性があります。住宅ローンを利用する場合は、建築計画を詰める前に金融機関へ事前審査を申し込み、借入限度額を把握しておくとよいでしょう。

1-3. 途中でプランを変更したため

建築計画を進める中で、「最新の設備を入れたい」「これがあったら便利だろう」と、当初の予定になかったものを追加してはいないでしょうか。「より便利で居心地よく」と考えるのは当然のことですが、それでもやはり予算という現実を無視することはできません。

ものによっては後から追加することも可能です。理想を実現するために無理な資金繰りをするのではなく、まずは予算内に収めることを優先して計画を立てましょう。

1-4. こだわりの優先順位を付けられていないため

「一生に一度の注文住宅には細かいところまでこだわりたい」と考えるのは自然なことです。こだわりを持つことは大事ですが、より質のよい高機能なものに目が行きがちとなり、予算が膨れ上がってしまう場合もあります。

自分好みの欲しいものすべてを取り入れると予算がオーバーしてしまう場合は、こだわりの中でもある程度優先順位を決めて、妥協することも考える必要があります。家族の中でもこだわりたい部分の優先順位は異なってくるため、それぞれの「絶対に妥協したくない部分」と「多少は譲ってもいい部分」をしっかりと相談しましょう。

2. 工務店への予算がオーバーする場合の対策5選

気を付けているつもりでも、小さなことが積もり積もっていつの間にか建築予算が膨れ上がるケースはよくあります。工務店への予算がオーバーする場合、下記の対策が効果的です。

【予算オーバーにならないための対策】

  • 家のサイズや形状を見直す
  • 間取りを見直す
  • 設備を見直す
  • 担当者との打ち合わせを重ねる
  • オプションの必要性を検討する

ここでは、予算オーバーに効果的な方法を5つ紹介します。

2-1. 家のサイズや形状を見直す

家のサイズや形状は、注文価格の金額を最も大きく左右する要素です。当然のことながら、多くの資材を使う大きな家はコストも上がり、少ない資材で建てられる小さな家はコストが下がります。

また凹凸の多い凝った外観の家は、手間がかかる上に外壁材や補強材などの使用量も増えるため、費用が上がる傾向です。使い勝手のよさや生活導線は確保しつつ、削れる部分は削っていきましょう。生活に支障がないのであれば、できるだけコンパクトかつシンプルなデザインを心がけると建築コストを下げられる可能性があります。

2-2. 間取りを見直す

下記の点に着目して間取りを見直すと、予算を削減することが可能です。

【間取りを見直す際のポイント】

  • 部屋数を減らす
  • 和室を減らす
  • 玄関ホールを作らない
  • リビングとダイニングを区切らない
  • 独立した階段を作らない
  • 収納スペースを減らす

部屋の数が多くなれば、その分内壁や建具が必要となります。また、照明・窓・エアコン・収納などの数も増えてしまいます。家族一人ひとりに個室を作るのではなく、大部屋を仕切って使うなどの工夫ができれば、予算の削減につながるでしょう。

2-3. 設備を見直す

住宅本体の次に予算の多くを占めるのが、設備機器です。特に下記の設備は、注文住宅のコストが上がる原因となります。

【コストが高くなる原因となり得る設備】

  • 全館空調
  • 床暖房
  • キッチン
  • バスルーム
  • トイレ
  • お手洗い

全館空調や床暖房などは電気代やメンテナンスのランニングコスト、故障した際の修理費用も高くなるため、本当に必要か否かをじっくり考えてみるとよいでしょう。また、キッチンやバスルームなどは、材質を変更したりグレードを1つ下げたりすることで、大きくコストを下げられる設備です。生活に支障が出ない範囲で変更が可能か検討する必要があります。

2-4. 担当者との打ち合わせを重ねる

担当者と十分に打ち合わせを重ねることも、建築計画では重要です。注文住宅の建築計画では、情報を集める中で次々に新しい要望が出ることがよくあります。

担当者は注文住宅の形を理想に近付けようとさまざまな提案をしてくれますが、資金計画を把握していなければ予算の上限を超えても気付けません。事前に明確な予算を伝えておけば、上限を超えないように配慮してくれるでしょう。担当者によっては、削れるポイントのアドバイスや代替のアイディアを提案してくれるケースもあるため、意思疎通をしっかりと行うことが大切です。

2-5. オプションの必要性を検討する

注文住宅では、工務店が用意する標準仕様をグレードアップしたり、オプションを追加したりする人が珍しくありません。カタログで見ると使いやすそうで素敵に見えますが、すべての住宅に合うとは限らない点に注意が必要です。

例えば作り付けの棚は、部屋の大きさによっては圧迫感を感じたり、生活様式によってはほとんど使わなかったりすることもあります。オプションの多くは後から追加できたり代替品があったりするため、今一度必要性を考え直してみましょう。

3. 予算オーバーでも削減NGな項目とは?

予算をオーバーした場合は、必要のないものを削るといった調整が必要となりますが、中には削るべきではない項目もあります。下記の3点は、特に削った際のリスクが高いため、手を付けないようにしましょう。

  • セキュリティ関連
  • 治安がよい地域でも、防犯意識の低い家は犯罪者に狙われる確率が高くなります。人目に付きにくい窓には面格子を付ける・モニター付きインターフォンを選ぶなど、安心してマイホームに住み続けるためにもセキュリティは重要です。

  • 外構工事
  • 外構部分の土がむき出しのままだと雑草が生い茂り、放置すると蚊が大発生したり近隣から苦情が来たりする恐れがあります。年に数回は除草作業が必要となる上、薬剤を使うと隣家とのトラブルに発展しかねません。敷地内の手入れに時間をかけられない人は、最低限の外構工事が必要です。

  • 地盤改良工事
  • 日本は地震大国であり、絶対に安全と言える地域は存在しないため、地盤改良工事費用はできるだけ削らないようにしましょう。中には安い工法もありますが、お金よりも自分たちの命を優先しなければなりません。可能な限り地盤を頑丈に補強できる工法を選ぶことが大切です。

まとめ

注文住宅を建てる際に予算をオーバーしないためには、建築費用の総額や住宅ローンの借入限度額を把握しておくことが必要となります。また、こだわりを実現するための設備を選ぶ際や計画途中で魅力的なオプションを見付けた際にも、予算を念頭に置いて優先順位を付けることが大切です。

セキュリティ関連や地盤改良工事はしっかりと施しつつ、コンパクトでシンプルな住宅デザインに変更する・オプションを最低限にするなどの工夫をし、予算内に収めましょう。