物置は一度設置すると簡単に移動できないため、事前に最適な寸法や設置場所を把握すると失敗が少なくなります。一戸建てで物置の設置場所を検討する場合は、日当たりや風通しの良さに配慮するほか、ご近所トラブルが発生しないような対策を事前に考えましょう。
当記事では、失敗しない物置の設置場所の選び方と、設置を避けたほうがよい場所を紹介します。物置の設置場所を選ぶ基準や、設置で失敗しないための方法を知りたい人はぜひ参考にしてください。
1.【一戸建て向け】おすすめの物置設置場所
物置の設置は外構工事の1つであるため、基本的に一度設置したら動かすことは滅多にありません。失敗を防ぐには、物置のサイズごとに適した設置場所を選ぶことをおすすめします。庭などの広い場所があるなら、将来家族が増えることを考えて、できるだけ大きめの物置を設置するほうがよいでしょう。
通路などの狭い場所には、収納スペースのある背の高い薄型の物置がおすすめです。玄関前や勝手口の場合は、小型でデザイン性の高い物置を選べば、設置してもスペースを取らずにすっきりとおしゃれに見せられます。
また、カーポートを設置する際にも気を付けたい点がいくつかあります。下記の記事を参考に、設置を検討しましょう。
1-1.物置の表示サイズ
物置のサイズにはいくつか表示方法があるため、物置の設置場所を選ぶ前にまずは表示の種類を確認しましょう。物置のサイズ表示には、土台寸法と開口寸法、屋根寸法と高さ寸法の4つがあります。土台寸法とは、土台の間口(幅)×奥行きの寸法を指し、間口を「規格幅」、奥行きを「規格奥行」と表現する場合もあります。開口寸法とは扉の間口×高さを指し、物置の大きさ自体は同じでも扉の開き方によって異なります。
屋根寸法は屋根の間口×奥行きを指し、土台寸法よりも少し大きいのが特徴です。高さ寸法は床下から屋根部分までの高さを指しますが、設置工事をする際に基礎部分にブロックを敷くため実際の高さは「本体の高さ+ブロックを加えた高さ」となります。
2.失敗しない物置設置場所の選び方・ポイント3つ
物置はさまざまな物を収納できるものの、設置場所を間違えると使い勝手が悪くなったり、結局使わなくなったりする可能性もあります。物置は一度設置すると後から場所を移動させるのが難しいため、設置場所を決める際は慎重に考えましょう。
ここでは、失敗しない物置設置場所の選び方とポイントを紹介します。
2-1.使いやすい場所を選ぶ
物置の最適な設置場所は、実際に何を収納するか使う人の生活スタイルによって異なります。おすすめの設置場所は多々ありますが、基本的には使いやすい場所に設置するのがよいでしょう。
例えば、ガーデニング用品や防災用品を収納したい場合は庭側に、カー用品を収納したい場合は駐車場付近に、自転車を収納する場合は玄関付近に設置するのがおすすめです。実際に物置をどのような目的で使用するかイメージできれば、どこに物置を設置すれば使いやすいかを考えられます。
2-2.日当たり・風通しに配慮して場所を選ぶ
物置を設置する際は、物置内の日当たりや風通しを考えて場所を選びます。日当たりや風通しの良さを考えずに設置場所を選ぶと、物置や収納物にカビが発生しやすい環境になるためです。空気中にはカビの胞子や菌糸の一部が浮遊しており、温度が約20~30度、湿度が約60~70%で繁殖しやすくなります。特に、風通しが悪いと湿気の逃げ場がなくなり、物置内や収納物に付着したカビの胞子などが繁殖する原因につながります。
大型物置なら換気扇をつける方法もありますが、小型物置では換気扇を取り付けるのは難しいため、通気性が良い環境にはなりません。換気扇をつけられない場合でも、壁と接しない日当たりと風通しの良い場所に物置を設置するとカビの発生や荷物の劣化を防止できます。
2-3.ご近所トラブルに注意して場所を選ぶ
物置の設置場所によっては隣人トラブル発生の原因にもなりかねません。あらかじめトラブル発生の原因となりそうな事柄を把握するなど、対策は十分にしたほうがよいでしょう。よくあるトラブルの事例には「圧迫感を感じる」「雪や雨が落ちてくる」「日当たりが悪くなった」などが挙げられます。
トラブルを防ぐには、隣家の玄関付近や境界線から離して設置するほか、背の高い物置は設置しないなどの対策を講じます。
3.物置の設置を避けるべき場所5選
物置の設置場所の選び方の基本は、使いやすく、日当たりや風通しの良い場所を選ぶことです。また、屋外に設置するため隣人トラブルにも配慮する必要があります。設置場所で失敗しないためには、設置を避けたほうがよい場所を把握しておくのも大切です。
ここでは、物置の設置を避けたほうがよい場所について詳しく紹介します。
3-1.家の壁・樹木のそば
物置を外壁に近づけすぎると、外壁を傷める可能性があります。場合によっては、外壁が湿気にさらされてコケやカビが生えたり、台風や地震で物置が動いた際に外壁に傷がついたりするリスクがあります。外壁をカビや傷から保護するためにも、物置は外壁から離した場所に設置しましょう。
樹木のそばは、樹木から積雪や雨水が落ちてくる可能性があります。特に落雪で屋根が壊れるリスクがあるため、樹木のそばに物置を設置するのは避けたほうが無難です。
3-2.避難経路を塞ぐような場所
物置は避難経路を塞ぐ場所へ設置するのは避けましょう。特にマンションは、ベランダに避難通路がある場合が多いため注意が必要です。実際に、避難通路付近に「ここに物を置かないでください」などの注意書きが表示されていることもあります。しかし、物置の設置自体が禁止されているわけではないため、避難経路を塞がなければ設置は可能です。一戸建ての場合でも、人の通行を妨げるような場所に設置するのは不向きと言えます。
3-3.雨水マス・水道点検口の上
物置を雨水マスや水道点検口の上に設置すると、定期清掃や問題が発生した際に業者がすぐに点検作業をできなくなる恐れがあります。雨水マスと水道点検口のほか、量水器・散水栓・汚水マス・浸透マスといった設備の上には設置しないようにしましょう。
水道点検口は大抵の場合、建物の脇や駐車場などの物置が設置しやすい場所にあります。点検口の付近に物置を設置する場合は、蓋が開けられなくなるような設置の仕方は避けます。
3-4.地面のやわらかい場所
物置をやわらかい地面に置くと重みで傾き、構造にひずみが発生する恐れがあります。そのため、地面のやわらかい場所は設置場所には適しません。物置にひずみが生じると、扉の開閉がしにくくなったり劣化が早まったりする可能性もあります。
物置のひずみや劣化を直すには、収納物をすべて取り出し、場合によっては物置自体を建て替える必要があります。建て替えなどの二度手間を回避するために、地面のやわらかい場所への設置はしないようにしましょう。
3-5.崖の上・屋上
安全性を確保するために、屋上や崖の上などに物置を設置するのは避けましょう。物置は、窓がないため、風の影響を受けやすい形状をしています。特に屋上は強風を受けやすく、物置が転倒したり落下したりする可能性があるため危険です。
コンクリートの構造物に部材などをボルトで取り付ける「アンカー工事」をしてある場合でも、強い台風が上陸した際は吹き飛ばされるリスクがあります。また、ベランダやバルコニーに設置する場合もアンカー工事ができないため注意が必要です。崖の上も安全が確保できないため、設置場所に適していません。
まとめ
一戸建てで物置の設置場所を考える際は、物置の土台や開口の寸法などを参考にして設置場所を選びます。「カー用品を収納するなら駐車場付近に設置する」といった使いやすさや、物置内でのカビ発生を防ぐために日当たり・風通しが良い場所を選ぶのもおすすめです。
一方で、避難経路を塞ぐような場所や雨水マス・水道点検口の上、地面のやわらかい場所に設置するのは避けましょう。水道点検口を例に挙げると、定期清掃や問題発生時に業者がすぐに点検作業をできなくなる可能性があります。