疲れた心も休まる快適な環境の家は、人々の健康に欠かせない大事な要素です。住宅と健康は密接に関係しており、住宅環境が良ければ良いほど穏やかな気持ちで過ごせるでしょう。
テレワークなどによって自宅で仕事をする人が多くなり、住宅環境が重要視されている近年、「健康住宅」の注目度がより高まっています。
そこで今回は、健康住宅の基本情報から、健康住宅を建てるためのポイントまで徹底解説します。また、最後に健康住宅の建築事例も紹介するため、「健康住宅を建てたい」「家を建てるときに健康面で配慮したほうがよいことについて知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
1.健康住宅とは?
「良い家」にはさまざまな条件がありますが、そのなかでも特に健康は、家族全員が安心して長く暮らすための重要なポイントです。
そして、健康面に重視して建てる家は健康住宅と呼ばれます。健康住宅に明確な定義はありませんが、基本的には「人」「家」「環境」の3つの要素において、健康を意識した工夫が取り入れられていることが特徴です。
●人の健康
人の健康とは、「そこで過ごす人たちが、快適性の高い環境のなか心身ともに心地よく生活できるか」を考慮した要素であり、健康住宅において最も重要なポイントと言えます。
●家の健康
家の健康とは、文字通り住宅そのものの健康度のことです。住宅の劣化を最小限に抑える工夫を施すことで、快適な住宅環境が長持ちします。結露やカビが発生しにくい断熱材を使用したり、適切なタイミングで適切なメンテナンスを行ったりすることは、家の健康度を高めるために必要な要素です。
●環境の健康
地球環境に考慮した住宅も、健康住宅にあたります。冷暖房の使用を最小限に抑えられたり、環境に負荷がかかる建て替え工事の必要性を抑えられたりする高性能の住宅は、結果として人や家の健康にもつながるでしょう。
また、下記の記事では良い家を建てるためのチェック項目を詳しく解説しています。こちらもぜひ併せて参考にしてください。
2.健康住宅を建てるためのポイント7つ
健康住宅を建てるときは、快適性の高い住空間を長期的に保つためのいくつかのポイントを考慮する必要があります。
ここからは、健康住宅を建てるためにおさえておくべきポイントを7つ紹介します。人・家・環境に優しい住まい空間を確保するためにも、ぜひ参考にしてください。
2-1.空気環境を整える
健康住宅を建てる際に、特に重要となるのが空気環境です。住宅の空気環境を整えることで、「シックハウス症候群」を予防できます。
シックハウス症候群とは、住宅建築に使われた建材から化学物質が発生し、カビやダニが発生したり、カビやダニによる人体への健康被害が生じたりします。健康被害は個人差があるものの、吐き気や頭痛、めまいなどが主な症状です。
空気環境が整った健康住宅を建てるためには、化学物質の発生を最小限に抑えられる建材選びや日頃の換気が重要となります。
2-2.温熱環境を整える
空気環境と同様に重要となるのが、温熱環境です。温熱環境とは具体的に、人が「暑くも寒くもない」と感じられる適切な温湿度環境を指します。住宅の温熱環境が整うことによって環境の健康に少なからず影響を及ぼすエアコンの使用量を抑えられるほか、「ヒートショック」の予防にもつながります。
ヒートショックとは、温度の急激な変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管の疾患を引き起こす健康被害です。暖房が効いた温かい部屋から、温熱環境の整っていない寒い部屋に移動した際などに起こりやすく、高齢者の死亡事故も増えていることから近年では社会問題ともなっています。
温熱環境が整った健康住宅を建てるためには、住宅の断熱性能・気密性を高めることが重要です。
2-3.音振動環境を整える
快適な住環境を確保するためには、音振動環境を整えることも重要です。住宅の防音性能が低いと外の騒音がダイレクトに響くだけでなく、逆に防音性能が高すぎても室内の生活音が反響し合い、ストレスを感じるケースもあります。
環境省では、騒音に関する環境基準を定めています。例として、住宅街における昼間の騒音基準は「50~60dB」です。
目安として、稼働中の洗濯機は60~70dBとなっており、昼間であっても常に洗濯機と同様の音や振動がしている状況では、人はストレスを感じるようになります。
音振動環境が整った健康住宅を建てるためには、防音性や吸音性の高い素材を用いたり、室内の音が反響しないような間取りにしたりすることがポイントです。
2-4.光視環境を整える
光視環境とは、日照や採光、見晴らしがどれほど期待できるかを示す環境のことです。光視環境が良ければ良いほど十分な明るさ・温かさが確保できるため、光熱費削減・省エネにつながります。
光視環境を整えるために最も重要な要素が、窓です。東西南北、各方面にある窓は適切な位置や大きさにしたり、明かり取り用のガラスや日差しを対策できるガラスにするなど、窓ガラス自体に工夫を施したりすると良いでしょう。
下記の記事では、書斎における窓の必要性について詳しく解説しています。ぜひ併せて参考にしてください。
2-5.結露を防ぐ
健康住宅を建てるためには、結露対策も欠かせません。「結露は古い住宅で起こるものであり、新築住宅ならその心配はない」と考える人も多くいますが、新築住宅であっても条件が揃えば結露する可能性は十分にあります。
そもそも結露は、外部の温度と室内の温度差が大きい場合に発生しやすくなります。また、湿度が高かったり、通気性が悪かったりなどの環境も結露の発生につながりやすく、換気をしていなければ発生率はより高まるでしょう。
結露が発生しにくい住宅を建てるためには、二重窓にする・樹脂サッシにするなどの方法が有効です。また、24時間換気システムの設置も効果的でしょう。
2-6.カビを防ぐ
日本は全国的に高温多湿で、湿気や結露によってカビが生えやすいことが特徴です。また、カビは住宅の木材や待っている埃を栄養素とする生物であるため、室内環境をきれいに保たなければさらに広がってしまいます。
カビの発生を防ぐためには、前述した結露対策はもちろん、換気で室内の空気を循環させたり、除湿器やエアコンのドライ運転機能を活用したりするなどの湿気対策も必要です。また、木の家の場合は適切なタイミングでの適切なメンテナンスに加えて、室内全体の温湿度を一定に保てるような「断熱性・気密性の高い家づくり」もポイントと言えるでしょう。
2-7.虫を防ぐ
住宅を建てるうえで、気にする人の多いポイントが「虫」です。特に、木造住宅の場合はシロアリという害虫に気を付けなければなりません。シロアリを放置していると、住宅の構造を支える床下や柱の木材までもエサとして食べてしまうおそれがあります。
また、ゴキブリ・コバエ・ダニは木造住宅に限らず出現するおそれのある虫です。快適に過ごし続けるためにも、可能な限り虫対策をしておきたいという人も多いでしょう。
虫の発生を防ぐためには、そもそも虫が発生しやすい土地を選ばないことがポイントです。田んぼの多い立地や川沿いの立地は虫が発生しやすいため、なるべく避けましょう。そのうえで、防虫効果が期待できるヒノキ・ヒバなどの天然木を用いたり、建築時は木材に防蟻処理を施したりすることで、虫対策のさらなる効果が期待できます。
3.健康住宅の建築事例
人・家・環境に配慮した健康住宅を建てるためには、健康住宅を建てられる・得意としている工務店に依頼することが最もおすすめです。
最後に、健康住宅の建築に対応する工務店の実際の建築事例を2つ紹介します。健康住宅を建てたいという方や、健康住宅として建てられる住宅はどのような住宅なのかが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
3-1.株式会社イムラ
株式会社イムラは、奈良・大阪エリアを中心に、自然素材の木造住宅の建築やリフォーム工事を手掛ける工務店です。
最大の特徴は日本三大美林の1つとも言われている川上村産まれの最高級ブランド木材「吉野杉」で、構造材から内装材までほとんどの木部に吉野杉が使用されています。あたたかみのあるデザイン性や自然を感じる香りは、和の雰囲気を演出したい方にぴったりと言えるでしょう。
また、株式会社イムラでは耐震基準を守った家づくりも可能です。
耐震基準を守った家づくり|新旧耐震基準の違いと確認方法も解説
株式会社イムラの建築事例・実績をより見たいという方は、下記のページもぜひ確認してください。
3-2.健康住宅株式会社
健康住宅株式会社は、福岡・佐賀エリアを中心に、九州地方の気候に合わせたプレミアム性能の住宅建築やリフォーム工事を手掛ける工務店です。健康住宅がSDGsの実現に貢献すると考え、住まいや暮らしをより豊かなものにできる省エネルギー・高性能住宅の建築を主に手掛けています。
健康住宅株式会社では、家族全員が快適に過ごせる二世帯住宅の実績もあります。屋久島の杉を用いた床材は肌触りが優しく、心地の良い雰囲気をつくりあげています。また、家族それぞれが自分の趣味を楽しめる空間を設けたことによって、より快適に、かつ長く過ごせる住宅に仕上がりました。
まとめ
健康住宅は明確な定義がないものの、主に人の健康・家の健康・環境の健康に配慮してつくられた高性能な住宅を指します。
健やかに暮らし続けられる注文住宅を建てたいなら、いくつかのポイントをおさえることが大切です。建築時にはどのような工夫を凝らせば良いのかは、住宅に何を求めるか・どのような立地に家を建てるかによっても細かに異なるため、逐一工務店へ相談することがおすすめです。
どのような住宅性能や住まい心地が夫婦・家族にとって快適に感じるのかは、それぞれのこだわりによって大きく異なります。住まいづくりのヒントを得たい方は、工務店への相談に加えて、各住宅会社が開催しているモデルハウスや住宅展示場の無料見学イベントに参加してみるのもよいでしょう。