工務店選びの知識

工務店に対する契約解除は可能?違約金の詳細からよくあるQ&Aまで

工務店に対する契約解除は可能?違約金の詳細からよくあるQ&Aまで

注文住宅の建築請負契約を交わした後でも、施工業者への信頼感が損なわれたり急な転勤が決まったりして、依頼を取り消したいと考える人もいるでしょう。しかし一度成立した契約を解除する場合、施工済みの建築費用に加えて違約金の支払いが発生することがほとんどです。

当記事では、工務店に依頼した注文住宅の建築を取り消す場合に支払う違約金の目安や、契約解除に関してよくあるQ&Aを解説します。理想の家づくりを行う中で工務店との契約解除や依頼先の変更を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

1. 工務店に対して契約の解除はできる?

発注済みの注文住宅が完成していなければ、工務店との契約が正式に成立した後でも契約解除はできます。請負契約解除を考える理由は人それぞれですが、下記のケースが一般的です。

  • 担当者の対応に不信感を抱いた場合
  • 工務店の経営状況に不安を感じた場合
  • 急な転勤や引越しが決まった場合
  • 別の施工業者に依頼を乗り換えたい場合

工務店側に瑕疵があった場合はともかく、注文者側の都合でも契約キャンセルが可能なのか不安に思う人もいるでしょう。しかし、どのような理由であっても建築工事の完了前という条件に限り、注文者の一存で契約を解除することができます。民法の第六百四十一条に定められた請負契約における注文者の権利であり、工務店側が契約解除の要求を拒否することはできません。

ただし、注文者側の事情により一方的に契約を解除する場合は、請負側に対して損害を賠償する義務が発生します。工事請負契約成立後に施工業者が行う、住宅完成に向けた建築資材の発注や人員の手配といった、労力や出費に対する対価となります。

出典:e-Gov「民法 第六百四十一条」

2. 【段階別】工務店との契約を解除する場合の違約金はいくら?

工務店との契約成立後に依頼を取り消す場合、必ず損害金を賠償しなければなりません。工事の進捗次第では、高額な違約金が必要となることもあるため、契約を解除すると決めているのであればできるだけ早期に動いたほうがよいでしょう。

ここでは、工務店との契約を解除する場合の違約金について、段階別に紹介します。

2-1. 【仮契約後】およそ10万円

仮契約後に契約を解除する場合にかかる違約金の目安は、およそ10万円です。工務店により多少異なりますが、仮契約時に支払う申込金と同程度と考えればよいでしょう。

工務店に注文住宅の建築を依頼する場合、仮契約を交わした後は具体的な住宅の建築計画を立て、プランで合意が得られたら本契約に至ります。つまり、仮契約時点では住宅部材の注文や人員の手配といった資金の動きは始まっておらず、ほとんどの場合で工務店側には大きな損害は出ていません。

ただし、住宅のプランニングにあたり人件費などは発生しているため、見積もりが始まっていれば申込金は返金されないケースが一般的です。仮契約後の経過日数や進捗状況などにより、工務店ごとのキャンセル時の取り扱いが異なるため、事前に確認しておきましょう。

2-2. 【本契約後】住宅価格のおよそ5~10%

本契約後に契約を解除する場合にかかる違約金の目安は、住宅価格のおよそ5〜10%で、本契約後に支払う工事の手付金(契約金・着手金)と同程度と考えればよいでしょう。

ただし、本契約後と言っても建築計画がどこまで進んでいるかにより、金額に差が出ます。契約直後であれば手付金を放棄するだけで済みますが、住宅の設計や地盤調査、改良工事などが始まっていれば、改良工事分の工事代金を請求されるケースは少なくありません。

また工務店によっては、手付解除ができる期日を明確に定めているところもあります。経過日数や進捗状況により、違約金の金額を細かく設定しているところもあるため、契約を交わす際には入念な確認が必要です。

2-3. 【工事開始直前】タイミングによって異なる

工事開始直前になってからの違約金は、契約を解除するタイミングによって金額に大きな差が生じます。工事開始直前のキャンセルでは、仮契約時の申込金と本契約時の手付金に加え、設計・地盤調査・改良工事にかかった費用は、まず間違いなく請求されるでしょう。

さらに、工事開始直前となれば建築に必要な住宅部材の発注や人員の手配が行われています。他にも建築確認申請や建物の構造計算・給排水計算など、住宅の建築に必要な事前作業はすべて終了しているケースが大半です。もろもろの作業代や発注・外注に対するキャンセル料も発生するため、損害が高額になる傾向にあります。

注文者がどの程度の金額を負担するかは、工務店ごとに決め方が異なります。本契約を交わす前にしっかりと契約書をチェックしておきましょう。

 

2-4. 【建築中】建築費用全額の可能性がある

建物の建築が始まってから契約を解除する場合、建築費用の全額を支払うケースが一般的です。工事の進み具合でも異なりますが、建築中の契約解除はあまり現実的とは言えないでしょう。

少なくともすでに工事が終了している分の建築費用は、確実に支払わなければなりません。また、別途違約金を請求されることがほとんどです。建築の進捗状況によっては、契約を解除せずに完成させてから住宅を売却するほうが、注文者の負担やデメリットが少なくなるでしょう。

3. 工務店の契約解除に関してよくあるQ&A3つ

工務店との契約解除という大きな決断をする際には、さまざまな疑問や不安も生まれるでしょう。特に質問として多いのが、下記の3点です。

  • クーリングオフの適用
  • 住宅ローンの扱い
  • 工事途中に欠陥が判明した際の契約解除

ここでは、工務店の契約解除に関してよくある質問とその回答を紹介します。

 

3-1. クーリングオフは適用されますか?

工務店との契約においても、適用条件さえ満たしていればクーリングオフが可能です。

例えば、モデルハウスを見学した際に、担当者のセールストークに乗せられてその場の雰囲気で申込書にサインしてしまった場合、などが当てはまります。この場合は、契約が成立してから8日以内に「契約解除通知書」を送付すれば、申込金の支払い後でも契約を解除することが可能です。

一方、下記のような場合はクーリングオフが適用されません。

  • 契約書が交付されてから8日以上経た場合
  • 工務店の営業所に赴いて契約を交わした場合
  • 自宅や勤務先に担当者を呼び出して契約を交わした場合

クーリングオフは、消費者が十分な説明を受けておらず、正常な判断を下せない・断り切れない状況で交わしてしまった契約を取り消せる制度です。

注文住宅は建物の設計や見積もりの提出など、何度も打ち合わせを重ねて本契約に至ります。十分な判断材料があり、明確な意思をもって契約を交わしたと判断される場合は、クーリングオフの適用外となるケースがほとんどです。

3-2. 住宅ローンはどうなりますか?

金銭的な事情で契約解除に至る場合、契約書に記載された期限内であれば「ローン特約」が適用されます。

ローン特約とは、住宅ローンの審査に通過できず融資が受けられなかった場合に、無条件で売買契約を白紙に戻せる救済措置です。ローン特約の適用が受けられれば、違約金が発生せず、契約時に支払った手付金も返還されます。

土地や建物の購入時に、工務店や不動産会社などが斡旋する提携金融機関でローンを組む場合は、必ずローン特約が盛り込まれています。もし、業者の提携金融機関を利用しない場合は、ローン特約を契約書に盛り込んでもらえるよう、注文者自身で工務店に申し出なければなりません。

工務店と契約を交わす際には、万が一の事態も想定してローン特約を盛り込んでおくなど、契約を解除しやすい条件を整えておくことが大切です。

3-3. 工事途中に欠陥が判明した際は契約解除できますか?

注文住宅建築中に何かしらの欠陥や不備が判明した際、工務店側の対応によっては一方的な契約解除が可能です。

注文者側には、注文住宅が計画通りに完成するよう欠陥箇所の補修や修正を要求する権利があり、工務店側には応じる義務があります。もし下記のような状況に陥った場合は、契約を解除することができるでしょう。

  • 契約書が交付されてから8日以上経た場合
  • 工務店の営業所に赴いて契約を交わした場合
  • 自宅や勤務先に担当者を呼び出して契約を交わした場合

ただし、工事の欠陥が一般的に見て軽微だと判断される場合は、無条件での契約解除はできません。また工務店側に非があっても、工事が行われた分の費用は支払う必要があります。

出典:e-Gov「民法 第五百四十一条 第五百四十二条」

まとめ

注文住宅の完成前であれば、どのような理由であっても注文者の一存で建築契約を解除することができます。ただし、契約解除の理由やタイミングによっては申込金や手付金の返金が受けられず、違約金が高額になる可能性を念頭に置いて動かなければなりません。

基本的に契約解除の時期が早ければ早いほど支払額は少なくなります。また状況によっては、クーリングオフやローン特約が適用される場合もあります。契約内容は十分に読み込み、違約金の金額やローン特約の適用期限などを把握しておきましょう。