住まいの知識

欠陥住宅を避けるための方法とは?具体例から対処法まで徹底解説!

欠陥住宅を避けるための方法とは?具体例から対処法まで徹底解説!

住宅は一生に一度の大きな買い物であるため、欠陥住宅は避けたいものですが、マイホームを購入するときに欠陥住宅を避けるポイントが分からず悩んでいる方は多いです。

しかし、信頼できる住宅会社を選んだり、住宅性能表示制度を使って専門家の力を借りたりすることで、欠陥住宅を避けることができます。

この記事では、欠陥住宅の定義やその具体例、また欠陥住宅を避けるための予防策を4つ紹介します。住み始めてから欠陥住宅だと分かった場合の対処法も併せて解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.欠陥住宅とは?

欠陥住宅被害全国連絡協議会によると、欠陥住宅とは「通常有すべき安全性を欠いた住宅」であるとされています。ここにある「安全性」とは、具体的には構造上、防火・耐火上、または健康に対する安全性のことです。

引用:欠陥住宅被害全国連絡協議会「欠陥住宅・欠陥住宅問題とは」

これらの安全性に問題がある場合は、 住人の生命や健康を害する恐れがあるため、非常に重大な問題になります。

欠陥住宅は基礎や柱、壁、床など住まいの骨組みそのものに欠陥がある場合が多く、設計ミスや施工不良が主な原因とされます。引き渡しから1~3年以内に欠陥が判明することが多いです。

欠陥住宅という言葉がクローズアップされるようになったのは、1995年の阪神・淡路大震災が契機だと言われています。地震で多くの建物が倒壊し、その下敷きになり多数の被害者が出ました。

倒壊した建物は筋交いや留め付けに不備があったり、壁の配置が偏っていたりするなど構造上の欠陥が指摘されたため、欠陥住宅という言葉が注目されるようになりました。

1-1.欠陥住宅の具体例

欠陥住宅の具体的な欠陥事例には、下記のようなものがあります。

  • ・基礎や壁、天井にひび割れがある
  • ・床や柱が傾いている
  • ・雨漏りがする
  • ・断熱材が不足しており、ひどい結露が発生する

いずれも住宅の骨組みに問題があり、住人の生命や健康に悪影響を及ぼす可能性のある欠陥です。

このような欠陥に関する専門家への相談件数は年々増加しており、2015年には1,848件の相談が住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられました。その中で多く相談された住宅の不具合は、外壁や屋根などのひび割れで、全体の約23%を占めます。

出典:国土交通省「住宅に関わる消費者相談体制について」

2.欠陥住宅を避けるための予防策4つ!

欠陥住宅を避けるための最初のステップは、理想のマイホーム像や予算をしっかり固めておくことです。家族で話し合った将来のライフスタイルが実現できる理想のマイホーム像を建築士に伝え、設計してもらいます。

予算についても建築士に設計の段階でしっかり伝えて、デザイン性や性能と価格の兼ね合いを考慮しましょう。

ここでは、欠陥住宅を避けるために事前にとれる予防策を4つ紹介します。

2-1.信頼できる住宅会社を選ぶ

欠陥住宅を避けるには、信頼できる住宅会社に建築を依頼することが重要です。

施工トラブルを避けるためにも、選ばないほうがよい住宅会社の特徴を紹介します。

●何でも請け負っている

「どんな家でも建てられる」というスタンスの住宅会社は、専門的な知識や経験が浅く、技術が不十分な可能性があります。

●契約を急かしてくる

「いま契約してもらえれば〇〇円安くします」というように、施主に考える余地を与えず決断を迫ってくる住宅会社は要注意です。安くなった料金の分だけ建材のランクダウンなどを行い、どこかでコストを削って調節している可能性があります。

●下請けに施工を丸投げする

契約する会社と、実際に工事する会社が別々のケースです。施工業者は、同じ利益ならかける時間は少ないほうが月あたりの利益があがるため、手抜きをしてでも工期を短縮しようとする可能性があります。

2-2.契約書を弁護士にチェックしてもらう

契約の段階で何かおかしいところがないか、住宅会社や施工会社とは関係ない第三者に契約書をチェックしてもらうと安心です。弁護士などの専門家であれば、一般人では気づけない契約内容の問題点を指摘してくれます。

工事請負契約書には下記の書類がきちんとついているかも確認する必要があります。

  • ・契約約款
  • ・設計図書
  • ・見積書
  • ・工程表

弁護士などに確認してもらうときも、これらすべてを見てもらいましょう。

また、「〇〇をサービスします」と言われたのに契約書に記載されていない場合、後々のトラブルにつながる恐れがあります。口頭でのやりとりもきちんと書面化されているかチェックしましょう。

2-3.内覧で物件をチェックする

引き渡し前に住宅のチェックができる内覧のときは、住宅の状態を隅々まで確認しましょう。チェックポイントは、主に下記の通りです。

  • ・図面どおりに建築されているか
  • ・外壁や基礎にひび割れがないか
  • ・天井や壁に雨漏りの形跡がないか
  • ・床の上にビー玉などを置いて転がらないか
  • ・歩いてみて床がきしまないか
  • ・ドアや窓がスムーズに開閉できるか

きちんと調べるために役立つ下記のような持ち物を持っていくとよいでしょう。

  • ・ビー玉やゴルフボール
  • ・電源コード
  • ・懐中電灯
  • ・付箋やマスキングテープ

電源コードはコンセントが通電されているかどうかを確認するときに使います。懐中電灯で床下を照らしてゴミが残されていないかも点検しましょう。付箋やマスキングテープは、問題箇所に疑問点などを書いて貼り、写真を撮って残しておくというように使います。

2-4.住宅性能表示制度を活用する

住宅性能表示制度を活用することで、住宅の品質について客観的な評価を得ることが可能です。住宅性能表示制度とは、住宅品質確保促進法にもとづいた制度で、第三者機関によって住宅が客観的に評価され、住宅性能評価書が発行されます。

設計の段階から評価が始まり、施工段階と完成段階の調査も行われるため、完成してからでは見られない基礎や壁の内部なども見てもらえるのがメリットです。

住宅性能評価で検査する10分野は下記の通りです。

  • ・構造の安定
  • ・劣化の軽減
  • ・維持管理・更新への配慮
  • ・温熱環境・エネルギー消費量
  • ・火災時の安全
  • ・空気環境
  • ・光・視環境
  • ・音環境
  • ・高齢者等への配慮
  • ・防犯対策

他には何かトラブルがあったときに1件 1万円で住宅紛争処理機関に紛争処理を依頼できたり、住宅ローンや地震保険において優遇されたりします。

出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅紛争審査会による住宅紛争の解決に向けた手続」

3.住み始めてから欠陥住宅と分かったときの対処法

万が一、住み始めてから欠陥住宅と判明したときでも、泣き寝入りする必要はありません。法律や専門家を味方につけて、売主である住宅会社の責任追及をすることが可能です。

ここでは、住み始めてからマイホームが欠陥住宅であると分かったときにとれる対処法を2つ紹介します。

3-1.不法行為責任を追及する

民法では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害」する行為は不法行為であるとし、不法行為をした者は被害者に対して責任を負うこととされています。

引用:e-Gov「民法」

つまり、不法行為で損害を受けた人は相手方に損害賠償請求できるため、欠陥工事をされてしまった場合、住宅会社に損害賠償を請求することが可能です。

不法行為の責任を追及できるのは、損害を知ってから3年、不法行為の発生から20年です。

出典:e-Gov「民法」

どこまでが不法行為にあたるのか、法律の専門家でなければ判断しきれない部分があるので、弁護士などに相談することをおすすめします。

3-2.住宅瑕疵担保履行法による保証を受ける

住宅品質確保促進法で、新築住宅は完成・引き渡し後10年以内に構造耐力上主要な部分などに瑕疵が見つかったら、無償で補修を受けられると定められています。

出典:e-Gov「住宅の品質確保の促進等に関する法律」

しかし、この間に売主や施工業者が倒産してしまい責任を問える相手がいなくなってしまう場合もあるでしょう。そのような場合に備え、住宅瑕疵担保履行法によって売主は「保証金の供託」か「保険加入」を義務づけられています。

住宅瑕疵担保履行法によって、欠陥の補修にかかる費用を保険などでカバーすることが可能です。

出典:e-Gov「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」

また2020年4月の民法改正により、「瑕疵担保責任」という言葉は「契約不適合責任」に置き換えられることになりました。

まとめ

欠陥住宅とは、本来住宅が持っているべき安全性を欠き、健康被害を引き起こす危険性のある住宅と定義されます。欠陥住宅を避けるには、信頼できる住宅会社を選び、契約内容についてしっかりと確認する必要があります。また、住宅性能表示制度のような公的な制度を活用することでも、欠陥住宅を避けることが可能です。

もし、マイホームに住み始めてから欠陥に気づいた場合は、法律を味方にして、住宅会社の責任を追求しましょう。弁護士などの専門家が住宅のトラブルに対応できるため、悩みや不安がある場合は、専門家に相談することがおすすめです。