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脱衣所にクローゼットを設置するメリット|必要な広さも解説

脱衣所にクローゼットを設置するメリット|必要な広さも解説

洗濯物を収納するとき、収納ボックスへ片付けるために一枚一枚たたんだり、クローゼットへ一つずつかけたりする必要があり、手間がかかります。洗濯物の収納に時間が取られるとゆっくりできる時間が削れ、日々忙しなさを感じる人もいるでしょう。洗濯物を効率的に収納する方法として、脱衣所にクローゼットを設置することが挙げられます。

当記事では、脱衣所にクローゼットを設置するメリット・デメリットと、クローゼットを設置する場合に必要な広さ、家事を快適にする洗濯動線などについて解説します。

1.洗濯から収納まで1か所で済ませられる「脱衣所+ランドリールーム+クローゼット」

広めの脱衣所に、ランドリールームとクローゼットを設けることで、日々の洗濯から収納までを1か所で済ませられるようになります。洗濯物を干す場所から収納場所まで移動する手間が省けるため、家事に割く時間を短縮できるでしょう。

また、脱衣所にクローゼットを設けると、通常は家族全員分の衣類が1か所に集まり、「ファミリークローゼット」になるのも魅力です。ある程度のスペースを確保しなければならないものの、洗濯した衣類を家族一人ひとりの部屋まで運ぶ必要がなく、家事が楽になります。

1-1.洗濯・収納に必要な設備が分散している場合の洗濯動線

洗濯動線とは、洗濯をする際の人の動きをあらわす線のことです。洗濯・収納に必要な設備が分散していると、家のなかをあちこち動き回らなければならなくなり、洗濯動線は複雑になります。

一般的な家庭の洗濯動線は、下記の通りです。

1 脱衣所
洗濯物を取り出す
2 ベランダ・ランドリールーム
洗濯物を干す
3 ベランダ・ランドリールーム
洗濯物をたたむ
4 クローゼット
収納する

洗濯機は1階にあり、ベランダやランドリールームは2階にある、という家庭も少なくありません。そのような家庭では、洗濯物を取り出してから収納するまでに階段を昇り降りする必要があり、足腰への負担も大きくなりがちです。重い洗濯カゴを抱えて階段を昇り降りするのは、年齢を重ねるほど体力的にも厳しくなるでしょう。

クローゼットについても、家族それぞれの部屋に設置されている場合が多く、たたんだ洗濯物を運ぶのに時間がかかります。子ども用の衣服は1階、大人用の衣服は2階と分けている家庭も多く、またしても階段の昇り降りが必要になります。

1-2.洗濯・収納に必要な設備を一か所に集めた場合の洗濯動線

洗濯・収納に必要な設備を1か所に集めた場合、洗濯動線は下記の通りです。

1 脱衣所
洗濯物を取り出す
2 脱衣所
洗濯物を干す
3 脱衣所
洗濯物をたたむ
4 脱衣所
収納する

洗濯物を取り出してから収納するまでの動線は非常にシンプルです。すべての作業が1か所で完結するため、時間を節約できる上に足腰への負担も軽減できます。

脱衣所にクローゼットを設けることで、ファミリークローゼットとして使えるのもポイントです。収納の手間が省けるので、家事の時短につながります。

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2.脱衣所にクローゼットを設置するメリット・デメリット

「洗濯作業の時間短縮を実現したい」という理由から、脱衣所へのクローゼット設置を検討している人も多いでしょう。しかし、脱衣所にクローゼットを設置することには、メリットだけでなくデメリットもあります。設置を検討している場合は、メリットとデメリットを比較して考えなければなりません。

ここでは、脱衣所にクローゼットを設置するメリット・デメリットを詳しく説明します。

2-1.メリット

脱衣所にクローゼットを設置すると洗濯動線に無駄がなくなり、家事が楽になるだけでなく、生活しやすさも高まるというメリットがあります。

たとえば、帰宅してすぐお風呂に入りたいとき、自分の部屋まで着替えを取りにいく必要がありません。出かける際に部屋着から着替えるときは、わざわざ自分の部屋に行かなくても済みます。脱衣所にクローゼットを設置すると生活全般が楽になり、ワンルームに住んでいるかのような便利さがあります。

また、家族全員のクローゼットが1か所に集まるファミリークローゼットになるため、衣類の管理がしやすいのも大きなメリットです。子ども用の衣類の量もひと目で把握できるようになり、いざというとき「服が足りない」という状況を回避できます。

2-2.デメリット

脱衣所にクローゼットを設置するデメリットは、広いスペースが必要なこと、脱衣所が混み合う可能性があることです。

家族全員のクローゼットを1か所に集めるためには、ある程度は余裕のあるスペースが必要です。何人分の衣類を収納するのか、どの程度を収納するのか、家族構成やそれぞれが持つ衣類の量によっても必要なスペースは変わります。1階の床面積が狭い住宅では、クローゼットの設置が難しい場合もあるでしょう。

また、朝の忙しい時間帯や、お出かけ前の準備の際に脱衣所が混み合うこともデメリットの1つです。他の誰かが洗面所を使っていたり、シャワーを浴びていたりすると脱衣所に入りにくい気持ちもあるでしょう。必要な衣類を取ったら自分の部屋で着替える、お出かけ用の服は別の場所で保管するなどの対策が必要です。

3.脱衣所にクローゼットを設置する場合に必要な広さ

脱衣所にクローゼットを設置する場合、必要な広さは使用目的と収納物によって変わります。使用目的は大きく分けると「収納」「着替え」の2つです。

衣類の収納さえできればよい場合は、クローゼットの設置スペースさえ確保できれば問題ありません。着替えまで1か所で済ませたい場合は、さらに広いスペースが必要になります。また、クローゼットに何を収納するかというのも重要なポイントです。仕事着・部屋着・外出用の衣服・バッグ・アクセサリーなど、どこまでをクローゼットに収納するのか考えなければなりません。

使用目的や収納量によって差はありますが、「4人家族で約4畳」を目安にするとよいでしょう。4畳以上のスペースがあれば、家族全員分のアイテムを1か所に収納できます。間取りも意識しながら整理整頓すれば、着替えるための空間も十分に確保できるでしょう。

3-1.十分な広さを確保できない場合

十分な広さを確保できないと、脱衣所にクローゼットを設けることはできません。中途半端な広さだと、着替える際に窮屈さを感じたり、収納できる衣類が制限されて本来のメリットを享受できなかったりする可能性もあります。洗濯・収納スペースの一元化を目指す場合は、ある程度の広さを確保することが必須条件です。

とはいえ、家全体の広さで考えると、必要なスペースはわずかなものです。リビングなど他のスペースを削れる場合は、他のスペースを削ってもクローゼットのスペースを確保する意義は十分にあるでしょう。

限られたスペースを有効活用する方法として、物干し竿やキャスター付きの可動式棚を導入するのもおすすめです。「広さが足りないときは高さに注目する」というのも活用方法の1つとして覚えておきましょう。

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4.脱衣所にクローゼットを設置しても湿度は問題なし

脱衣所にクローゼットを設置すると、クローゼットと浴室の位置が近くなります。そのため、お風呂の蒸気や干している洗濯物から出る湿気により、湿度が高くなるのではないかと不安を感じている人も少なくありません。

現在の一戸建て住宅では、湿度の問題について心配する必要はほとんどありません。現在の一戸建て住宅は、室内の一部分に湿気がたまらないように換気されている場合がほとんどです。

湿気がたまりやすい部屋には換気扇がついており、24時間稼働して湿度を一定に保ってくれます。お風呂のドアも高性能になっていて、入浴後はドアを閉めて換気扇を回しておけば、湿気が脱衣所へ漏れ出る心配もないでしょう。

湿度が気になる場合は、脱衣所に小さめのサーキュレーターや、コンパクト乾燥機を置くのもおすすめです。サーキュレーターにより脱衣所内の空気が循環するため、湿気が1か所にたまりにくくなります。洗濯物が早く乾くと、部屋干し臭対策にもなるでしょう。

まとめ

脱衣所にランドリールームとクローゼットを設置することで、洗濯から収納までを1か所で済ませることができます。すべての作業を1か所で済ませられると家事を時短でき、足腰への負担の軽減にもつながります。

ただし、脱衣所にクローゼットを設置するにはある程度の広さが必要です。4人家族であれば約4畳を目安にスペースを作りましょう。十分なスペースを確保するのが難しい場合は、物干し竿やキャスター付きの可動式棚もおすすめです。また、高さに注目することで一元化を実現できます。

現在の一戸建て住宅は、湿気がたまりやすい部屋に換気扇がついており、24時間稼働して湿度を一定に保っています。湿度が気になる場合は、サーキュレーターやコンパクト乾燥機を置くのがおすすめです。

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