注文住宅を建てる場合、工務店またはハウスメーカーに依頼します。工務店に家づくりを任せるべきか悩んだときは、まず工務店で家を建てるメリットを把握しましょう。メリットは個人によってとらえ方が異なりますが、判断材料の1つになります。
今回は、工務店とハウスメーカーの違いを解説したうえで、工務店で家を建てる5つのメリットをご紹介します。工務店に対する誤解についても触れるので、注文住宅を建てる予定がある人は、ぜひ当記事をお役立てください。
1.工務店とは?
工務店とは、ハウスメーカーよりも狭いエリアで、住宅建築を請け負う建築会社です。新築だけでなく、リフォームや増築などにも対応しており、地域に密着した活動を行っています。
工務店は形態や営業規模、経営スタイルによって、大きく3つの種類に分けることができます。
(1)地域密着型の工務店
拠点を置く市町村を中心に、地域密着型で住宅の施工を請け負う地場工務店です。家族で経営していたり、数名の社員で成り立っていたりするケースが多いです。現場の大工が成功から設計までを管理している工務店もあります。
(2)フランチャイズ加盟の工務店
各地域の工務店が、フランチャイズ加盟店として施工する形態の工務店です。本部で開発された工法や規格を使用したり、各地域の工務店同士で情報共有を行っています。建築資材は本部が一括で仕入れるため、コストを抑えることが可能です。
(3)中堅ビルダー型の工務店
地域密着型ではあるものの、着工棟数が他の工務店よりも多く、営業にも力を入れている工務店です。住宅展示場やモデルハウスを用意するなど、積極的な営業を行う工務店もあります。また、自社で開発したブランド名で営業している工務店や、オリジナルの商品を販売している工務店もあります。
1-1.工務店とハウスメーカーの違い
工務店とハウスメーカーの違いについて、簡単にご紹介します。
工務店 | ハウスメーカー | |
---|---|---|
施工エリア | 狭い | 広い |
コスト | 安く済む可能性が高い | 高い場合が多い |
自由度 | 高い | やや低い |
施工品質 | 職人による | 安定している |
●施工エリア
工務店は地域密着型のサービスを提供していることが多く、小規模での施工を行っています。一方、ハウスメーカーは全国規模で展開しており、対応エリアは広いです。
●コスト
工務店はハウスメーカーほど広告費や人件費をかけていないため、安く済む可能性が高いです。
●自由度
工務店は、間取りやデザイン、資材の選定や住宅の性能などを、0から検討することができます。一方、ハウスメーカーはある程度の標準仕様が用意されており、工務店と比べると自由度はやや低いです。
●施工品質
工務店の場合、技術力は職人の腕に左右されやすく、ハウスメーカーのほうが品質は安定しています。自身の理想とする建築が得意な施工者を工務店で見つけることができれば、満足度は高くなる可能性もあります。
2.工務店で家を建てる5つのメリット
たくさんの住宅会社がある中で、依頼先に迷っている人もいるでしょう。工務店で家を建てるメリットは、大きく下記の5つが挙げられます。
- 自由度が高い
- 費用を抑えやすい
- 工務店と顧客の距離が近い
- 地域の特徴・風土を考慮しやすい
- 入居後のコミュニケーションを取りやすい
ここでは、それぞれの詳しい内容についてご紹介します。ぜひ、工務店選びの参考にしてください。
2-1.自由度が高い
プランや施工内容の自由度が高いことが、メリットです。
ハウスメーカーの場合、主に用意されている住宅プランの中から選ぶことになるので、自由度は低くなります。一方で工務店の場合、施工上の制約が少ないため、自由度の高い注文住宅を建てることが可能です。
資材や設備も自分で選べます。また、間取り設計や構造は融通が利くため、好みに合った施工が可能です。ハウスメーカーでは難しい内容でも、工務店なら構造上の問題がないよう配慮し実現することが可能です。
しっかりと打ち合わせし、方向性をすり合わせることで、こだわりの家づくりができる可能性が高まります。
2-2.費用を抑えやすい
ハウスメーカーより費用を抑えやすい点も、工務店に依頼するメリットです。
工務店はハウスメーカーとは異なり、広告宣伝費や人件費が膨大にかかることはほぼありません。そのため、ハウスメーカーと同じ内容の施工をする場合、工務店のほうが費用が抑えられることが多いです。
また、小規模で経営している工務店も多く、管理コストを抑えることもできます。そのため、建築と仮住まいの両方の費用を抑えることが可能です。
規格商品と異なる間取りを希望する場合は、工務店のほうが建物価格が安くなることがほとんどです。一般的に、ハウスメーカーと比較して工務店は1~2割ほど費用が安いといわれています。
2-3.工務店と顧客の距離が近い
工務店の多くは地域密着型でサービスを提供しており、顧客との信頼関係を重視する傾向です。そのため、住宅に関してトラブルが発生した際は柔軟なフォローを望めます。
また、サポート体制が整っている工務店も多く、建築後のメンテナンスや増築、リフォームなどの相談もしやすいです。小規模の工務店の場合、フットワークが軽いことも多く、スピーディな対応が望めるでしょう。
2-4.地域の特徴・風土を考慮しやすい
地域の特徴や気候風土を考慮した家づくりができることもメリットです。
地元密着型の工務店であれば、その地域の風土や環境、気候について熟知しています。そのため、地域の環境に適した家づくりを期待することができます。
同じ地域に住んでいるからこそ、地盤や湿度の高低や豪雪の有無を理解しており、火山灰などの自然環境への配慮も可能です。
全国展開しているハウスメーカーでは、地域特有の環境に合わせた家づくりへの対応が難しいケースもあります。工務店は地域の環境を考慮し、長く住みやすい住まいづくりを行っているので、安心して任せられます。
2-5.入居後のコミュニケーションを取りやすい
工務店に建築を依頼した場合、住宅が完成した後も長く住み続けられるよう手厚くフォローしてくれます。工務店によって異なりますが、完成後のアフターメンテナンスを行うところが多い傾向です。
コールセンターがない工務店も多く、基本的には直接営業担当者に相談することになります。そのため、スムーズにコミュニケーションを取ることが可能です。
また、規模が小さい工務店では、顧客の要望に応じたきめ細かいサービスに力を入れており、入居後も満足度の高いフォローを受けられるでしょう。
3.工務店に対するよくある誤解
工務店にはさまざまなメリットがありますが、誤解されやすい内容も多々あります。ここからは、一般的な工務店に対する誤解についてご紹介します。
[誤解1]工務店は何でも安い
工務店は価格に関して、何でも安いと誤解をされることがあります。
規格商品と異なる間取りを希望する場合、ハウスメーカーよりも工務店のほうが安くなることはあります。しかし、ハウスメーカーが出している規格商品を希望した場合、ハウスメーカーのほうが価格は安くなります。
[誤解2]経営基盤が弱い
大手ハウスメーカーと比べて、規模の小さい工務店は経営状況が不安だと感じる人もいるかもしれません。しかし、規模が小さい工務店でも健全経営で安定している企業は多いです。
工務店の経営状況は、年間の施工実績から把握できます。工務店に依頼する際は、万が一工務店が倒産した場合に備えて、住宅の完成を保証する「住宅完成保証制度」に加入しているかを確認しておくと安心です。
まとめ
工務店はハウスメーカーと比べて、自由度が高い、コスパが良いなどのメリットがあります。入居後も手厚いサポートを受けられるため、注文住宅を検討する人からの注目が集まっています。
工務店にはさまざまなメリットがありますが、誤解されやすい内容も少なくありません。家づくりを工務店に任せる際は、費用や経営状況についてもチェックしましょう。規格商品によってはハウスメーカーのほうが安い場合があります。また、規模が小さいとはいえ健全経営で安定している企業は多いです。
工務店で家を建てるときは、誤解されやすい項目にも目を通し、先入観をなくすことが大切です。