工務店比較

工務店とハウスメーカーの違いとは?比較のポイントや決め手を紹介

工務店とハウスメーカーの違いとは?比較のポイントや決め手を紹介

注文住宅を建てる際、多くの人がまず初めに悩むのが「住宅会社選び」です。注文住宅の建築を依頼できる住宅会社は数多くあり、その中でも工務店とハウスメーカーは代表的な依頼先となっています。なお、設計事務所も建築まで一貫したサービスを提供していますが、「建築」を中心に相談・依頼を受けているのは工務店とハウスメーカーの2つです。

しかし、工務店とハウスメーカーについて、両者の特徴や違いをはっきりと把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで今回は、工務店とハウスメーカーの違いや工務店の主な種類、工務店に家づくりを任せるメリット・デメリット、住宅会社選びのポイントなどを徹底解説します。注文住宅を建てようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

1.工務店とハウスメーカーの違い

「工務店」とは、住宅工事を請け負う業者のことです。土地探しや住宅の建築までを請け負っていることが多く、基本的に地域密着型のサービスを提供しています。

一方で「ハウスメーカー」とは、独自のブランドを日本全国もしくは広域に展開している、比較的規模の大きい業者のことです。しかし、実はハウスメーカーの定義はなく、基本的に「統一化された資材や設計、施工方法で注文住宅の建築を行う、規模の大きい住宅会社」をハウスメーカーとしています。なお、ハウスメーカーは「住宅メーカー」とも呼ばれます。

比較ポイント 工務店 ハウスメーカー
対応エリア
  • ●特定のエリア
  • ●全国・広域
自由度
  • ●やや低い
  • ●既存プラン+オプション
  • ●高い
コスト
  • ●幅広い
  • ●幅広い
工期
  • ●やや短い
  • ●やや長い
技術力
  • ●高い
  • ●安定している
  • ●職人による
アフターケア
  • ●手厚い
  • ●融通が利く
経営状況
  • ●倒産リスクが低い
  • ●倒産リスクが少なからずある

工務店とハウスメーカーは、いずれも「住宅建築会社」に分類される家づくりの専門家ですが、上記のようにあらゆるポイントにおいて違いが存在します。ここからは、比較ポイントごとに工務店・ハウスメーカーの特徴を詳しく紹介します。

1-1.エリア

工務店とハウスメーカーの大きな違いは、対応エリアです。工務店は、基本的に小規模の会社が多く、地域密着型のサービスを提供しています。そのため、対応エリアは比較的狭いことが特徴です。

一方で、ハウスメーカーは大規模の会社が多く、全国各地に営業拠点を構えている傾向にあります。日本全国もしくは広域にサービスを提供しており、対応エリアは工務店よりも格段に広いことが特徴です。

対応エリアの広いハウスメーカーであれば、全国に住宅展示場やモデルハウスを公開していることも多く、実物を見てからある程度の設計プランを決められます。工務店は対応エリアが狭く広告もあまり打ち出されていないものの、特定の地域の気候風土に適した住宅づくりが実現しやすくなる点が魅力です。

1-2.自由度

工務店は間取りや外観のデザインはもちろん、取り入れる資材や設備、住宅性能までを0から検討することができ、自由度が非常に高いことが特徴です。

一方で、ハウスメーカーは各住宅商品においてある程度の標準仕様が定められており、用意された住宅プランや資材・設備から理想のものを選んで組み合わせるというスタイルが一般的となります。「もう少しこだわりたい」という場合は、これらの既存プランに加えてオプションを追加するという形となりますが、それを踏まえても工務店に比べるとやや自由度は低くなるといえるでしょう。

1-3.コスト

コストにおいては、工務店もハウスメーカーも幅広いという点が共通します。なぜなら、こだわりによって具体的な金額が異なるためです。

とはいえ、工務店は大手ハウスメーカーほど広告宣伝費や人件費をかけていないことから、標準価格を抑えられる可能性があります。しかし、全国的に材料費が高騰している時期や、こだわりを多く取り入れたり、性能の高い設備や素材を取り入れる場合は平均よりもコストが高まる可能性があることを覚えておきましょう。

ハウスメーカーは住宅をある程度規格化してのコストダウンを図っているものの、広告費や人件費が多く発生していることから、標準価格は工務店より高まる傾向にあります。しかし、近年ではローコスト住宅を売りにしているハウスメーカーも増加しています。

1-4.工期

土地の形状や坪数、希望デザインなどすべて同様の条件で住宅を建築するとなった場合、工期が短いのはどちらかというとハウスメーカーです。

工務店は住宅建築を少人数体制で行うことも多々あり、かつ建築資材を1からつくりあげることが基本であることが、「ハウスメーカーのほうが工期は短い」といわれる理由となります。

ほとんどのハウスメーカーは自社工場に規格化された建築資材を取り揃えており、マニュアル・システム化された工程に沿って施工を進めていくことが一般的です。そのため、工務店よりも短い工期で完成できるケースが多いといえます。

1-5.技術力

技術力は、全体的にハウスメーカーのほうが高い傾向です。しかし、必ずしも「ハウスメーカーは技術力が高く、工務店の技術力は低い」となるわけではありません。

工務店の技術力や施工の制度は、住宅建築を担当する職人によってばらつきが生じることが特徴です。職人によって得意・不得意もあるため、「自分の理想とする住宅」を得意とする職人を探して依頼することができれば、ハウスメーカーで依頼するよりも納得のいく結果となる可能性もあるでしょう。

ハウスメーカーは前述の通り、規格化された建築資材を豊富に取り揃えていることから、安定した高い品質の住宅建築が期待できます。しかし、ハウスメーカーによっては建築・施工を自社の職人に依頼するのではなく外注するケースもあります。この場合、施工精度は工務店と同様、職人の技術力に少なからず左右されることも覚えておきましょう。

1-6.アフターケア

住宅建築後のメンテナンスといったアフターケアにおいては、どちらがよいかというわけではなく、両者に特徴がある形となります。

工務店の場合、基本的に「アフターケアの融通が利く」ことが特徴です。特定の地域に密着しているからこそ、何らかのトラブルが生じた際は電話1本で駆け付けてくれたり、ハウスメーカーでは対応しきれない細やかなアフターフォローをしてくれたりします。

一方でハウスメーカーの場合は、基本的に「手厚いアフターサービスを受けられる」ことが特徴です。どのハウスメーカーでも提供しているアフターケアに加えて、独自のメンテナンスサービスを提供していたり、24時間365日電話やインターネットからの問い合わせを受け付けていたりなど、サポート体制は充実しているといえるでしょう。

1-7.経営状況

一生住み続ける家だからこそ、アフターケアを受けることは重要です。しかし、アフターケアをいつまでも受けるためには、その住宅会社が存在し続けられるかどうかもチェックしておく必要があります。

小規模の会社が多い工務店は軌道に乗りやすく、たとえ経営状況が危ぶまれても軌道修正もしやすい反面、常に倒産のリスクが少なからずあることが特徴です。

一方でハウスメーカーは、大規模の会社が多く、倒産のリスクは工務店と比較してさほどないといえるでしょう。しかし、「ハウスメーカーだからといって倒産はしない」というわけでもありません。たとえハウスメーカーであっても、何らかの理由で突然倒産する可能性も少なからずあるといえるでしょう。

2.工務店の種類3つ

ひとくちに工務店といっても、具体的には規模や形態によって下記3つの種類に分かれています。それぞれの種類によって特徴も大きく異なるため、工務店に依頼するべきか検討している人は、工務店の各種類も把握したうえでじっくりと比較検討することがおすすめです。

(1)地域密着型の工務店

営業拠点を市区町村のみに限定し、その範囲内で住宅建築・施工を行うタイプの工務店です。会社規模はいくつかの種類の中で最も小さく、少ない人員で稼働しているケースが多々見られます。施工から設計までを大工が管理するなど、昔ながらのやり方で進める会社が多いことも特徴です。

(2)フランチャイズ加盟の工務店

コンビニのように、本部のフランチャイズチェーンに加盟し、本部からあらゆる技術やノウハウの提供を受けて住宅建築・施工を行うタイプの工務店です。住宅資材や取り入れる工法は本部が開発したものとなるため、ハウスメーカーと似たような施工方法となります。

(3)大規模な工務店

工務店によっては、ハウスメーカーのように独自ブランドを展開する大規模な工務店もあります。一般的な工務店より対応エリアが広く、認知度や営業力が比較的高い会社も多いです。ハウスメーカーやビルダーに近いタイプの工務店といえるでしょう。

3.工務店に家づくりを任せるメリット・デメリット

家づくりの依頼先を工務店にするべきかハウスメーカーにするべきか悩んでいる場合は、メリット・デメリットを比較して自分の理想を追及できるほうを選択することがおすすめです。

ここでは、工務店で家を建てる場合のメリット・デメリットを紹介します。

また、下記の記事では工務店で家を建てる場合のメリット・デメリットをより詳しく紹介しているため、あわせてぜひ参考にしてください。

内部リンク:「工務 店 デメリット」

3-1.メリット4つ

工務店で家を建てる場合のメリットは、下記の4つです。

(1)コスパが高い

工務店とハウスメーカーとで同条件で家を建てる場合、コストを抑えられやすいのは工務店です。また、工務店では建築資材を1からオリジナルで作成するため、職人の技術力によっては非常に高い質の住宅を完成させることができます。従って、工務店はコスパが高いことがメリットとなります。

(2)コミュニケーションが取りやすい

工務店では、実際に施工を進める大工さんをはじめとした職人を直接雇用していることが多いです。そのため、建設者とのコミュニケーションがとりやすく、建設段階でも「個々をもう少しこうしてほしい」といった細かな要望を伝えられる点がメリットとなります。

(3)柔軟性・自由度が高い

定められた規格のない工務店は、柔軟性・自由度が高いことも大きなメリットといえるでしょう。法律や条例に違反しない限りは、最大限こだわりを取り入れることが可能です。また、小規模な要望はサービスとしてくれるなど、建築費用の柔軟性があることも魅力といえるでしょう。

(4)対応が早い

建設者や担当者とのコミュニケーションがとりやすく、地域に根ざしたサービスを提供する工務店は、何らかのトラブルが発生したときなどにおいて対応が非常にスピーディであることもメリットです。また、対応が早いだけでなく、親身に対応してくれる点も工務店ならではの魅力といえるでしょう。

関連記事:注文住宅を建てる場合の費用相場・内訳|坪単価の意味も解説

関連記事:注文住宅のオプション費用相場|オプションを付ける際の注意点も

3-2.デメリット2つ

工務店で家を建てることには、当然メリットだけでなくデメリットも存在します。下記は、工務店で家を建てる2つのデメリットです。

(1)工務店によって品質に差がある

ハウスメーカーのような「規格化された建築資材」がない工務店は、工務店が用意する職人による品質の差が出やすい点がデメリットです。しかし、理想とする住宅の施工を得意とする職人を探すことができれば、このデメリットは払しょくできます。

(2)完成物件のイメージを持ちにくい

工務店では、ハウスメーカーのように住宅展示場やモデルハウスを用意していないことが多くあります。そのため、完成物件をイメージしづらいという点に注意が必要です。しかし近年では、さほど数は多くないもののモデルハウスを用意している工務店も存在します。完成物件のイメージをもって家を建てたい場合は、モデルハウスを見学できる工務店を選ぶとよいでしょう。

関連記事:工務店で家を建てるデメリット|メリットと比較して考えよう!

4.工務店かハウスメーカーかで悩んだ場合の決め手

工務店とハウスメーカーそれぞれのメリット・デメリットには、裏表一体となる部分もあるため、「工務店にするべきかハウスメーカーにするべきか、さまざまな点を比較してもどうしても決められない」と悩んでしまう人も多いでしょう。

そのような場合は、下記に紹介する2つの決め手をもとに判断することがおすすめです。

●ブランド力による安心感を求めるなら「ハウスメーカー」

ハウスメーカーは、「こだわりをすべて取り入れた施工はできないものの、安定した高い品質の家づくりができること」が特徴です。アフターサポート体制も手厚くなっているため、ブランド力による安心感・信頼感を求める場合はハウスメーカーを選ぶとよいでしょう。

●自分のこだわりを追求するなら「工務店」

工務店は、「職人によって仕上がりにばらつきが生じやすいものの、こだわりを追及した家づくりができること」が特徴です。細かな要望にも対応できる柔軟性を兼ね揃えているため、自分のこだわりを最大限追及したい場合は工務店を選ぶとよいでしょう。

5.工務店・ハウスメーカーの会社選びのポイント3つ

工務店やハウスメーカーの会社を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。ポイントを押さえて会社を選ぶことで、「納得できる家づくり」につながるでしょう。

会社選びのポイント
  • ●担当者との相性
  • ●公式サイトの記載内容・更新頻度
  • ●メンテナンス体制の有無

ここからは、各ポイントの詳細や具体的にどのような点を意識すべきか詳しく説明します。

関連記事:工務店選びで重視したいポイントとは?選ぶ際の流れも紹介!

関連記事:ハウスメーカーの選び方|家を建ててから後悔しないためのポイントも

5-1.担当者との相性

どれほど実績が豊富にある工務店でも、担当者との相性が悪ければ理想の家づくりを叶えることは困難です。

担当者の愛想のよさはもちろん、「自分たちの理想をくまなくリサーチしてくれるか」「細かな要望もしっかり理解してくれているか」も重視しながら、相性の良し悪しを確認しておきましょう。

5-2.公式サイトの記載内容・更新頻度

依頼先選びを行う際は、公式サイトも要チェックです。またその中でも、創業年数や施工事例、強みなどの記載内容、さらにブログやSNSの更新頻度を特に確認することをおすすめします。

創業年数や施工実績の情報は、その会社がどのような会社なのかを知る材料となります。これらの情報がない会社は詳細を知ることができず、不信感につながるでしょう。

また、ブログやSNSは、その会社に勤めるスタッフの人柄や誠実度を知る材料にもなり得ます。工務店全体や各スタッフの雰囲気を把握するためにも、しっかりチェックしておくことをおすすめします。

5-3.メンテナンス体制の有無

家づくりは、施工が完了し引き渡しが終わればゴールです。その家での生活は引き渡しが終わってからスタートします。今後も長く住み続けるであろう家だからこそ、メンテナンス体制の有無をしっかりチェックしておくことは欠かせません。

前述の通り、工務店は比較的アフターケアの融通が利くという特徴をもっています。そのため、柔軟性が高いことは大前提としておくとよいでしょう。そのうえで、どのようなアフターメンテナンスを行っているかを確認することがおすすめです。いつまでも快適に、かつ安心して過ごすためにも、なるべく手厚いメンテナンス体制を整備している工務店を選びましょう。

まとめ

工務店とハウスメーカーは混同して考えられがちですが、工務店は住宅工事を請け負う業者のことで、地域密着型のサービスを提供していることが特徴です。そしてハウスメーカーは、独自のブランドを日本全国もしくは広域に展開している比較的規模の大きい業者のことです。両者には、対応エリアや自由度、コストなどあらゆる点において大きな違いがあります。

工務店にするべきかハウスメーカーにするべきか、どちらも候補に入っており悩んでいる場合は、「家づくりにおいて自分が何を重視しているか」をもとに適切なほうを判断することがおすすめです。

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