一軒家の内装を決める際に悩ましいのが、部屋の印象を左右する「テイスト」です。テイストにはホテルライク、和モダン、ヴィンテージ、北欧風などが挙げられ、テイストによって部屋にマッチする建具や照明が変わります。
当記事では、一軒家における内装の決め方で重要な4つの要素を詳しく解説します。おすすめのテイスト例や内装に失敗しないための注意点も紹介するので、内装の決め方やテイスト選びに迷っている人はぜひご覧ください。
1. 一軒家の内装の決め方は?4つの要素を解説
内装は長い時間過ごす自宅の居心地を左右する重要な要素であり、注文住宅の場合、内装の詳細は設計の段階で決めておくのが一般的です。その場の勢いで決めるのではなく、内装も設計と同じく計画的に考えましょう。
ここでは、テイストや配色といった内装の決め方にかかわる4つの要素を解説します。
1-1. テイスト
内装のテイストによって、雰囲気・マッチする建具などが大きく変わります。他の要素もテイストに合わせて決めることになるため、内装を決める際の要といってよいでしょう。テイストには北欧風、和風、ヴィンテージ風、ナチュラルといったパターンがあり、部屋ごとに変えることも可能です。長時間過ごす部屋は落ち着いたテイストにするなど、部屋の目的や用途に合わせて考えるのもおすすめです。
家の外観と内装のテイストを合わせると、外から見た印象と中に入った際の印象に一貫性が生まれます。
1-2. 配色
内装・インテリアをすっきりまとめるために、配色はベースカラー・メインカラー・アクセントカラーの3色以内でまとめるのが基本です。
ベースカラーは床・壁・天井など部屋の主要な部分にあたる色で、全体の7割を占めます。面積が大きいため、明るめ・シックなどのおおまかな方向性がベースカラーで決まります。
メインカラーはアソートカラーとも呼ばれ、全体の2.5割が理想です。カーテン・クッションなどのファブリックや家具類に使われる色で、配色の中心となる色です。
アクセントカラーは全体の0.5割とピンポイントに使われる色で、配色にアクセントを与える役割を担います。ベース・メインカラーの中で目立つ色が選ばれることが多い色です。
配色の例には、メイン・アクセントを白と黒の無彩色でまとめたモノトーンや、アクセントカラーとして観葉植物などのグリーンを利用するパターンがあります。
1-3. 建具
建具とは室内の空間を仕切る設備を指し、ドア・襖・窓・障子などが建具にあたります。建具には既製品と作りつけがあり、作りつけのほうがテイストに合ったものを用意しやすいものの、一般的には高価です。
建具は既製品でも比較的費用がかかりやすい部分なので、室内ドアや襖であれば、テイストによっては使わないという選択肢もあります。
1-4. 照明
照明は室内の雰囲気を左右します。形によって光が当たる範囲や光の出方が変わるので、テイストに合わせた形状の照明を取り入れるのがよいでしょう。
明かりの色にも異なる雰囲気や役割があるため、電球もテイストや部屋の使用目的によって変えるのがおすすめです。電球色はやわらかいオレンジ色で、リラックスするのに適し、昼光色は青白い光で、脳を覚醒させることから仕事・勉強部屋に向くとされています。昼白色は自然光に近く、用途を問わず使いやすい色です。
2. 一軒家の内装におすすめの4つのテイスト例
内装を決める際は、具体的なテイスト例を把握しておくことが重要です。理想のテイストがはっきりしている場合も、業者の担当者にうまく伝わらなければイメージと違った仕上がりになる恐れもあります。具体的なコンセプトを決めておき、業者とより明確なイメージを共有することが大切です。
ここでは、一軒家の内装におすすめのテイスト例を紹介します。具体的なイメージを思い描きながら、理想に近いテイストを模索しましょう。
2-1. ホテルライク
ホテルライクは、ホテルのように高級感があるテイストです。生活感を排除し、インテリアに統一感を持たせることで雑然とした印象を避け、落ち着いて過ごせる空間作りを実現できます。そのままでは無機質になりやすく、かえって落ち着きのない印象になるため、アートなどシンプルかつデザイン性のあるアイテムで無機質さをやわらげることが多いです。
ビビッドな色より、自然をイメージしたアースカラー・ベージュやアイボリーといった落ち着いた色が用いられます。
2-2. 和モダン
和モダンは、日本の伝統的な和室をベースに、金属・ガラスなど現代的な家具や小物を取り入れたテイストです。主に木や竹など飽きがこない自然素材に、モダンなアイテムを加えることで成立するインテリアスタイルと言えます。
和とモダンの2つのテイストを融合させるため、お互いのテイストが強くなりすぎないシンプルなアイテムが使われる傾向にあります。さらに背の低い家具を用いると、自然で落ち着きのある空間を演出できるでしょう。配色としては、和室とよくなじむアースカラーをメインに据えるのが一般的です。
2-3. ヴィンテージ
ヴィンテージは、使い古された雰囲気のアイテムで構成されるテイストです。年代物のアイテムだけでなく、新品に古びたように見せるエイジング加工を施して使う場合もあります。
アイテムの素材には木材やスチールが多く使われ、異素材の組み合わせでスタイリッシュながらも温かみのあるインテリアを演出できます。経年劣化を演出しやすいレザーもヴィンテージには人気の素材です。ブラックやダークなグレー・ブラウンがメインに据えられることが多く、シックなイメージの強いテイストと言えます。
2-4. 北欧風
北欧風は、木などナチュラルな素材とファブリックの組み合わせで、リラックス感を作り出すテイストです。木製のアイテムを多く用いるため、木造住宅の多い日本家屋と相性がよく、日本で高い人気を誇ります。
照明には、影がぼやけるようなやわらかい光の照明器具を用いるのが一般的です。フロアライトをシェード型にすれば、シェード部分から光を通すため、部屋をぼんやりと照らしてくれるでしょう。
北欧風のインテリアは色使いが特徴的であり、ベースカラーはナチュラルカラーやモノトーンでシンプルに仕上げます。アクセントには、ファブリックに大胆な模様や鮮やかなものを使うことでメリハリをつけ、洗練された空間を演出します。
3. 一軒家の内装に失敗したくない!注意点は?
一軒家の内装は完成後に変更しにくい部分もあるため、計画的に考えることが大切です。内装で失敗しないためにも、多くの人が見落としがちなポイントや、失敗を生む原因を把握して計画に生かしましょう。
ここでは、内装で失敗しないために注意すべきポイントを解説します。
3-1. コンセントやスイッチの数・位置
内装は見た目だけではなく使い勝手にも大きく影響します。特に、コンセントやスイッチに関する失敗談が多く聞かれます。例えば、家電製品を多く使うキッチンなどでコンセントが足りなくなるケースなどです。また、予定通りに家具を設置したらコンセントやスイッチが後ろに隠れて使えないというパターンもあります。
コンセントやスイッチを適切に配置するには、使う家電をリストアップする他、家具を置く場所を確認した上で位置や数を検討するとよいでしょう。見取り図を見ながら考えると分かりやすくなります。
3-2. 壁紙やフローリングの色味
サンプルをよく見て選んでも、実際の仕上がりを見るとイメージと違っていたということもあります。照明の加減や色味・さらには素材の面積によっても見え方が大きく異なるのが、ギャップを生む原因です。
壁紙やフローリングを選ぶ際は、色柄の印象だけでなく、部屋の日当たりなどを確認するとよいでしょう。実際に部屋で使う予定の照明の下で見るのもよい方法です。サンプルを確認する場合は、可能な限り大きめのサンプルを確認することをおすすめします。
3-3. 開口部の大きさ
家具を運び込む際に、開口部が小さく、予定していた家具や家電が搬入できないというのもよくあるトラブルの1つです。大型の冷蔵庫がキッチンに入らない・クローゼットに物を持ち込めないなどさまざまなケースが考えられます。開口部のサイズを後から変更することは難しいため、家具・家電を買い直さなければならない場合もあります。
使いたい家具・家電が決まっているのであれば、あらかじめサイズを把握した上で開口部のサイズを決定しましょう。家具・家電を使う部屋を考え、搬入経路を確認しておくことも大切です。
まとめ
一軒家の内装を決める上で大切な要素は「テイスト」「配色」「建具」「照明」の4つです。テイストにはホテルライク、和モダン、ヴィンテージ、北欧風といった種類があるため、理想とする部屋の雰囲気に合わせて考えましょう。
一軒家の内装に失敗しないためには生活への影響が大きい「コンセントやスイッチの数・位置」、家具・家電の搬入に必要な「開口部の大きさ」を確認することも大切です。壁紙・フローリングを選ぶときは、色柄の印象に加えて部屋の日当たりを把握することで、サンプルで見たときと現実のギャップを埋められます。