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テラス囲いの設置で後悔しないためには?選び方を解説

テラス囲いの設置で後悔しないためには?選び方を解説

テラス囲いとは、既存のテラス屋根に囲いを加えた設備のことを言います。サンルームの基礎がコンクリートであるのに対し、テラス囲いは屋根の柱と補助柱のみです。テラス囲いは開放感があり、天候に左右されず洗濯物が干せるため、設置を検討している人もいるのではないでしょうか。

当記事では、テラス囲いとサンルームの違い、テラス囲いを設置して後悔する理由、選び方のポイントを紹介します。一軒家の購入・リフォームを検討している人や、テラス囲いの設置を考えている人は必見です。

1.テラス囲いとは?

テラス囲いとはすでに設置されているテラスを、ガラスなどで囲った設備のことを指します。テラス囲いに用いられる素材は、屋根は樹脂を原料にしたプラスチック素材「ポリカーボネート」、側面はガラスが多いです。他にも、ガラスの向こう側が見えにくいすりガラス、採光性・通気性が良い格子、細長い板を平行に組んだルーバータイプなどの素材があります。

メーカーからはさまざまなサイズ・種類のテラス囲いが販売されており、理想のものを見つけられるでしょう。テラス囲いのメリットは、下記の通りです。

・天気にかかわらず洗濯物を干せる

雨や雪、強風のときでも洗濯物を干せるほか、花粉や黄砂、PM2.5からも洗濯物を守れます。

・開放感がある

室内にいながら庭の景色を見渡すことができ、開放感を感じられます。

テラス囲いは、植物などを育てて自然を楽しむ人気のガーデンルームとして利用でき、子どもの遊び場や趣味を楽しむ部屋としても使えるでしょう。

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1-1.テラス囲いとサンルームの違い

テラス囲いとよく比べられる言葉に「サンルーム」があります。サンルームの語源は、フランス語であるConserve(保存)に由来するコンサバトリーと言われています。サンルームはコンクリートで基礎を作るため増築工事が必要で、テラス囲いよりも施工費用が高くなるケースが一般的です。サンルームの増築では、外壁の種類によっては穴を開ける工程が発生し、家の保証がつかなくなる可能性があります。

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テラス囲いは施工期間も短く簡単に設置でき、価格もリーズナブルな種類が多いため、取り入れやすいメリットがあります。ただし、サンルームは固定資産税の課税対象に含まれますが、テラス囲いは自治体によって課税対象になるか判断が分かれます。施行前にテラス囲いのパンフレットなどを持参して、居住地域の役所の資産税課に確認すると、税金に対する不安が解消できるでしょう。

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2.テラス囲いで後悔する理由は?

テラス囲いを設置して後悔しないためには、構造上のデメリットや後悔しやすい理由を把握して対処法を考えられる状態にするのがポイントです。テラス囲いは「気密性が低い」「気温が外気に影響されやすい」などのデメリットがあるので、設備を購入する前に確認しましょう。

ここでは、テラス囲いを設置して後悔する理由を4つ解説します。

2-1.気密性が低い

テラス囲いはサンルームに比べると気密性が低く、家に隙間がある状態です。外に空気が逃げやすく、エアコンを稼働させないと快適な室温を保ちにくくなります。エアコンのエネルギー使用量が多くなれば、気密性が高い住宅よりも光熱費が高くなる可能性があるでしょう。

テラス囲いから湿気を含んだ空気が家の中に侵入し、屋根や壁内部にこもることも考えられます。湿った状態が続くと結露して壁内にカビが生え、木材が傷む原因につながります。テラス囲いは水密性が低く、台風や豪雨のときは雨漏りしやすい点にも注意が必要です。

2-2.気温が外気に左右されやすい

テラス囲いはガラス張りの構造上外気の影響を受けやすく、夏は暑く冬は寒くなりやすい設備です。長時間テラス囲いで過ごす場合は、エアコンなどで空調を管理する対策が必要です。

暑さ対策では、テラス囲いのオプションで天井カーテンやロールスクリーンを設置すると、直射日光を遮り快適に過ごしやすくなります。オプション以外では、すだれなどで窓を覆う方法をおすすめします。寒さ対策は、ストーブやファンヒーターなどの設置を検討しましょう。

2-3.掃除の必要がある

テラス囲いの屋根は普段から雨風にさらされており、空気中のチリやホコリで汚れが溜まりやすくなります。テラス囲いは透明や半透明の屋根が多く、内側から屋根を見たときに汚れが目立ちやすいです。

汚れを放置すると、屋根の透明性がなくなって室内に光が差し込みにくくなります。脚立などを利用して柔らかいほうきで汚れを取り除き、ホースで水を流すと汚れがきれいに落ちるでしょう。高圧洗浄機は水圧によっては屋根部分を傷ませる原因になるため、使用には注意が必要です。

2-4.雨の音が響きやすい

テラス囲いを設置すると、屋根部分に雨が当たる音が室内に反響します。テラス囲いによく使われるポリカーボネートは耐久性が高い素材ではありますが、薄くて軽いため雨音が響きやすいデメリットがあります。

雨音が気になる場合は、雨音を吸収するタイプの屋根を設置しましょう。雨音の反響を防ぐには、テラス囲いとの入口の窓を閉め、シャッターがついている場合は下ろします。

3.後悔しないテラス囲いを選ぶポイント

建築後やリフォーム後に理想のテラス囲いと違っていても、やり直しには費用と手間がかかります。テラス囲いを設置してから後悔しないためにも、設置の必要性を考えるだけでなく設置場所の注意点や床・屋根・窓に用いる素材の種類を把握しましょう。

ここでは、後悔しないテラス囲いを選ぶポイントを3つ解説します。

3-1.必要性を考える

テラス囲いを選ぶ前に、使用方法を吟味した上で必要かどうか判断しましょう。使用方法には、「洗濯物を干す場所にする」「縁側のように和やかに過ごせる空間にする」「子供の遊び場として使う」などが挙げられます。ただし、洗濯物スペースに活用する使い方では、乾燥機能が付いている洗濯機の購入を考えている場合、洗濯物を干す場所として使わなくなる可能性もあります。

テラス囲いには洗濯物が乾きやすいように窓や採風ドアがあり、脱臭できる製品もあります。テラス囲いを選ぶ際は、使用目的に合わせたプランやオプションを検討するのが大切です。

3-2.設置場所を検討する

テラス囲いの設置場所は、日当たりに配慮した上で検討しましょう。日当たりは、たとえば北向きに設置して、洗濯物が乾きにくくなり後悔するケースがあります。日当たり以外では、ガス給湯機や室外機などの干渉物への配慮も大切です。ガス給湯機の場合、風呂釜のお湯を沸かすときにガスを燃やすので、大量の空気が必要です。ガス機器を囲むと空気が不足し、ガス給湯機の故障や不完全燃焼による一酸化炭素中毒などの事故につながる恐れがあります。

また、室外機をテラス囲いの中に設置すると、ショートなどの故障の原因となり、室内の空気が悪くなります。テラス囲いの設置場所は、周辺の機器の位置などに注意を払って検討しましょう。

3-3.素材を選ぶ

テラス囲いで後悔しないためには、用途に合わせた素材を選ぶことが大切です。テラス囲いは床と屋根、窓の素材を選択できます。

居室と同じ高さのテラス囲いを設置する場合の床の素材は、人工木や塩化ビニルが一般的です。人工木は耐久性やデザイン性に優れるものの、価格が高くなります。塩化ビニルは価格が安いメリットがありますが、人工木と比較するとデザイン性や耐久性は少し欠けます。

屋根の素材には、紫外線を100%カットするポリカーボネートや、紫外線と赤外線を軽減する熱線遮断ポリカーボネートなどがあります。窓の素材は透明で外が見えるガラス材と、表面の凹凸によってシルエットのみが見える型ガラスがあります。テラス囲いで開放感を味わいたい人はガラス材、プライバシーを守りたい人は型ガラスがおすすめです。

まとめ

テラス囲いとは、既存のテラス屋根をガラスなどで囲った設備のことを指します。サンルームはコンクリートで基礎を造るので施工費用が高くなりやすい一方、テラス囲いは施工期間が短く価格もリーズナブルな種類が多いです。テラス囲いで後悔する理由の1つに、気密性が低くエアコンを稼働させないと快適な室温を保ちにくい点があります。

テラス囲いで後悔しないためには、設備の必要性を吟味した上で、日当たりやガス給湯機、室外機などの干渉物に配慮した設置場所を選びましょう。