注文住宅を建築する場合、一般的にはハウスメーカーや工務店、大工に依頼するといった選択肢があります。しかし、ハウスメーカーはともかく、工務店と大工の違いがよく分からないという方もいるのではないでしょうか。
当記事では、工務店と大工の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
1.工務店と大工の違い
工務店と大工は、立ち位置に大きな違いがあります。工務店は、住宅の建築工事を管理する「業者」であるのに対し、大工は、主に木材を用いた建築物を建てる「技能者」を指します。
大工の仕事は多岐にわたり、設計図の情報から正しく建材を加工する技術や、さまざまな建築技術に関する知識などが必要です。実際に、厚生労働省が定める「建築大工技能士」といった国家資格を取得している人も多く、専門的な知識や巧みな技術を使って建造物を一から組み立てる役割を担います。
一方で工務店の仕事も、家の設計から工事に必要な材料の手配など多岐にわたりますが、最も重要な役割として、住宅工事全体の責任やマネジメントを担っている点です。工務店は、大工や左官といった職人から、水道・電機関係の工事業者まで、家づくりに必要な技術者を手配・管理しながら、住宅を完成させるといった事業者の責務があります。
2.工務店に住宅建築を依頼するメリット・デメリット
大切な家づくりは、信頼できる相手に依頼したいものです。ここでは、マイホームの建築を依頼する前に知っておきたい、工務店のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
【工務店に依頼するメリット】
- 地元密着の体制が整っている
- 腕の良い大工が揃っている
地元密着型の工務店は、地域のことを熟知した職人が揃っていることが多く、特色に合わせた建築を行っている点が魅力です。気候や立地に合わせて最適な建築を選択してくれることでしょう。また、工務店では、住宅展示場などを持たないことが多く、口コミや知人への紹介によって信用を獲得し、評判を高めています。評価の高い工務店は、テレビCMなどで認知度をあげている大手ハウスメーカーよりも、施工品質などの面で信頼性が高い点もメリットと言えます。
【工務店に依頼するデメリット】
- 住宅の仕上がりをイメージしにくい
- 宣伝費を多くかけている工務店は、価格が高くつく
工務店によって、得意な建築や使用する資材の種類などが異なります。完成イメージが想像しにくい場合は、実際に工務店で施工された完成物件を見たり、建築現場を訪れたりしましょう。
他にも、都道府県の木造建築協会や、木材関係の団体が発行する雑誌などから、工務店を見つける方法も有効です。さまざまな情報から、自分の建てたい住宅のイメージに合うか判断することが、信頼できる工務店を選ぶコツとなります。
3.個人大工に住宅建築を依頼するメリット・デメリット
マイホームの建築は、工務店だけでなく個人大工への依頼も候補の1つです。ここからは、個人大工に住宅建築を依頼するメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
【個人大工に依頼するメリット】
- 施工費用を抑えられる
- 設計の自由度が高く、希望通りの住宅を建築できる
個人大工に依頼すると、元請けへのマージンや広告費用などが発生しないため、安価に施工することが可能です。また、規格などの縛りも少ないため、間取りや設計デザインなど自分のこだわりを形にしやすいでしょう。
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【個人大工に依頼するデメリット】
- アフターメンテナンスが受けられない可能性がある
- 大工のこだわりを押し付けられるケースがある
大工などの職人は、近年、後継者不足に悩んでいます。住宅は建てて終わりではなく数十年単位で住み続けるものですが、後継者がおらず廃業してしまうとアフターサービスが受けられない可能性があるため、注意しましょう。
また、信頼できる個人大工を選ぶには、施工実績例や人柄が重要です。システムキッチンやユニットバスといった主要設備だけでなく、断熱材や外壁材など細かい部分の確認にも真摯に向き合ってくれる大工を選ぶことがポイントです。
まとめ
工務店と大工の違いは、大工などの職人を束ねる業者か、専門的な知識や技術を持った個人技能者かの差になります。
建てたい住宅のイメージや予算に合わせて、工務店か大工のどちらに依頼するかを選びましょう。どちらに依頼する場合でも、信頼できる相手を見つけられるかどうかが、理想の家を建てる鍵となります。