住まいの知識

平屋にはデメリットもある?人気の理由や失敗を回避するポイントも

平屋にはデメリットもある?人気の理由や失敗を回避するポイントも

平屋は階段がないことから1階から2階への上下移動がなく、老後を考えた住みやすさや間取りの自由度の高さから人気のある住宅タイプです。平屋暮らしに憧れを抱いていたり、家選びに悩んでいたりする方の中には、平屋のメリットだけでなくデメリットが気になっている方もいるでしょう。

当記事では、平屋を選んで少しでも後悔しないためにデメリットを5つ解説します。平屋が人気の理由も説明するので、平屋住まいを考えている方はメリットやデメリットを踏まえた上で慎重に検討しましょう。

1.そもそも平屋とは?

平屋とは、1階建ての住居のことです。リビングや寝室、バスルームなど、すべての部屋がワンフロアに収まっています。日本に古くから存在する住宅タイプで、昔ながらの「日本家屋」も平屋にあたります。

平屋は2階建てに比べて安定性が高く、間取りの自由度も高いことが特徴です。近頃は平屋の魅力が再認識されつつあり、世代を問わず人気が高い住宅タイプとなっています。

2.注意したい平屋のデメリット

平屋は幅広い世代から注目されている一方で、いくつかのデメリットも存在します。マイホームは大きな買い物なので、憧れだけで平屋に決めるのは得策とは言えません。平屋を検討している方は、デメリットもしっかり把握して、総合的な観点から決断することが大切です。

ここでは、平屋のデメリットを5つ解説します。

2-1.広い敷地が必要

平屋の大きなデメリットは、ワンフロアにすべての部屋や設備を収めるため、広い面積が必要になる点です。2階建てと同じ広さの床面積を確保する場合、2階建ての倍の敷地が必要になることから、土地代も高くなります。

また、地域ごとに異なる「建ぺい率」にも注意しなくてはなりません。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のことで、【敷地面積÷建築面積×100】で算出されます。建ぺい率50%の地域で、平屋の延床面積を約25坪確保する場合、約50坪の敷地が必要です。建ぺい率が低い場合は、必要となる敷地ももっと広くなります。

2-2.日当たりや風通しが悪くなるケースがある

環境や間取りによっては、平屋の日当たりや風通しが悪くなることもあります。特に、周囲にマンションや2階建て住宅が多い場合、1階建ての平屋は採光と通風で不利になるでしょう。

また、間取りによっては窓のない部屋が生まれ、日当たりや風通しが悪いことはもちろん、閉塞感を覚える可能性もあります。面積が広くなればなるほど、家の中心に風や日光が入り込みにくくなるので注意が必要です。

2-3.建築費用がかさみやすい

同じ延床面積の住宅を建てる場合、平屋は2階建てよりも、建築費用が高い傾向にあります。建設費用の中で、特にコストがかかる部分である基礎工事と屋根工事の面積が、2階建てに比べて広くなることが大きな理由です。

また、外壁に関しては、2階建てより高さはないものの、間取りによっては平屋のほうが面積が広くなるケースもあります。平屋の建築費用を抑えたい場合は、住宅設備や間取りで工夫することが必要です。

2-4.浸水リスクがある

平屋には2階がないため、洪水や津波などの水害被害をダイレクトに受けることになります。床上浸水になると、2階のない平屋では、家のすべてのものが水浸しになってしまうでしょう。

近年は記録的な豪雨や長雨も多く、いつ水害に見舞われるかは分かりません。一方で、平屋は地震や台風に強いとされています。平屋を建てる際には適切な水害対策を行うことで、より災害に強い安心な住まいとなるでしょう。

2-5.防犯やプライバシー保護への配慮が必要

1階建ての平屋は外から生活環境が把握しやすいので、空き巣に狙われやすいというデメリットがあります。窓や扉など、侵入しやすい場所が多いという点も、不安要素の1つです。特に、泥棒は窓から侵入するケースが多いので、窓の防犯対策はしたほうがよいでしょう。

また、人通りの多い道に面する場合は、通行人の目が気になることもあります。「人目を気にして窓が開けられない」という事態は避けたいので、下調べも重要です。また、プライバシー保護のため、換気の仕方や、洗濯物を干す場所も考える必要があると言えます。

3.平屋が人気の理由

平屋のブームが続いている理由として、以下の3点が挙げられます。

生活動線がシンプルで効率的
平屋ではワンフロアで生活動線が完結するので、家事や生活でのストレスが少なくなります。たとえば、洗濯物を干すために2階へ上がったり、手を洗うために1階へ下りたりといった上下移動がありません。
家族でコミュニケーションがとりやすい
平屋は廊下が少なく、部屋と部屋の距離が近いので、家族で顔を合わせる機会も自然と多くなります。リビングを中心にした間取りにすれば、帰宅後や出かける際に、家族とゆっくりコミュニケーションがとれるでしょう。小さな子どもにも目が届きやすいので安心です。
バリアフリー設計で老後も住みやすい
階段がない平屋は、高齢者でもすべての部屋に移動しやすいというメリットがあります。2階建てに比べると掃除も楽にできるので、年齢を重ねてもずっと住み続けたいという人におすすめです。最初から段差のないフラットなつくりの平屋にすれば、バリアフリーリフォームの費用も最小限に抑えられます。

平屋は1階部分だけなので、メンテナンス費用が抑えられるといったメリットもあります。子育て世代にとっても、シニア世代にとっても、長く住みやすい設計と言えるでしょう。

4.平屋にして後悔しないためのポイント

平屋のデメリットを把握した上で「やっぱり平屋に住みたい」と感じる場合には、家族としっかり相談したり構造や間取りを工夫したりしながら、住宅購入や家づくりを進めることが大切です。入念に準備をすれば、失敗も少なくなり、快適で贅沢な平屋暮らしを満喫できるでしょう。

ここでは、平屋で後悔しないためのポイントを3つ解説します。

4-1.家族としっかり相談する

平屋を建てる際には、家族の意見を聞き、全員の了承を得ることが大切です。予算やライフスタイル、将来的な家族構成、プライベート空間の確保などについて、しっかりと話し合いましょう。

平屋と2階建て、どちらがよいかは人によって異なります。家族それぞれの優先順位と、平屋と2階建てのメリット・デメリットを照らし合わせて、自分たちにとって最適なスタイルを選ぶことが重要です。

4-2.平屋住宅向きの土地かどうか確認する

平屋を建てる際には、以下の点を確認しながら土地選びを行いましょう。

  • ワンフロアでも十分な延床面積があるか
  • 水害の恐れがないか
  • 周囲に高い建物はないか、また今後建設予定はないか

快適に生活するためには、1人あたり約8坪が目安と言われています。実際に住んで手狭に感じることがないよう、家族の人数に応じたゆとりのある延床面積を確保することが重要です。

水害についてはハザードマップで確認するほか、周辺を散策して川の様子を見たり、近所の人に様子を尋ねたりしてもよいでしょう。万一に備えて、避難経路や避難場所を把握しておくことも大切です。

4-3.構造や間取りを工夫する

平屋を建てる場合は、平屋のデメリットをカバーできる構造や間取りを考えましょう。工夫する上で大切なポイントは以下の通りです。

・中庭を設ける

家の中心まで光や風を通しやすくするためには、中庭を作ることがおすすめです。洗濯物を干すスペースや、子どもの遊び場としても活用できます。外から見えないプライベートな空間を確保でき、家族の憩いの場となるでしょう。

・勾配天井にする

勾配天井とは、屋根の形・傾斜をそのまま生かした天井です。部屋に開放感が生まれ、天窓を設けて採光を取ることもできます。

・外構を工夫する

プライバシー確保や防犯面を考慮した外構を作りましょう。たとえば、外構フェンスの設置や、庭に音が鳴る砂利を敷くといった例が挙げられます。

また、平屋の施工事例が多く、さまざまなアドバイスを行ってくれるハウスメーカーを選ぶこともポイントです。

まとめ

平屋とは、すべての部屋がワンフロアに収まっている1階建ての住居タイプのことで、生活動線がシンプルで効率的なことから世代を問わず人気な住宅タイプです。バリアフリー設計にすれば老後も住みやすいメリットがありますが、建設には広い敷地が必要だったり、環境や間取りによっては風通しや日当たりが悪くなったりします。

平屋を選んで後悔しないためには、家族と予算やライフスタイルをしっかりと話し合って慎重に検討することが大切です。2階建てと平屋のメリット・デメリットを比較した上で、自分たちにとって納得できる住居スタイルを選びましょう。