注文住宅は各家庭のライフスタイルやこだわりに合わせて、自由に間取りを決められる点が魅力です。しかし、自由度が高い反面、「どこから決めるべきか分からない」「間取りで失敗したくない」と悩んでしまう場合もあります。
間取り決めに失敗すると、家具配置に困ったり収納場所が不足したりするなど、生活のしづらさや不便さを感じてしまう可能性があるため、十分な検討が必要です。この記事では、間取りを考える際に重視するべきポイントを詳しく解説します。
1.おすすめの間取りは人それぞれ!決める際の注意点は?
間取りは家に住む人の暮らしに大きくかかわる部分であるため「おすすめの間取り」と一口に言っても、どのような間取りがおすすめに該当するかは世帯によって異なります。注文住宅を購入する際は、「人気がある」「おすすめと言われている」などの理由で間取りを決めず、自分と家族に合ったものを選ぶことが重要です。
以下では、間取りを決める際に重要なポイントをそれぞれ解説します。
1-1.重視するポイントを明確にする
間取りを決める際は重視するポイントを明確にして、優先順位を決めることが大切です。コストパフォーマンスはもちろん、実用性やこだわりなど、さまざまな面から優先したいポイントを洗い出します。
重視するポイントを明確にすることで、「浴室やキッチンは毎日使うので優先する」「ウッドデッキはコストがかかるので優先順位を下げる」などメリハリをつけて考えられます。あれこれ詰め込みすぎると予算オーバーしてしまうため、優先順位を考えた間取りの決め方が重要です。
1-2.建築用語などを正しく理解しておく
間取りを決めるにあたって、建築用語の正しい理解も大切です。よく使われる用語だと、家の中で生活していて動き回る線を指す「生活動線」や、リビングや寝室などの人が過ごす部屋を指す「居室」などがあります。
他にもさまざまな建築用語がありますが、まずは間取り図でよく使われる用語の下調べをおすすめします。家づくりを進める際に、情報収集がしやすくなるだけでなく、メーカーの担当者とスムーズにコミュニケーションが取れるため便利です。
1-3.日当たりや外からの視線を意識する
日当たりの考慮も、間取りを決める上で重要な要素となります。一般的には日当たりを確保したい部屋を南側に配置しますが、すべての部屋を南側にするのは困難です。そのため、自分のライフスタイルや家の周りの環境、1日の太陽の動きに合わせて決めていきましょう。
寝覚めに朝日を浴びたいなら東側に寝室を配置し、日中を過ごすリビングを南側、浴室やトイレは北側に配置するなど、実際の暮らしをイメージすると決めやすいです。しかし、日当たりの良い部屋は窓の外から家の中の様子が見えやすいというデメリットもあるため、日当たりと外からの視線の両面から間取りを考える必要があります。
1-4.動線を意識し無理のない配置にする
間取りを決める際には、生活動線の確保も忘れてはなりません。部屋を無理のない配置にすると、行き来のしやすい快適な暮らしが実現できます。
動線を意識した間取りを決めるポイントとして、「玄関の位置」「階段の位置」「リビングと階段の位置関係」の3つである程度の形が決まります。特に玄関位置は廊下の長さや日当たりの良い部屋の配置に影響を及ぼすため、生活動線に深くかかわる重要事項です。
2.おすすめの間取りを5つのタイプ別に紹介!
ここでは、おすすめの間取りの施工事例として、多くの世帯で重視されているポイントを5つのタイプに分けて解説します。
当てはまるタイプがない場合でも、工務店やハウスメーカーと相談しながら間取りを決めて理想の家づくりをすることが可能です。ぜひ気軽にプロに相談して、理想を実現できる間取りを考えましょう。
2-1.収納重視タイプ
収納を重視したい方は、ウォークインクローゼットやパントリーの配置をおすすめします。パントリーとは、食料品などを貯蔵する収納スペースです。キッチンをスッキリと見せたい場合は、キッチンに隣接した場所や玄関付近にパントリーを設けるとアクセスしやすく、動線を確保した設計にできます。
また、ウォークインクローゼットは収納スペースとして人気の高い間取りです。寝室付近だけでなく、廊下の空いたスペースや洗濯スペースのそばに配置するなど、家族で共有するタイプのウォークインクローゼットも増えています。
他にも、玄関スペースにシューズクローゼットを採用すると、靴や子どものベビーカー、DIY用品などを1か所に収納できるため非常に便利です。
2-2.家事のしやすさ重視タイプ
家事のしやすさを重視するなら、キッチンのタイプや家事動線を重視して間取りを考えましょう。水回りをキッチンに近い場所に配置して家事動線をまとめると、移動による時間を短縮できます。例えば、キッチンの奥に洗面所や浴室を配置する間取りの設計などがおすすめです。
キッチンは対面型にすることで、でき上がった料理をテーブルに運びやすくなるため、用意や片付けが楽になるでしょう。また、キッチン周りは冷蔵庫や電子レンジ、炊飯器など必要な家電が多数あるため、多めにコンセントの数を設置すると使い勝手が良くなります。
2-3.家族の時間重視タイプ
子育て世帯などで家族の時間を大切にしたい方は、リビングやダイニングを工夫して、リラックススペースを取り入れてみることをおすすめします。
リビングやダイニングは多くの時間を過ごす空間であるため、開放感を意識した吹き抜けやリビング階段を取り入れると、コミュニケーションが取りやすい空間づくりができます。
また、リビングに隣接した開放型の畳スペースも、家族団らんのリラックスルームとして最適です。食後にゆっくりと過ごすなど、子どもの遊び場としても使える多目的スペースとして活用できます。
2-4.ワークスペース重視タイプ
リモートワークの普及により、自宅で仕事や勉強ができるスペースを確保したいと考える方が増えています。家で仕事や勉強に打ち込める空間を求めている方は、ワークスペース重視の間取りを検討しましょう。
一般的に書斎は、独立した個室として設けられます。間取りに余裕がある場合は個室の書斎を取り入れられますが、スペースに余裕がない場合は、空いた空間を活用して書斎を設けることをおすすめします。
部屋と部屋をつなぐ廊下の一部にワークスペースを設けることで、スペースに余裕がなくても書斎を設けることが可能です。また、リビングの一角を利用した半個室の書斎など、デッドスペースをうまく生かしたケースもあります。
2-5.プライバシー重視タイプ
二世帯住宅や生活スタイルの異なる家族がいる家庭におすすめなのが、プライバシーを重視した間取りです。リビングを介さずに個室へ移動できる配置にしたり、リビングから離れた位置に個室を設けたりすることで、プライバシーの確保がしやすい設計になります。
二世帯住宅の場合は、玄関・リビング・キッチン・浴室などの生活空間を完全に分ける完全分離型や、玄関など一部の空間だけを共有する部分共有型などの間取りがあります。
完全分離型は、マンションの隣同士で暮らすような距離感となるため、お互いのプライバシーを守りたい方におすすめです。部分分離型でも、ある程度のプライバシーは確保しつつ、必要であればすぐにコミュニケーションが取れる距離を保てます。
まとめ
間取りを決める際は、日当たりや生活動線を考慮して、理想のライフスタイルに合わせることが大切です。間取りに正解はありませんが、上手な決め方や間取りのタイプを知っていれば失敗が少なく済むため、納得のいく間取り決めの参考になります。
この記事で紹介したおすすめの間取りを基本にしながら、自分のライフスタイルや家族のニーズから柔軟に考えましょう。また、希望する条件については、優先順位をつけて考えることが大切です。
しかし、自分だけで間取りをすべて決めることは難しいため、工務店などのプロに相談すると安心です。自分と家族が納得できる間取りについて十分に考えて、家づくりを進めましょう。