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容積率200%の家の広さは?間取りを考えるときのポイントも解説

容積率200%の家の広さは?間取りを考えるときのポイントも解説

家を建てる上で具体的に考えるべきなのが、土地と家の大きさにかかわる建蔽率(建ぺい率)と容積率です。建蔽率と容積率は、土地に対して建てられる家の大きさを決める数値であるため、土地や家の大きさを選ぶ大切な要素になります。

当記事では、建蔽率と容積率を解説するほか、容積率200%で建設可能な家の広さを紹介します。できる限り広い家を建てる方法も具体的に紹介しているので、納得のいく大きさの家づくりがしたい人はぜひご一読ください。

1.建蔽率・容積率とは?

建蔽率(建ぺい率)・容積率とは、土地の広さに対してどれくらいの大きさの家を建てられるかを決める数値です。家を建てる際、所有している土地の中であれば、どのような大きさの家を建てても良いわけではありません。周辺の人が安全で快適に過ごせるよう、その住居地域によって建てられる家の大きさに規制があります。

規制の代表が建蔽率と容積率です。この2つを知らずに土地購入をすると、イメージしていた家よりも狭い家しか建てられず後悔の原因にもなりかねません。ここでは、建蔽率と容積率について詳しく解説します。理想の家作りのために、しっかり確認しましょう。

1-1.建蔽率とは

建蔽率とは「建物を建てる敷地面積に対する建物を真上から見たときの面積の割合」です。分かりやすく言うと、40坪の土地に家を建てる場合、40坪のうち何%を建物用に使ってもいいか決められています。

例えば、40坪の土地の建蔽率が60%だった場合、24坪の家を建てられます。また、建蔽率は建物を真上から見たときの面積なので、2階建ての場合は1階が24坪、2階が24坪の延べ床面積48坪の家が建設可能です。

土地を無駄にしないようギリギリの大きさで家を建てたいという人もいますが、建蔽率が高い家は防災や日陰、日照確保などの観点から望ましくありません。そのため、ある程度の空地を確保し、ゆとりのある建物を建設するように誘導する目的で、建築基準法によって建蔽率の制限が求められています。

また、建蔽率の割合は一律ではなく地域によって異なるでしょう。建蔽率は用途地域や防火地域等の種別に応じて30~80%の間で設定されます。割合が大きいほど土地に対して建てられる家の面積は広く、建蔽率が小さければ家の面積は小さくなります。

1-2.容積率とは

容積率とは「建物を建てる敷地面積に対する建物の延床面積の割合」です。延床面積とは各階の床の合計面積を指し、1階24坪、2階24坪の延床面積は48坪となります。

例えば、40坪で容積率が200%の土地に家を建てる場合は、延床面積80坪の家を建設可能です。また、条件付きではありますがベランダやバルコニー、地下室、車庫などは容積率緩和の対象となります。

容積率には、指定容積率と基準容積率という用語があります。指定容積率とは都市計画で定められる最高限度を言います。基準容積率は、指定容積率と敷地が接する前面道路の幅員によって定められる最高限度のうち、小さい方の容積率です。原則、指定容積率は基準容積率を上回ることはできません。

前面道路の幅員によって定められる最高限度は、前面道路の幅員が12m未満の場合が対象です。前面道路幅員に係数(原則、住居系の用途地域は0.4、その他の用途地域は0.6)を乗じた容積率と、用途地域別に定められている容積率を比較して、いずれか小さい方が適用されます。

2.容積率200%の家の広さは?

容積率200%の家の広さを下記条件で解説します。

  • 容積率 200%
  • 土地  40坪

容積率200%の家の広さの計算方法は、40坪×200%=80坪となり、延床面積80坪までの家が建築可能です。総2階の家であれば、1階40坪、2階40坪の家が建てられます。ただし、実際に延床面積80坪の家を建てられるかどうかは建蔽率の上限をクリアする必要があります。

建蔽率が60%の場合の計算方法は、40坪×60%=24坪です。つまり、上から見たときに24坪までの大きさしか建てられません。40坪の土地に対して容積率200%で建蔽率60%の場合に建てられる家は、2階建てであれば延床面積48坪、3階建てであれば72坪の家が最大です。これを超えて家を建てるのは違法建築になります。

ただし、土地が接する前面道路の幅員が12m未満の場合は容積率の上限が変わる可能性があるので注意が必要です。例えば、土地40坪・容積率200%の土地・前面道路が4mの場合は、前面道路4m×係数0.4×100で160%となり、容積率200%と比べ小さい160%が容積率となります。この場合、40坪×160%=延床面積64坪が最大です。

3.容積率200%でできるだけ広い家を建てるには?

容積率200%でできるだけ広い家を建てるには「容積率制限緩和」について知っておきましょう。容積率の上限は、地域ごとの用途に応じて定められていますが、特定の条件によっては基準の緩和が認められます。容積率の緩和の特例をうまく利用できれば、想定よりも広い家の建設が可能です。

ここでは、容積率にかかわる特例の具体例を詳しく紹介します。

3-1.地下室を作る

地下室は、延床面積の3分の1までであれば容積率の計算から除外されます。つまり、延床面積30坪の家の場合、10坪までの地下室であれば容積率に関係なく建設可能です。容積率の緩和を活用すると、土地の広さはそのままで居住面積を増やせます。

地下室の容積率緩和を受けるには、下記3つの緩和条件を満たす必要があります。

  • 1、地階であること
  • 2、地盤面から地階の天井が1m以下であること
  • 3、住居用であること

地階とは、床が地盤面の下にある階を指し、半地下の空間も地階です。天井部分が地盤面から1m以内であれば容積率緩和の条件を満たせます。

地下室は防音性に優れ室温が変化しにくいため、大音量の音楽を楽しんだりワインセラーとして活用できたりします。また、地下室を収納スペースとして活用するほか、地上階だけでは作れなかった子ども部屋にも活用可能です。地下室は建築コストが高く、土地の状態によっては施行できない場合もあるので、ハウスメーカーへ事前に相談しましょう。

3-2.ロフト・小屋裏収納を作る

ロフトや小屋裏収納は、直下床面積の2分の1までであれば容積率の計算から除外されます。2階の上にロフトを作る場合は2階の床面積の2分の1までを、1階と2階の間に収納部屋を作る場合は1階の床面積の2分の1までを限度として、容積率に関係なく作れます。

ただし、容積率の条件緩和を受けるためには、下記2つの条件を満たしましょう。

  • 1、天井の高さが1.4m以下であること
  • 2、居住スペースとしての利用ではないこと

上記のように、基本的に居住スペースとしての利用と見なされる場合は、ロフト・小屋裏収納に認められません。そのため、ロフト内に電話やインターネットのジャックがあったり、はしごの取り外しができなかったりする設計だと、緩和を受けられない可能性があるため注意しましょう。

3-3.駐車場を工夫する

駐車場は、屋根がなければ建築面積に含まれませんが、屋根やビルトインガレージがある場合は建築面積に含まれます。しかし、建築面積に含まれる駐車場に関しては、延床面積の5分の1を上限として容積率の計算から除外可能です。駐車場の面積が合計床面積の5分の1を超える場合は、超えた部分が容積率算定上の延床面積に加えられます。

例えば、車庫の面積が10坪、車庫を除いた1階の面積が15坪、2階が20坪であれば、合計45坪の5分の1の9坪が除外されますが、1坪は容積率算定対象です。駐車場の容積率の制限緩和条件は、特に設けられていません。用途が自動車車庫であれば自動的に緩和され、自動二輪車、自転車置き場も対象です。

まとめ

建蔽率は敷地面積に対する建物を真上から見たときの面積の割合であり、容積率は敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。容積率200%では延床面積80坪までの家が建てられ、総2階であれば1階40坪、2階40坪の家が建設できます。しかし、実際には建蔽率の上限をクリアする必要があるため、延床面積80坪の家を建てられるとは限りません。

容積率200%で可能な限り広い家を建てるには、延床面積の3分の1まで容積率の計算から除外される地下室を作る方法があります。ほかにも、直下床面積の2分の1まで容積率の計算から除外されるロフトや小屋裏収納を設置する方法があるため、容積率緩和を活用するなどして理想的な大きさの家をつくりましょう。