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キッチンとダイニングを横並びにするのは失敗?デメリットを解説

キッチンとダイニングを横並びにするのは失敗?デメリットを解説

キッチンとダイニングを横並びにする間取りは、キッチンからダイニングの様子が確認しやすく、配膳と下膳がスムーズに行えるメリットがあります。一方で、テーブル周りを狭く感じたり、キッチンとダイニングテーブルの間にスペースがなければ、家事動線が悪くなったりする可能性もあります。キッチンとダイニングを横並びにする間取りで失敗しないためにも、デメリットを把握した上で検討しましょう。

当記事では、キッチンとダイニングを横並びにするデメリットを中心に、メリットや間取りで失敗しないポイントを紹介します。マイホームの購入や住宅のリフォームでキッチンとダイニングの間取りに悩んでいる人は必見です。

1. キッチンとダイニングを横並びにすると失敗する?デメリット7つ

キッチンとダイニングの間取りはいくつかパターンがありますが、近年ではキッチンとダイニングが横並びになった間取りが人気を集めています。キッチンからダイニングの様子を確認しやすく、配膳・下膳がスムーズになるなどの理由から、キッチンとダイニングの横並びを検討している人も多いのではないでしょうか。

キッチンとダイニングを横並びにするメリットは多くありますが、デメリットや失敗しやすい点があることにも注意が必要です。デメリットや失敗の原因をふまえた対策を行い、快適な生活を送れる家づくりを目指しましょう。

1-1. 家事動線が悪くなる

一般的には、キッチンとダイニングを横並びにすると、キッチンダイニング間の家事動線が良くなります。食器の配膳や食後の後片付けなど、食事前後の家事効率は向上するでしょう。

しかし、「調理の合間にリビングで子どもと遊ぶ」「食器洗いをしながら洗濯やお風呂の様子を確認する」など、家事や育児では複数のタスクを並行してこなす必要があります。キッチンダイニングを横並びにすると、キッチンからダイニングテーブルの周囲を回る必要があるため移動距離が長くなり、回遊性が下がる恐れがあることに注意しましょう。

キッチンは家事の中心となるスペースでもあるため、キッチンからの動線や回遊性が低下すると家事効率は下がります。キッチン横並びダイニングを検討する際は「アイランドキッチンにする」「キッチンとダイニングの間に通路スペースを作る」など、家事動線を確保する工夫が必要です。

1-2. キッチン周りが目につきやすい

キッチンとダイニングを横並びにすると、キッチンからダイニングの様子を確認しやすくなりますが、ダイニングからもキッチンの様子が見えやすくなります。特に、キッチンにつながる通路側の席(キッチン内側)からは丸見えになります。

キッチン周りは食器や食材だけでなく、調理器具やキッチン雑貨などさまざまな物を収納・使用するため、生活感が表れやすい場所です。一緒に暮らす家族とはいえ、キッチン周りは見られたくない人もいるでしょう。来客(友人・知人など)であれば尚更です。

キッチンダイニング横並びの間取りを採用する際は、キッチン周りの整理整頓や掃除をこまめに行い、なるべくきれいな状態をキープするのが重要です。見せる収納を採用したり、キッチン作業中の手元への視線を遮る腰壁を設置したりして工夫を行いましょう。

1-3. テーブル周りを狭く感じる

キッチンとダイニングを横並びにすると、キッチンの前方にテーブルを置く対面型より多くのスペースを使います。キッチン周りに広いスペースをとれない場合は、ダイニング周辺に圧迫感を覚える可能性があります。

キッチンとダイニングは家族が頻繁に行き来する場所であるため、横並びの間取りにする際はゆとりのあるスペースを確保するのがポイントです。特にテーブルと壁の間の通路幅は、60cm程度を目安にして通常の歩行でストレスなく通り抜けられるスペースを確保しましょう。

また、家族がダイニングチェアに座っているときに、他の人が後ろをスムーズに通れるスペースがあるかも確認したいポイントです。特に、キッチンの通路側の席は狭くなる傾向があるため注意してください。

1-4. デザインの統一が難しい

キッチンとダイニングが対面する間取りの場合、キッチンとダイニングテーブルで色や素材・テイストが多少異なっていてもそれほど気になりません。家族形態の変化に伴いダイニングテーブルなどの家具を変更しても、空間のデザイン性が大きく損なわれることはないでしょう。

一方、キッチンとダイニングが横並びになる間取りでは、キッチンとダイニングが一続きになっているため、1つのまとまりとして認識されやすくなります。キッチンとダイニング家具の色や素材・テイストに統一感がないと、デザイン面でアンバランスな印象を与える空間になる恐れがあります。

キッチンとダイニングを横並びにする場合は、キッチンとダイニングを1つのまとまりとして一体感を持たせるのが大切です。設計時だけでなく、家具の買い替えも考慮しながら、組み合わせやすい色や素材を選ぶようにしましょう。

1-5. ダイニングからテレビが見えにくい

キッチンの前方にダイニングテーブルを配置する対面型の場合は、家具や家電の配置を工夫すれば、食事中でもリビングにあるテレビを見られます。一方、キッチンの横にダイニングテーブルを配置する横並びの場合、レイアウトによってはダイニングからテレビが見えにくくなる可能性があります。

ダイニングからテレビを見えやすくするには、ダイニングテーブルから見てキッチンと反対側の壁にテレビを掛けるなどの工夫が必要です。キッチンとダイニングを横並びにする間取りでは、テレビとの距離が十分にとれない可能性もあるため、スペースにあまり余裕がない住宅では難しいでしょう。食事中にテレビを見る習慣がある家庭では注意が必要です。

1-6. 後から間取りを変更しにくい

キッチンがダイニングに対面する間取りの場合、ダイニングとリビングを1つの空間として家具・家電の配置を検討できるため、比較的自由度の高いレイアウト変更を行えます。

一方、キッチンとダイニングが横並びの場合、キッチン横にダイニングスペースをとるためリビングの面積を減らしているケースも少なくありません。たとえば、ダイニングテーブルがキッチンの対面の位置になるよう移動させようとすると、リビングとして使用できるスペースがさらに小さくなり不便さが増します。

特に、造作によってキッチンとダイニングが一体になっている場合、そのままではダイニングテーブルを移動できません。ダイニングテーブルを動かすなどのレイアウト変更をする際は、キッチンやダイニングのリフォームが必要になるため注意しましょう。

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1-7. 広いスペースの確保が必要

キッチンとダイニングを横並びにする場合、キッチンとダイニングテーブルを配置する場所に広いスペースを確保する必要があります。

キッチンとダイニングを横並びにする場合、キッチンとダイニングテーブルだけでも12畳ほどの広さが必要です。LDKの広さは一般的に16~20畳程度であるため、横並びダイニングにすると、リビングが4~8畳ほどと狭くなる可能性があります。LDKの空間を広くするための工夫が必要でしょう。

また、キッチンとダイニングを横並びにしても問題が発生しない広さ・寸法をとれることも重要です。シンクとワークトップ、コンロが一直線に並ぶキッチンの一般的な横幅は2.5mほど、4人掛けのダイニングテーブルの長辺は1.5mほどです。これらを横に並べた上で、80cmほどの通路幅をとれるスペースがあるかを確認しましょう。

2. キッチンとダイニングを横並びにするメリット4選

キッチンとダイニングを横並びにする間取りにはデメリットや注意点もありますが、「配膳がしやすい」「食事中に調味料などを取りに行きやすい」といったメリットもあります。

ここでは、キッチンとダイニングを横並びにする4つのメリットを解説します。メリットとデメリット・注意点をふまえた上で、自身や家族のライフスタイルに合ったキッチン・ダイニングのレイアウトを考えましょう。

2-1. 配膳がしやすい

キッチンとダイニングを横並びにする大きなメリットの1つに、キッチンからダイニングへの配膳がしやすくなる点が挙げられます。最短距離で料理や食器を運べるため、配膳時の事故やケガを防げるでしょう。ダイニングテーブルが近いため、調理中の作業台代わりになることもポイントです。

キッチンと横並びのダイニングの場合、他の場所への家事動線は長くなる傾向があります。しかし、食事の準備や後片付けは日常の暮らしの中でも多くの時間・手間がかかる家事の1つであるため、配膳・下膳が楽になることに大きな魅力を感じる人も多いでしょう。

他の場所への回遊性をなるべく維持しつつ、キッチンとダイニングを横並びにしたい人には、キッチンとダイニングテーブルの間に通路を設けることをおすすめします。ダイニングテーブルを回って移動する必要がないため、他の場所への移動もそれほど苦に感じないでしょう。

2-2. キッチンをおしゃれに見せられる

キッチンとダイニングが横並びになった間取りでは、キッチンとダイニングテーブルの素材や色、デザインなどに統一感を持たせることが大切です。キッチンとダイニングのデザイン性にまとまりがあれば、キッチンをおしゃれに見せられます。

たとえば、キッチンの大部分に黒などシックな色でマットな素材を使用する場合、ダイニングもモノトーンや光沢を抑えた素材を利用する方法が考えられます。カウンターや腰壁、ダイニングテーブルに無垢材などの木材を使用するときは、木材の種類や色、加工の仕方をある程度揃えておきましょう。

キッチンをおしゃれに見せるためには、作業スペースの目隠しや収納スペースの見せ方も検討する必要があります。デザイン性のある目隠しや収納スペースを設けるとともに、あえて見せる収納方法を考えてみてもよいでしょう。

2-3. 家族との距離を近くに感じられる

未就学児や小学生の子どもがいる世帯では、保護者の目が届くリビングやダイニングで学習を見守る「リビング学習」を行っている家庭もあります。

キッチンとダイニングが横並びになっていると、キッチンで家事をしながら子どもがダイニングで学習している様子をしっかりと見守ることができます。横並びであれば、対面の場合よりも教科書やノートの文字を読みやすくなるため、宿題や学習のチェックもしやすくなるでしょう。

また、横並びのダイニングは家事動線が短いため、お手伝いを通して子どもとのコミュニケーションを増やせるというメリットもあります。家事をしながら家族との距離を近くに感じられることも、横並びダイニングの大きな魅力と言えるでしょう。

2-4. 広いリビングスペースを確保できる

間取りや部屋の面積にもよりますが、キッチンとダイニングを横並びにすると、キッチンダイニング間の行き来をするスペースを削減できます。削減できたスペースをそのままリビングスペースに配分できれば、より広いリビング空間を確保できるでしょう。

また、キッチン前のスペースが空くことによって、カウンターや収納棚の設置もできます。キッチンとダイニングが横並びになった間取りは、おしゃれなカウンターが欲しい人や、リビングの収納スペースを多くしたい人にもおすすめの間取りです。

3. キッチンとダイニングを横並びにしたい!失敗しないポイントは?

キッチンとダイニングを横並びにする間取りにはメリットも多い一方、デメリットも少なからずあります。キッチンとダイニングを横並びにする間取りで失敗しないためにも、メリット・デメリットを比較した上で複数の資料を比較し、具体的にイメージするのが大切です。

ここでは、キッチンと横並びのダイニングを検討する際に押さえたい「失敗しないためのポイント」を2つ紹介します。

3-1. 通路が狭くならないか確認する

キッチンとダイニングを横並びにした間取りの失敗談として、ダイニングテーブル横や後方のスペースが十分に確保できなかった点が挙げられます。ダイニングテーブルにイスが収まっている状態だけでなく、実際に家族がイスに座った状態で、周囲にどの程度の幅を確保できるかをイメージしてください。

モデルハウスやショールームなどで実際に座って確認する方法もありますが、難しい場合は80~140cmを目安に通路幅を確保するとよいでしょう。ダイニングテーブルの近くに食器棚や冷蔵庫などの家具・家電を置く場合や、パントリーを設置する場合は、通路幅との兼ね合いを考えることも大切です。

3-2. カタログを見てイメージを膨らませる

キッチンとダイニングの横並びを検討する際は、リビングや浴室、トイレ、階段など他の部屋の間取りや設備への動線も並行して考えることが大切です。自身でゼロベースから考えることは難しいため、工務店やハウスメーカーにカタログを請求し、さまざまな間取りの事例を知ることから始めましょう。

工務店やハウスメーカーのカタログには、人気のある間取りや家事効率の良い間取り、トレンドの間取りなどさまざまな間取りが掲載されています。実例を写真で紹介しているカタログも多いため、実現したい間取りのイメージも膨らませやすいでしょう。

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4. 横並び以外にも!キッチンとダイニングのレイアウト3選

キッチンとダイニングを横並びにする間取りにはメリット・デメリットがあるため、キッチンとダイニングのレイアウトを決めかねている人もいるでしょう。キッチンとダイニングのレイアウトは横並び以外にもあるため、それぞれの特徴やメリットを理解した上でキッチン・ダイニングの方向性を定めることが大切です。

ここでは、横並び以外のキッチン・ダイニングのレイアウトを3つ紹介します。さまざまなレイアウトを参考にした上で、自身や家族のライフスタイルに合った間取りを検討しましょう。

4-1. 対面型

対面型とは、対面キッチンの前方にダイニングスペースを設けるレイアウトを指します。対面型のキッチンとダイニングテーブルの配置の仕方はさまざまな種類がありますが、特に対面型キッチンとダイニングテーブルをT字型に配置するレイアウトが一般的です。

キッチンに対してダイニングテーブルをT字型に配置するレイアウトは、ダイニングからワークトップやシンクの様子を隠せるというメリットがあります。キッチンでの作業中でもカウンター越しにダイニングやリビングの様子を確認できるため、家族とのコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。

4-2. 壁付け型

壁付け型のキッチンとは、前面が壁に接しているタイプのI型キッチンを指します。壁付けキッチンでは、キッチンでの作業中にリビングやダイニングの様子が確認しにくいものの、前方が壁であるため作業に集中できるメリットがあります。

また、壁とキッチン間に通路を作る必要がなくデッドスペースが生じにくいことも、メリットの1つに挙げられるでしょう。キッチンの背面にダイニングテーブルを配置すれば、横並びレイアウトと同様に配膳動線を短くできるのも大きな魅力と言えます。

4-3. 一体型

最近では、キッチンとダイニングテーブルがフラットにつながった一体型のキッチンダイニングも注目されています。キッチンとダイニングをすっきりとした見た目にまとめられる上に、キッチンとダイニングを一部兼用する形となるため、スペースの節約ができる点も魅力です。

◆キッチンダイニング一体型の例

  • セパレート(II型)キッチンのワークトップをダイニングテーブルとしても使う
  • 広めのカウンターを作り、食事スペースとして活用する
  • L字キッチンのワークトップを広げてダイニングスペースとして利用する

まとめ

キッチンとダイニングを横並びにする間取りは、ダイニングテーブルの位置によっては家事動線が悪くなり、テーブル周りを狭く感じる恐れがあります。ほかにも、家具家電のレイアウトによっては、ダイニングからテレビが見えにくくなる可能性もあります。

一方、キッチンとダイニングを横並びにするメリットは、家事動線が短いため配膳・下膳がしやすく家族との距離を近くに感じられるなどです。横並びの間取りで失敗しないためにも、ダイニングテーブル横や後方のスペースを確保し、複数のカタログを見て具体的なイメージを膨らませましょう。