注文住宅は外観・内装のデザインや間取りを自由に決めることができ、自身の理想やこだわりをふんだんに取り入れられます。
理想やこだわりを詰めた注文住宅を作り上げるためには多額の費用が必要となるため、予算計画をしっかり立てるためにもまずは見積もり書を作成してもらわなければなりません。では、この見積もり書はいったいどのようにして依頼し、どのような点に着目するとよいのでしょうか。
当記事では、工務店に注文住宅の見積もりを依頼する流れから、提示された見積書の見方、さらに見積もり書の比較ポイントまで徹底的に解説します。注文住宅を建てたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1.工務店に注文住宅の見積もりを依頼する流れ
注文住宅を建てたいと考えたときは、住宅会社・建築家であるハウスメーカーもしくは工務店に相談することが一般的です。設計事務所への見積り依頼も1つの選択肢としてありますが、設計事務所のメインの仕事はあくまでも建築プランを立てることであり、結局建築工事は施工業者に外注しているケースも多いため、より正確な見積もり価格を知りたいのであればはじめからハウスメーカー・工務店といった専門家への相談をおすすめします。
ここでは、工務店に注文住宅の見積もりを依頼する流れについて紹介します。
■見積もりを依頼する流れ
- (1)予算を確認する
- (2)見積もりを依頼する工務店を絞り込む
- (3)土地・住宅のプランを考える
- (4)工務店に見積もりを依頼する
見積もりを依頼する際にまずすべきこととしては、予算の確認です。ある程度の予算を決めておかなければプランが立てづらく、プラン決定までの期間が長くなる可能性があります。予算は「3,500万~4,000万円」など、なるべく細かく予算を設定しておきましょう。
予算を決めたら、見積もりを依頼する工務店をいくつか絞り込みましょう。その後、絞り込んだ工務店とともに土地・住宅の設計プランを検討し、見積もりを依頼するという流れが基本です。
1-1.相見積もりは3社に絞る
見積もりを依頼する工務店は、3社に絞り込むことが理想です。3社以上だと選定に時間と労力が非常にかかり、3社以下だと判断基準が少なくなるためベストな選定がしづらくなってしまいます。
また、単純に気になった工務店を3社絞り込んでもよいですが、下記のような考え方で3社を当てはめるという方法もおすすめです。
1社目 | 最も気に入った本命の工務店 |
---|---|
2社目 | 本命と価格帯やデザインが近い工務店 |
3社目 | 本命の工務店よりワンランク低い工務店 |
1社目と2社目での見積もり書は、間取りやデザイン、性能を比較したり、価格交渉を行ったりするために活用できます。しかし、実際に見積もり書を見てみると「思っていたより高かった」ということも多々あるため、3社目としてもうワンランク低い工務店を選んでおくとよいでしょう。
また、正確な見積り金額を算出するためには、理想に近い設計プランを仮打ち合わせ時にある程度細かく決定させなければなりません。3社すべて1から打ち合わせをすると多大な時間がかかってしまうため、はじめの1社のみ濃厚な打ち合わせをして、その後はその1社で決定した内容に基づいて設計プランを提示するという形で相談・交渉するとよいでしょう。
2.工務店が提示する見積もりの見方
工務店が依頼者に提示する見積もりの総額は、「建築費用」「付帯工事費用」「諸費用」の3つに分類されていることが基本です。しかし、これらの項目は住宅を建てたことがない人にとって「どのように見るべきか」が分からないものでしょう。
また、見積もり書に不動産業界で働く人しかわからない専門的な用語が用いられていたり、そもそも相場感覚が分からなかったりするため、馴染みのない人が見積もりの内容を適切に評価することは困難と言えます。
そこで次に、工務店が示す見積もりを確認する前に理解しておくべき「記載内容の意味」を詳しく紹介します。
2-1.建築費用
建築費用とは、名前の通り住宅を建築するための工事費用のことです。「本体工事費用」と記されることもあります。建築費用は、見積もり総額の7~8割を占めることが一般的です。
どのような工事内容を本体工事とするかは工務店によって違いがありますが、基本的に建築費用は下記のような項目に分けられます。
- ●仮設工事
- ●木工事
- ●外壁・屋根工事
- ●建具工事
- ●設備機器工事
- ●仕上げ工事
- ●電気工事
- ●給排水設備工事 など
工務店によっては、電気工事や給排水設備工事の一部を付帯工事費用とすることも珍しくありません。さらに、工事内容ごとにより詳しく項目分けするケースもあります。どこからどこまでを本体工事とするかだけでなく、見積もり書の記載方法も異なるため、不明点があればすぐ工務店に質問しましょう。
2-2.付帯工事費用
付帯工事費用とは、建築費用(本体工事費用)とは別に必要となる、建物本体以外の工事にかかる工事費用のことです。土地面積や建物の構造・設計によって費用は大きく異なります。付帯工事費用は、基本的に下記のような項目に分けられます。
- ●地盤改良工事
- ●外構工事(駐車場・庭・塀など)
- ●照明・エアコン工事
- ●太陽光発電設備設置工事
付帯工事費用は、初回の見積もり時点では明確な金額を出しづらく、概算金額となっているケースが多々あります。地盤改良工事は地盤調査の結果次第であるうえ、外構工事や照明・エアコン工事も専門業者による見積もり次第となっているためです。
2-3.諸費用
諸費用とは、主に税金や手数料といった費用のことです。より分かりやすく言うと「建物の建築にあたり必要となる幅広い費用項目」であり、見積もり総額の10%前後が目安となっています。ハウスメーカーや工務店による費用の差が少なく、必要な費用のイメージもしやすいでしょう。諸費用の具体的な項目は、下記の通りです。
- ●工事請負契約書印紙代
- ●住宅ローンの借入時に発生する諸費用
- ●登記費用
- ●地盤調査費用
- ●建築確認申請費用
- ●不動産取得税
- ●地鎮祭費用 など
諸費用の支払いタイミングは項目によって異なるうえ、諸費用も含めて借入できる住宅ローンは限られているため、自己資金で用意しておくことが理想です。
3.工務店が提示する見積もりを比較する場合のポイント3つ
複数の工務店に見積もりを依頼する方法を「相見積もり」と言います。相見積もりを行う場合は、各社の見積書を比較することとなります。漠然と見積書を眺めていても、どの工務店が優れているのか判断することはできません。
最後に、複数の見積書を比較する際に押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
3-1.同じ条件で比較する
相見積もりを行う際は、すべての工務店において同様の基準で比較・検討するためにも、できる限り同じ条件で見積もりを依頼することが重要です。
しかし、工務店によっても取り扱っている建築資材や対応できるプランが異なるため、すべての工務店において全く同じ条件で見積もってもらうことは不可能であることも覚えておきましょう。
その上でなるべく統一させるべき項目は、「予算」「間取り」「建築面積」「必ず盛り込みたいデザインや住宅設備」の4つです。
3-2.費用が変動する可能性を質問する
提示された見積もりを実際に確認したとき、「思っていたよりも高く、予算オーバーとなってしまった」、反対に「思っていたより安かった」というケースも少なくありません。しかし、もしこのような事態が起きてもすぐ鵜呑みにせず、費用が変動する可能性があるかを質問しましょう。
特に初期段階の見積もりは的確な費用が記載されることは少なく、場合によっては費用が上がったり下がったりします。予算オーバーだった場合は費用が変動する可能性や費用を下げるためにできる工夫を聞き、想像以上に安かった場合は今後予想される追加費用について聞いておくとよいでしょう。
3-3.項目を揃えた一覧表を作ってみる
前述の通り、工務店によって見積もり書の仕様や記載方法は細かく異なることが特徴です。見積もり書の内容を理解し、適切に比較・検討をするためにも、項目を揃えた一覧表を自分たちで作成してみるとよいでしょう。
また、項目を揃えた一覧表を作成するためには、まず各工務店から提示された見積もり内容を理解する必要があります。少しでも分からない部分があれば、ためらうことなく質問することがおすすめです。
すべての見積もり書において疑問点がなくなったら、各費用を揃えた一覧表を作成し、分かりやすい状況にした上で適切に比較・検討しましょう。
まとめ
注文住宅を建てる際は、初めに必ず工務店に見積もりを依頼することとなります。見積もりを依頼する際は、単純に気になった工務店1社のみに問い合わせるのではなく、ある程度予算を決めた上で3社ほど決めて見積もり依頼を出すことが理想です。
また、相見積もりの際はなるべく適切に比較するためにも、各見積もり項目をしっかり理解した上で同じ条件で比較したり、項目を揃えた一覧表を作成してみたりするとよいでしょう。
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