工務店で注文住宅を建築する場合、依頼する工務店との打ち合わせが重要になります。工務店によって回数や期間は変わり、状況によって打ち合わせの流れも違うので、事前に把握しておくとスムーズに話を進められるでしょう。
当記事では、工務店との打ち合わせの重要性について解説します。また、工務店との打ち合わせ回数や期間の目安、打ち合わせに関するコツもまとめているので、注文住宅を検討している方はぜひ参考にしてください。
1.注文住宅】工務店との打ち合わせとは?重要性も解説
工務店によって違いはありますが、注文住宅の打ち合わせには主に下記の3つの工程があります。
- 部屋の間取り、住宅設備に関する見積もり
- 建設中の現場で図面との相違がないかの確認
- 建設完了後の最終確認
打ち合わせをする相手は、工務店の設計担当者や実際に建設に携わる現場責任者です。デザイナーズ住宅の場合は、インテリアコーディネーターが同席する場合もあります。
工務店との打ち合わせは相性も大事です。担当者との相性が悪ければ、話の食い違いによるトラブルが起こる可能性が高まります。
注文住宅は、理想の家を建てたい施主と、希望をかなえる工務店が二人三脚で取り組むことではじめて完成します。施主がどのような建設アイデアを持っていても、実現する工務店がなければ家は建ちません。反対に優秀な工務店でも、施主がどのような家にしたいか具体的な提案をださなければ注文住宅は建ちません。
人生最大の買い物といってよい住宅の購入には、納得がいくまで打ち合わせを重ねる必要があります。理想の家を建てたい施主のアイデアと優秀な工務店の技術がマッチするためには、綿密な打ち合わせが重要です。
1-1.打ち合わせ回数・期間の目安
打ち合わせ期間としてはおおむね3か月から6か月が目安ですが、1年近くかける人もいます。この期間に数回の打ち合わせで済むこともあれば、20回〜30回と打ち合わせをする人もいます。しかし、打ち合わせの回数が多ければよいということではありません。
打ち合わせの回数を増やすと、そのぶん時間が取られ労力を費やすので、人によってはストレスがたまることがあります。詳細の打ち合わせをする工務店は、できるだけ早く1つに絞ることが大切です。
2.【状況別】工務店との打ち合わせの流れ
建売住宅はすでに完成されたものを購入するだけなので、打ち合わせをする機会は多くありません。一方、注文住宅の場合は土地の購入から家の建設まで、すべてにおいて工務店との打ち合わせが必要です。
工務店との打ち合わせは長期間にわたり数多く行われますが、タイミングは下記の3つに分かれます。
- 工事着工前
- 工事着工後
- 引き渡し前
2-1.工事着工前
工事着工前の打ち合わせでは、建設費用や土地の提案、部屋の間取り、住宅設備の仕様などについて話し合います。この段階で工務店側へどのような家を建てたいかをはっきり伝えましょう。
工事着工前の打ち合わせとしては、主に以下の7つの流れになります。
●建設費用と土地の提案
土地を所有していない場合、まずは土地の確保が必要です。建設費用とあわせて全体でいくらの予算になるかを把握し、予算内に見合った土地の提案をしてもらいます。
建設費用は大まかな予算ではなく、より現実的にはじき出した金額を工務店に提示し、住宅ローンの借入額と自己資金がいくらあるかなどを詳細に伝えておきます。
●土地の視察と住宅ローン審査
土地の提供を受ける場合、工務店に提案してもらった候補の土地を視察します。長期的に暮らす土地なので、現地視察では家を建てるのにふさわしい場所か、周辺の状況を細かくチェックすることが大切です。
同時に住宅ローンの審査書類を金融機関に提出すると、正確な借入額と月々の返済額が決定します。
●ライフプランの提案
人によって人生設計は異なります。今は夫婦ふたりでも、将来子供部屋は必要なのか、どのような生活スタイルが理想なのかなどを工務店に伝えておくことで、家作りがより具体的になります。
●正式契約
ライフプランの打ち合わせまで進んだら、あらためて施主の理想にあった家が建てられるか、安心して任せられる工務店かどうかを判断して正式契約を結びます。
●間取りや設備の確定
これまで打ち合わせた内容を踏まえ、具体的な部屋の間取りと設備関係を決めていきます。
特に設備や外構関係は決定事項が多く、トイレやキッチンはどのメーカーにするか、外壁や屋根の材質はどうするか、床材やサッシの仕様はどうするかなど多岐にわたります。
●住宅ローンの契約と土地購入
金融機関の住宅ローン審査に通れば、正式に「金銭消費貸借契約」を結び、土地を購入する場合はローンの借入後、すみやかに代金を支払うことになります。
2-2.工事着工後
工事着工後の打ち合わせはおおむね1〜4回ほど行われます。図面通りに建設が進んでいるかどうか、打ち合わせを兼ねて現場を見学します。
ある程度工事が進むと変更ができなくなることもあるので、事前の打ち合わせと異なる施工をする場合は、早めに工務店に伝えましょう。
2-3.引渡し前
完成前に住んでいる住居が賃貸の場合、遅くても退去日は1か月前までに伝える必要があるため、家の完成日は工務店によく確認しましょう。天候により工期が遅れ、退去日がすぎても完成していない場合、一時的に住む場所を探さなくてはなりません。
家の完成後は、最終的なチェックを行います。コンセントの位置や設備の設置状況などを細かく確認し、竣工検査が完了すると、残りの代金を支払ってから引き渡しとなります。
設備や外観が当初の打ち合わせと違う場合は、遠慮なく工務店側へ報告し、修正してもらいましょう。
3.工務店の打ち合わせに関するコツ5つ
注文住宅を建てるには数か月の期間がかかるため、あらかじめ大まかな打ち合わせのスケジュールを立てておくことが重要です。資金計画や間取り、ライフプランなどを事前に準備することで、工務店との打ち合わせをスムーズに進められます。
ここでは、工務店と打ち合わせをするときのコツを5つ紹介します。
3-1.最初は相手から話をさせる
最初の打ち合わせでは、工務店側から家づくりに関するこだわりを話してもらいます。必要であれば工務店の施工事例の写真を見せてもらったり、使用している材料などを教えてもらったりするのもよいでしょう。
工務店の話を聞く中で理想の家が建てられると感じたら、自分の希望も伝えつつ打ち合わせを進めます。
3-2.こだわる部分の優先順位を明確にする
注文住宅の良い点は、外観や内装をある程度自由に決められることです。しかし、すべての希望に沿うと予想以上の費用がかかります。予算オーバーにならないよう、こだわりたい部分の優先順位をあらかじめ決めたうえで担当者と相談しましょう。
優先順位を決めておくことで、工務店側も具体的な提案をしやすくなり、満足できる家に近づきます。
3-3.理想のイメージを共有する
建設前の家は、基本的に図面でイメージするしかありません。そのため、間取りや設備配置を決めるときは工務店側に簡単な図を書いてもらったり過去に施工した写真を見せてもらったりして、イメージを共有することが大切です。
工務店と理想を共有したうえで建設すると、完成した家がイメージと違うといったトラブルのリスクを減らせます。
3-4.記録を取っておく
注文住宅の打ち合わせでは希望を伝えるのも大事ですが、工務店側の話もしっかり聞いておく必要があります。住宅関連の打ち合わせでは専門用語が頻繁に出てくることがあり、基礎知識のない素人では理解できない可能性も考えられます。工務店側の話に疑問点があれば、遠慮なく質問しましょう。
正しい認識をしないまま着工すると、トラブルの原因にもなりかねません。トラブルの発生を防ぐためにも、手帳などにメモや議事録を取っておくことをおすすめします。
3-5.他の工務店とプラン・見積もりを比較する
工務店で見積もりをもらったらすぐに依頼を決めるのではなく、複数の工務店から見積もりをもらい、比較したうえで工務店を選ぶのがおすすめです。最初にもらった見積もりを持って他の工務店へ出向くことで、他社との特徴を比較することもでき、よりよい注文住宅を建てることにつながります。
工務店の担当者の対応にも注目しましょう。他社との違いをしっかりと説明しつつ、適切なアドバイスをしてくれる工務店は信用できると言えます。
まとめ
注文住宅は建売と違い、施主の希望にそった家を建てられることが大きなメリットです。ただし、工務店との打ち合わせをしっかり行わないと、イメージと違った家が完成する恐れがあります。
理想の家を建てるためにも、予算や間取り、設備などの細かい要望をあらかじめ決めておきましょう。要望に関しては、優先順位を決めておくと打ち合わせがよりスムーズに進みます。また、工務店側のアドバイスを聞き入れることも大切です。注文住宅を建てるうえでは、専門家にしか分からないこともたくさんあります。
工務店との打ち合わせで互いのイメージを共有しておくと、理想通りの注文住宅が完成するでしょう。