注文住宅を建てる方の中には「固定資産税っていくらかかるんだろう」「固定資産税評価額って何…?」「不動産関連の税負担をなるべく軽減したい…」と思っている方も多いのではないでしょうか。固定資産税は、課税標準額が元となって算出されますが、その課税標準額は決定方法がやや複雑かつ、場合によっては特例措置・軽減措置が適用されることもあるため、一般の方が正式な固定資産税額を算出することはなかなか難しいです。
そこでこの記事では東京都特別区や、大阪市など、主要都市における固定資産税の相場を、公的機関のデータを元に、分かりやすく紹介します。
1.【地域・年齢階級・収入別】固定資産税の平均相場
固定資産税は、難しい計算を行い算出するため「計算式や、納税通知書を見ても結局よくわからない…」という方も多いのではないでしょうか。
基本的には「課税標準額」に「標準税率(1.4%)」をかけたものが固定資産税の税額
となります。土地(宅地)の場合、課税標準額は、地価公示価格等の7割を目途が評価額とされる
ため、地価が高い地域ほど、固定資産税も高額となります。
出典:総務省「固定資産税」
なお、固定資産税と似た税金に「都市計画税」があります。都市計画税は、「市街化区域」内に土地・建物を所有する方に対して課される税金です。
以下では、東京都特別区・多摩地域・横浜市・大阪市について、固定資産税の平均相場を紹介します。
1-1.東京都特別区
土地・家屋別 m²あたり固定資産税等額(円/m²) 戸建て(土地)【平均:109.4m²】 1,433.8 戸建て(家屋)【平均:114.5m²】 983.3 土地+家屋 約26.9万円
世帯主年齢階級別 固定資産税等額負担額(円) 30代以下 21.2万円 40代 22.9万円 50代 22.7万円 60代以上 21.8万円
収入階級別 固定資産税等額負担額(円) 400万円未満 19.2万円 400万円以上700万円未満 19.9万円 700万円以上1,000万円未満 21.8万円 1,000万円以上 24.8万円
上記3表の出典:東京都主税局「東京都特別区と他都市との固定資産税負担等の実態比較調査 平成29年3月」
※なお、表2つ目・3つ目の【世帯主年齢階級別】【収入階級別】の金額は、共同住宅(家屋)も含まれているため、表1つ目の【土地・家屋別の固定資産税等額】よりも低くなっています。(他地域も同様)
東京都特別区は、地価が全国的にも高い分、固定資産税も高くなりやすいことが分かります。
1-2.多摩地域
土地・家屋別 m²あたり固定資産税等額(円/m²) 戸建て(土地)【平均:151.9m²】 739.8 戸建て(家屋)【平均:108.3m²】 723.1 土地+家屋 約19.1万円
世帯主年齢階級別 固定資産税等額負担額(円) 30代以下 18.0万円 40代 21.4万円 50代 17.3万円 60代以上 15.9万円
収入階級別 固定資産税等額負担額(円) 400万円未満 14.0万円 400万円以上700万円未満 18.4万円 700万円以上1,000万円未満 17.8万円 1,000万円以上 19.3万円
上記3表の出典:東京都主税局「東京都特別区と他都市との固定資産税負担等の実態比較調査 平成29年3月」
東京の郊外である多摩地域は、東京都特別区と比較し約7.8万円、固定資産税の相場が低い結果でした。東京以外でも、郊外地域に住んでいる方であれば、多摩地域の金額は割と参考になるでしょう。
1-3.横浜市
土地・家屋別 m²あたり固定資産税等額(円/m²) 戸建て(土地)【平均:149.2m²】 807.8 戸建て(家屋)【平均:115.8m²】 812.0 土地+家屋 約21.5万円
世帯主年齢階級別 固定資産税等額負担額(円) 30代以下 20.7万円 40代 18.7万円 50代 18.3万円 60代以上 17.0万円
収入階級別 固定資産税等額負担額(円) 400万円未満 16.2万円 400万円以上700万円未満 17.3万円 700万円以上1,000万円未満 18.2万円 1,000万円以上 19.8万円
上記3表の出典:東京都主税局「東京都特別区と他都市との固定資産税負担等の実態比較調査 平成29年3月」
横浜市も総じて固定資産税の相場が高い状態ですが、40代・50代の相場が30代よりも下がり気味と、他の地域と比べると珍しい結果でした。
1-4.大阪市
土地・家屋別 m²あたり固定資産税等額(円/m²) 戸建て(土地)【平均:94.4m²】 1,284.9 戸建て(家屋)【平均:120.1m²】 966.2 土地+家屋 約23.7万円
世帯主年齢階級別 固定資産税等額負担額(円) 30代以下 21.8万円 40代 20.2万円 50代 19.6万円 60代以上 17.8万円
収入階級別 固定資産税等額負担額(円) 400万円未満 17.1万円 400万円以上700万円未満 19.6万円 700万円以上1,000万円未満 19.6万円 1,000万円以上 22.9万円
上記3表の出典:東京都主税局「東京都特別区と他都市との固定資産税負担等の実態比較調査 平成29年3月」
戸建(土地)の1m²当たり固定資産税等額は、特別区の約1,400 円に次いで、大阪市の約 1,300円と高い状態です。大阪市は土地が狭い場所が多いことから(土地平均面積も94.4m²)、単位当たりの固定資産税等額も高くなりやすくなっています。
2.【札幌市・名古屋市など】その他主要都市の固定資産税の相場をチェック!
続いては、内閣府のデータを元に、全国主要地域の固定資産税相場を確認していきましょう。地域経済分析システム「RESAS」では、各都道府県・各市区町村の固定資産税に関するデータを開示しているので、ぜひ併せて参考にしてみてください。
※ただし、以下のデータは総務省の住民基本台帳に基づく人口から算出して(割って)いるため、固定資産を所有していない人の分も換算されていると考えられます。先ほどの大阪市のデータと比較すると、約13万円の開きがあるので、以下で紹介する額の+8万~15万円ほどを相場としておくとよいでしょう。
1人当たり固定資産税 予想される固定資産税額 北海道(札幌市) 約59,000円 約14万~21万円 宮城県(仙台市) 約71,000円 約15万~22万円 愛知県(名古屋市) 約95,000円 約17万~27万円 広島県(広島市) 約69,000円 約15万~22万円 福岡県(福岡市) 約78,000円 約16万~23万円
出典:内閣府「RESAS – 地域経済分析システム 一人当たり固定資産税 北海道札幌市」
出典:内閣府「RESAS – 地域経済分析システム 一人当たり固定資産税 宮城県仙台市」
出典:内閣府「RESAS – 地域経済分析システム 一人当たり固定資産税 愛知県名古屋市」
出典:内閣府「RESAS – 地域経済分析システム 一人当たり固定資産税 広島県広島市」
出典:内閣府「RESAS – 地域経済分析システム 一人当たり固定資産税 福岡県福岡市」
基本的に上記5県では、2012年度から固定資産税額が徐々に増加している傾向です。都市部は地価が高くなっていると判断できるため、新築住宅を建てる際は、資産価値の面も意識して立地を検討してみてくださいね。
まとめ
固定資産税の相場は、東京都特別区で約26.9万円、大阪市で約23.7万円となっていますが、あくまで相場であるため参考程度としてください。
「住宅にかかる固定資産税を少しでも抑えたい」と思う方は、住宅を建てる際に工務店としっかりと相談することが大切です。特に地域密着型の工務店であれば、その土地のこともよく知っているため非常に安心です。