工務店選びの知識

工務店で家を建てる場合の坪単価はいくら?坪単価を抑えるコツも

工務店で家を建てる場合の坪単価はいくら?坪単価を抑えるコツも

工務店とは、複数の専門工事業と連携して、全体的な住宅建築を請け負う業者のことです。ハウスメーカーに比べて地域密着色が強く、家の間取りや外観デザインなどに自由が利く傾向にあります。坪単価が比較的安価であるのも、工務店で家を建てるときのメリットです。

当記事では、工務店で家を建てるときの坪単価の相場や、坪単価の計算方法、坪単価を抑えるコツを解説します。坪単価を抑えるコツは、注文住宅を建てるときの住宅デザインのアイデアにお役立てください。

1.工務店で家を建てる場合の平均的な坪単価はいくら?

新築住宅の構造や延べ床面積によっても多少の差はあるものの、木造注文住宅を工務店に依頼した場合の坪単価は60万〜70万円程度が相場です。比較的安価な値段設定の場合は、坪単価40万円台で建築可能な工務店もあります。

建物の構造では木造建築がもっとも価格が安く、鉄骨造・鉄筋コンクリート造などになると木造建築の1.5倍〜2倍の坪単価が一般的です。同じ工法の建物でも、延床面積が大きくなるほど一坪当たりの単価は抑えられる傾向にあります。

基本的に工務店は得意とする工法が決まっており、専門外の建築方法で依頼すると坪単価が高くなるケースが少なくありません。木造注文住宅を依頼する場合は木造建築を専門とする工務店、鉄骨造は鉄骨造を専門とする工務店に依頼したほうが、住宅建築費用を抑えられるでしょう。

なお、同じ木造注文住宅をハウスメーカーに依頼する場合の坪単価は、70万〜100万円程度が相場です。依頼先にもよるものの、工務店での坪単価は、概ねハウスメーカーの7割程度を目安に考えるとよいでしょう。

1-1.工務店の坪単価がハウスメーカーより低くなる理由

工務店の坪単価がハウスメーカーよりも低い傾向にある理由は、主に以下の3つです。

広告宣伝費が少ないため

ハウスメーカーの多くはTVCM・雑誌・チラシ・インターネット広告など、さまざまな媒体に広告を打ちます。大々的に広告を打つことで高い集客効果が望めるものの、広告の制作・掲載にかかる費用も莫大です。有名タレントを起用したCMをプライム帯に流すとなれば、数千万は下りません。

一方で工務店が打つ広告は、周辺地域に配るチラシや雑誌への掲載程度が一般的です。広告宣伝費を抑えることで建築費に上乗せされる分も減り、結果として坪単価も低くなります。

人件費が少ないため

ハウスメーカーは職人以外の社員も多く、また全体的な給与も高めです。完全歩合制を採用しているメーカーでは、年収1,000万円を超える営業マンも珍しくありません。

工務店の社員は職人が中心となっており、全体的な給与はハウスメーカーに比べて低めです。腕のよい職人は相応の給与が支払われるものの、他の職種にかかる人件費が少ないため坪単価も抑えられる傾向にあります。

展示場などの維持管理費が少ないため

ハウスメーカーには、ユーザーの購買意欲を掻き立てるために展示場を持つところが少なくありません。利便性のよい場所に展示場を持つには、建物の維持管理費に加え賃料やテナント料、スタッフの人件費などがかかります。

工務店は大規模な展示場を持たず、住宅見学会などで対応するケースが一般的です。展示場の維持管理費がほとんどかからないため、坪単価が安くなります。

2.坪単価の計算方法とは?

坪単価とは、住宅の1坪当たりにかかる建築費のことです。「建築費」とは、住宅の総工事費ではなく建物本体の建築費を指します。

どこまでを本体工事費と考えるかは会社によって異なります。外構工事費用や照明機器購入・設置費用などは本体価格に含まれるのが一般的です。ただし、ローコスト住宅を売りにする工務店の中には、付帯工事費や設備費を別に計上するところもあるため、必ず詳細を確認しましょう。

坪単価は「建物の本体価格」を「延べ床面積」で割ることで算出できます。

【坪単価の計算式】

本体価格÷延べ床面積(坪)

延べ床面積は、住宅各階の居住部分に当たる床面積をすべて足した数字です。バルコニーなどの居住部分以外を含んだ施工床面積ではない点に注意しましょう。延べ床面積がm2で表示されている場合は、0.3025をかければ坪数に変換できます。

例えば、建物本体が1,500万円、延べ床面積が100m2の場合の坪単価は下記の通りです。

1,500万円÷(100m2×0.3025)=約49.59万円

上記のように計算すれば、坪表記がない場合でもおおよその坪単価を割り出せます。

3.坪単価を抑える4つのコツ

資金が潤沢であれば問題ないものの、限られた予算で家を建てようとすると、坪単価を抑える必要があります。予算内で満足できる家づくりをするには、費用をかける部分と節約する部分を分け、バランスを取ることが大切です。

ここでは、坪単価を抑える4つのコツを解説します。

3-1.シンプルでオープンな間取りにする

家の間取りをシンプルかつオープンにすると、建築費用を抑えられる可能性が高まります。部屋数が多くなれば、部屋を仕切る壁用の建材や窓・ドアなどの建具、照明・電化製品などの設備が多く必要です。

部屋の形状が複雑だったりロフトやスキップフロアを多用したりすると、使用建材だけでなく施工にかかる手間も増えます。装飾や凹凸を減らし、最低限の部屋数にすることで、材料費の節約や施工期間の短縮につながり、坪単価の抑制が可能です。例えば、子ども部屋は広く作り、間仕切りを利用するといった手法も検討してみましょう。

3-2.欲張らずに住宅設備・機器を選択する

予算に見合ったグレードの住宅設備や機器を選ぶと、建築費用を抑えることが可能です。グレードを見直す対象としては、下記の要素が挙げられます。

  • キッチン
  • トイレ
  • 洗面台
  • バスルーム
  • 外壁
  • 床材
  • 照明器具

例えば、オーダーキッチンではなくセミオーダーやシステムキッチンにする、フローリングのグレードを下げる、床暖房を取りやめるなどです。同じメーカーの製品であっても、グレードによって価格差が数十万円以上に及ぶことも珍しくありません。

自由度の高い注文住宅では自分好みの高品質なものをすべて取り入れたくなりますが、本当に必要なものに絞って選ぶことがポイントです。

3-3.水回りを集める

住宅の水回りを1か所に集めることも、建築費用の抑制につながります。家のあちこちにトイレやバスルームを配置すれば、家族の利便性は上がるものの、資材代や配管工事代も高くなります。

また、水回りの配置が高層階になればなるほど、圧力の高い水道管が必要です。キッチン・トイレ・バスルームなどは1階に集約したほうが配管が短く済み、施工の手間も省けます。坪単価を優先するのであれば、水回りは1か所にまとめる設計がおすすめです。

3-4.家の大きさをコンパクトにする

家そのものの大きさをコンパクトにすれば、建築費用は下げられます。住宅面積が大きいほど、必要となる建材や施工工数も増え、長い施工期間と多くの人件費が必要です。建物本体価格という面で見れば、家を小さく建てたほうが安上がりと言えるでしょう。

間取りだけでなく外観をシンプルにすることでも、建築費用を抑えることが可能です。延べ床面積が同じ家でも、複雑な装飾や凹凸の多い壁面にすると使用する壁材や断熱材が増え、費用がかさみます。装飾によっては施工できる職人が限られるため、人件費が上乗せされるケースも少なくありません。費用面だけを考えるのであれば、外観デザインに対するこだわりは捨てて、立方体や直方体に近い設計にすると坪単価は安くなります。

まとめ

工務店で家を建てる場合の平均的な坪単価は、木造注文住宅であれば60万〜70万円程度が相場です。鉄鋼造や鉄筋コンクリート造の場合は木造建築の1.5倍〜2倍となる場合が一般的です。

工務店はハウスメーカーに比べて、広告宣伝費や人件費、展示場の維持管理費が少ないことから、坪単価が安くなる傾向にあります。

坪単価を抑えるには、シンプルな間取りで、住宅設備や機器は重要な部分だけによいものを取り入れましょう。また、キッチンやトイレ、お風呂などの水回りを1か所にまとめ、住宅面積をコンパクトにすることで、坪単価を抑えられます。